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【栄養士さんに聞いてみた! 〜原材料編〜】第3回:小麦粉は食べたらいけない食材?

こんにちは。KIDS SNACK LABです。KIDS SNACK LABは、子どもの食生活のあり方について、日々研究を重ねています。本企画は、KIDS SNACK LABの研究員が、子どもに必要な栄養素について栄養士の渡辺友美子さんにお話をうかがい、子どもの健やかな食生活のヒントを得ていく連載です。第3回目は、小麦粉の食品を食べすぎることで子どもの身体に起こる変化、小麦粉との上手な付き合い方、代用レシピなどについて、お話を聞きました。

【プロフィール】栄養士 渡辺友美子さん
栄養士として病院や社員食堂で働いた後、フリーの栄養士として食や栄養に関する情報発信を続け、インスタグラムのほか、YouTubeチャンネルも開設。週末モデルとしても活動している。
Instagram:https://www.instagram.com/yutanpiyo/
TikTok:https://www.tiktok.com/@yutancooking

小麦はどんな食材?


――第3回目は、小麦粉についてお話をうかがえたらと思っています。小麦粉はどんな食べ物に使われていますか?

渡辺さん:パンやパスタ、うどん、ラーメン、蕎麦といった主食になるものから、ケーキやクッキーなどの焼き菓子の材料としても使われています。洋菓子だけでなく、どら焼きやカステラなどの和菓子の材料に含まれていることも。一日のうちに、何かしら小麦粉を使った食品を口にしている人も多いのではないかと思います。

――小麦粉にはどんな栄養がありますか?

渡辺さん:炭水化物を多く含んでいるので、脳や体を動かすエネルギー源になってくれるんです。さらに、小麦の不溶性たんぱく質であるグルタミンペプチドが、血圧調整や、免疫機能向上の働きを持っているとも言われています。

「グルテン」ってなんだろう?


――近年、小麦粉に含まれる「グルテン」が身体に及ぼす影響について、語られることが増えてきたように感じます。そもそも「グルテン」とはなんなのでしょうか?

渡辺さん:小麦粉に水を加えてこねると、できる成分のことです。小麦に含まれているグルテニンとグリアジンのふたつのタンパク質が、こねることで絡み合い、グルテンに変わります。グルテンによって、パスタやピザのもちもちとした食感や、パンのふわっとした食感が生まれているので、小麦粉を使った食品がおいしいのはグルテンのおかげでもあるんです。

――パンやピザ、パスタがおいしいのはグルテンの存在があってこそなんですね。

渡辺さん:ただ、小麦食品を摂りすぎると、人によってはうまく消化ができなくなってしまい、胃や腸に負担がかかってしまいます。さらに、小麦アレルギーの方の場合、頭痛やめまい、皮膚症状、人によってはアナフィラキシーショックが出ることもあります。

参考:農林水産省「米粉の輸出拡大に向けた欧米グルテンフリー市場調査」(2019年)

――グルテンや小麦粉が体質に合っているかどうか、どのようにして調べるといいのでしょうか?

渡辺さん:数週間小麦粉の食品をとらずに過ごしてみて、調子がよくなったらグルテン過敏体質かもしれません。また、病院などで食物アレルギーの検査を受けてみると、小麦アレルギーはもちろん、軽度のグルテン過敏症についても分かることがあります。ただ、体調によって結果が左右されることもあるそうなので、お医者さんとも相談しながら、結果を確認できるとよいと思います。

――まず小麦粉の食品を控えてみる、というのは、比較的実践しやすいですね。グルテン過敏症の子どもが小麦製品を摂りすぎた場合、子どもの身体にどのような影響がありますか?

渡辺さん:腸の疾患になってしまったり、集中力の低下、頭痛、疲労感を引き起こす原因になります。でも、やっぱりパンやパスタのような小麦食品を好き、という方はいらっしゃるはずです。わたしもパンが好きですし……。だから、無理に小麦食品のない食生活にしようとせず、量を意識して食べすぎないようにしたり、グルテンフリーの代替品をうまく活用してみたりすることが大切だと思います。

小麦食品と上手く付き合っていく方法


――どうしてもパンやパスタが食べたいとき、渡辺さんはどうしていますか?

渡辺さん:米粉でできたパンが増えてきたので、米粉パンを選ぶようにしていますね。最近はパスタにも、小麦粉由来の原材料を一切使わない、グルテンフリーのものがあるんですよ。えんどう豆が原料となっているパスタは、個人的に好きでよく食べています。

――グルテンフリーのパスタがあるのは知らなかったです! お菓子が食べたいときはどうされていますか?

渡辺さん:自分で作るときには、米粉をよく使っています。実は、米粉って小麦粉のようにふるいにかける必要がないんです。お菓子作りのときには一工程省けて、むしろ小麦粉を使うよりも楽ですね。市販品では、米粉だけじゃなく、アーモンドプードルやオートミールを使ったクッキーやスコーンなんかもありますよ。グルテンフリーでもおいしいお菓子が増えてきているので、ぜひ探してみてください。

――なるほど。小麦粉を減らしたい人のための選択肢が増えてきているんですね。たとえばおうちでグルテンフリーのお菓子を作るとしたら、手軽に作れるものはありますか?

渡辺さん:米粉を使ったクレープなら、お子さんと一緒にたのしみながら作れると思います! 材料と作り方をご紹介しますね。

材料
(生地)
・米粉                100g
・きび糖             大さじ2
・卵                    2個
・牛乳                150cc
・溶かしバター  20g

・お好みのトッピング
・生地を焼く時のバター 適量

まず、ボウルに米粉、きび糖(※)を入れ混ぜ、中央に卵を加えて粉類となじませるように泡立て器で混ぜます。次に、牛乳を少しずつ加えてその都度混ぜていきます。溶かしバターを加えて、さらに混ぜ、こし器でこしたら冷蔵庫で30分ほど休ませてください。バターを引いたフライパンで生地を焼き、お好みのトッピングを入れて巻いたら完成です。 Instagramの投稿ではいよかんと甘平をトッピングしていますが、いちごやバナナなどの定番フルーツもおすすめですよ!

*

ついついおいしくて、食べてしまうパンやパスタ、焼き菓子やケーキ。小麦粉が食べられる方は「好き」という気持ちは必ずしも手放す必要はなく、食べる頻度やバランスを意識して、上手くに付き合っていくことが大切なのだなと感じました。一方、小麦粉が体質に合わない方は、昨今増えてきているグルテンフリーの食材や食品をうまく活用してみると、食を楽しむ幅が広がるかもしれません。KIDS SNACK LABでは、ひとりひとりの子どもたちの事情に合わせて、小麦粉を使っていないお菓子をたくさん作っていきたいと考えています。

次回は、今回も少し話題にのぼっていた「脂質」。脂質の種類や、身体にいいもの・そうでないもの、いい脂質を摂るために日常で意識するポイントなどについて、引き続き栄養士の渡辺友美子さんにうかがいます。



※もしご家庭にGI値が低いお砂糖(アガベシュガーやラカント)がある場合には、代用いただくこともできます。



取材・文=ひらいめぐみ 編集=KIDS SNACK LAB編集部

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