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【映画感想】義務教育で観せるべきでは?!と驚愕した『サルカール 1票の革命』

ずっと観たかった、ヴィジャイさん主演のタミル作品『サルカール 1票の革命』をようやく観ることができた。

タイトルにある「1票の革命」の通り、民主主義における1人ひとりの1票の大切さ、1票の可能性について描いている本作。

物語は、米国在住の富豪・スンダル(ヴィジャイさん)がタミルナードゥ州議会選挙への投票のため一時帰国した際、自分の1票が不正に投票されていたところから始まる。スンダルは怒り自分の権利を取り戻すとともに、1票の売買が平然と行われている政府の腐った現状を知る。そして、いかに1票が大切なのか、政府のあり方について民衆に訴えるために立ち上がる。

まずはこのストーリーが素晴らしかった。人々が自分の1票を棄て、売ってしまっている現状。もとを辿れば「貧困」がある。誰が彼らを貧困にしているのか?政府でしかない。そしてその政府は、自分たちの責務を全うせず、カネのために、保身のためにしか動かない。

スンダルは、巧みな頭脳と話術、(そしてフィジカル)で腐った政府を破壊していく。この様子が観ていて気持ちがいい。

と同時に、作品で起きている状況は全く他人事だと思えず、途中でゾッとする。日本でも今まさに現在進行形で政治とカネの問題は深刻化しているうえ、1強多弱の政治だからだ。

なにより、日本人は選挙権を売って行けないのではなく、「怠惰」で行かない人がほとんどだ。当たり前に1票があるのに、投票しない選択をしてしまっている。これがどんなに恐ろしいことなのかをスンダルは熱弁していた。「選挙が、我々が唯一政府に意見を言える機会であること」。かつて学校で教わったはずなのに、いつのまにか忘れてしまっていた。

本作で一番印象に残っているのは、スンダルの「民主主義の敵は共闘する野党がいないこと」という名言。そしてその言葉を体現するように彼が最後にとった行動である。最初から最後までなんて素晴らしいんだ…と鳥肌が立った。

そして、ヴィジャイさんをもっと好きになるシーンが盛りだくさんだったので箇条書きにしてみる。

・やはりダンスはキレッキレであるし、アクションもかっこいい。
・脚が長くスタイルが良い…スーツがよく似合う。
・民衆や記者を前にプレゼンしている様子が堂々としていて、観入ってしまう上手さ。力強い言葉がビビッと入ってくる。
・酔っている姿が可愛いというギャップ。

ヴィジャイさんが最高というだけでも観る価値は十分あるのだが、壮大なストーリーはもはや義務教育で観せるべきだと、いち観客として熱弁したくなるほどの良さ。

1票で世界は変わると信じてみたくなる傑作だった。

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