子どもが出てくる映画の話をしよう。その12. 韓国映画『クロッシング』

2020年現在、ネットフリックスでも超人気の韓国ドラマといえば・・

『愛の不時着』だ。

いやぁおもしろいわ~!!!

観たことないひともストーリーくらいは知っているはず。ざっくりいえば、韓国の財閥キャリアウーマンお嬢ユン・セリ(ソン・イェジン)が、パラグライダーの事故で国境をこえて北朝鮮におりたち、そこで出会った若きイケメン軍人リ・ジョンヒョク(ヒョンビン)と恋に落ちるという話だ。

要は韓国ドラマ得意のラブロマンスなのだけれど、この設定がすごいではないか。なにしろ物語の半分以上は、未知の国ともいえる隣国でくり広げられている。現地ロケではないけれど、言葉のちがいとか、向こうの暮らしぶりとか、見知らぬ国のようすがリアルにかいま見えるのも、このドラマにひかれるところ。このデリケートな設定で、恋愛あり笑いありアクションありの、見事なエンターテイメントにしあげてしまうなんて、韓国映画人ってやっぱすごいな。

このドラマはメインの主役二人以外も魅力的。『パラサイト』にでていたお母さんが、北朝鮮の富裕層のおばちゃん役で登場してるし、きっと韓国映画好きならムフフとほくそえむキャスティングに違いない。

なかでも4人の部下たちの存在がいい。部下のひとりは韓国ドラマファンで、「(ドラマによると)南じゃよく記憶喪失になるんだ」とか「南じゃ困ったときに抱き合ったりキスすると、なんかうまくいくらしい」なんて韓国(ドラマ)あるあるネタを披露して、「なるほどー」と周囲に関心されているのも楽しくて…

おっと。

このドラマについては、みんな書きまくってるから、長ーい前置きになったけれど、ここでは「子どもが出てくる映画」ということで、北朝鮮を舞台とした、もうひとつの韓国映画『クロッシング』をとりあげたい。

『クロッシング』は2008年制作、日本公開2010年。

元サッカー選手で、今は炭鉱で働く男には妻と11歳の息子ジュニ(シン・ミョンチョル)がいる。だが妻の病をきっかけに男は決死の脱北を決意。けれどそのかいなく妻は死に、残された息子ジュニもまた国境でとらえら収容所へ。すれ違う父と子。

それでも、少年ジュニは「いつかきっと幸せになれる」とみんなで笑いあう夢を見続ける。あと少し、きっと少し、と信じて。

あえて感情を消していえば、脱北の過酷な実情を語る物語、だ。「うわ」と思うシーンもありのままに。シリアスでつらい映画だけれど、けなげでまっすぐな少年のまなざしに、(こちらの)悪意さえそぎおとされ、残るのは祈りだけ。いつかこんな映画もあったねといわれる日がくるだろうか。きてほしいと思うほどに。

テーマもジャンルもまったく違うけれど、最後にもうすこしだけ『愛の不時着』のことを。

南のお嬢と4人の部下たちが、子どもみたいに口ゲンカをしたときがある。そのときイケメン将校が「北と南で、悪口を競い合っててもしょうがないだろう」といさめたり、また別のとき、ヒロインがするっと「早く統一するといいわねっ」というシーンもあった。

どちらも軽快なやりとりの中ででてきたセリフだけれど、その自然な言葉になんだかすごくほっとしたんだ。

タイトル画はまたお借りしました。Thanks.
















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