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プロサッカークラブの主な収入源って何?

こんにちは。Kid.iAです。

今週末から一気に気温が下がり、本格的に冬の季節になってきました。

私はサッカーが好きで昨日のJリーグも観ていたのですが、何試合かは雪の中のゲームでしたね(選手達は本当に大変・・・)。

そんなサッカー界ですが今週は嬉しいニュースと悲しいニュースが耳に入ってきました。

嬉しいニュースは徳島ヴォルティスアビスパ福岡J1昇格が決まったことです!特に徳島ヴォルティスはリカルド・ロドリゲス監督の数年に渡る挑戦を応援していたのでより嬉しかった出来事でした。(監督インタビューで通訳の方が声を詰まらせていた場面は本当に感動しました)

一方で悲しいニュースはというと、東京ヴェルディの経営危機(資金繰り)問題です。コロナ禍の影響もあり収入が悪化、来年早々に運転資金が無くなる見通しという話も出ています。こちらも大好きなクラブゆえにとても心配なニュースでした。

そうしたこともあり今回は「プロサッカークラブの主な収入源って何?」という問いについて考えていきたいと思います。

上述の東京ヴェルディに限らず今はどのクラブも厳しい環境に変わりないと思うのですが、クラブの収入源を大まかにでも知ることで今後の経営状況関連のニュースや、来年以降に可能になるであろうコロナ禍前後での比較といったことがより「正確に理解できる」のではないかと思っています。

結論から書きますと、プロサッカークラブには大きく分けて3つの収入源があります。今回はその3つに「+1」をした計4つの収入源について書いていければと思います。

1. マッチデー収入

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一つ目は「Matchday Revenue(マッチデー収入)」です。

試合をスタジアムで開催し観客動員数が増加することで得られる収入ということで、「チケット」収入や「物販・飲食」収入がこれにあたります。

またこの収入は「スタジアム投資」が大きく関連します。

少し古い話になりますがアーセナルは2006年に(当時)総費用4億2500万ポンドの投資を行い、ハイバリースタジアムからエミレーツスタジアムに移転したことで収容人数が約40,000席から60,000席に増加しました。

当時はそのうち9000席がコーポレートシートとなっていて、その売上だけでハイバリ―時の売上と同程度だったみたいです(ゆえに残席51,000席分の売上が移転前と比べて純増)。

これはスタジアムを満員にできることが前提の極端な例ですが、このような「観客動員数やチケット単価等で増減する収入」がマッチデー収入です。

2. 放映権収入

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二つ目は「Broadcast Revenue(放映権収入」です。

いわば「サッカーの試合の放映権」を販売して得られる収入です。

基本的には各国リーグが一括して権利を管理・販売し、各クラブへの分配も行います。ですので、ここは結局のところ「リーグ全体の放映権料分配方式に左右される収入」といえるでしょう。

数年前までラ・リーガはこの収入が上位クラブに偏っていたせいもありTopクラブとBottomクラブで何十倍もの収入差が生まれていましたが、近年はリーグの一括管理が始まりその差は是正されてきているみたいですね。

3. コマーシャル収入

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三つ目は「Commercial Revenue(コマーシャル収入)」です。

主にスポンサーシップや直営店、商品等のライセンシング、他にはファン感謝DAY等をはじめとするファン・エンゲージメントなどに分けられます。

これらは「メディアバリュー」を意識してクラブの価値を理解し、いかにスポンサーに伝える術に長けているかどうかで大きく変わる収入といえます。

例えば、プレミアリーグのリヴァプールはスポーツ用品メーカー世界トップのナイキと新契約を結びました(ナイキがクラブに価値を感じたということです)。これによりリヴァプールの来期コマーシャル収入は大幅に増加するでしょう。

4. 移籍金・賞金収入

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ここまでがプロサッカークラブの3つの大きな収入源にあたるのですがこれらに加えて+1をした4つ目として挙げられるのが、クラブの保有選手を他クラブへ売却することで得られる利益や、欧州クラブでいえば「チャンピオンズリーグ」等の大会にでて勝つことで得られる賞金などです。

近年高騰する有名選手の移籍金という話だけでいえば皆さんもよくニュースで見る機会もあると思います。ここの収入はかなり大きいと思います。

ただ一方で、個人的にはニュースにあがるようなスター選手の移籍金やその管理よりも、中堅選手のそれをしっかり見ていくことの方が大切な気もします。(ここで大きな損失を出しているクラブが少なくない。チリも積もれば何とやらですね。)

賞金に関しては、監査法人のDeloitte(デロイト)社が毎年実施しているサッカークラブの収入における長者番付「Deloitte Football Money League*」を見ていても、毎年この「チャンピオンズリーグ」の収入があるかないかで大きく順位が変わります。ヨーロッパのクラブにとっては影響力が大きい収入源といえます。

*最新のDeloitte Football Money League 2018/19はコチラ

https://www2.deloitte.com/content/dam/Deloitte/uk/Documents/sports-business-group/deloitte-uk-deloitte-football-money-league-2020.pdf?fbclid=IwAR0LvE4Yt4gFexatzxzDYkgFl4lKksxzsOQ8H_z8WWgXv6gg-6jSbSVWZGU

最後に

「Deloitte Football Money League 2018/19」においてスペインのバルセロナの伸びが気になりその背景を少し調べてみたのですが、Broadcastはともかく予想以上にCommercial Revenueが(割合とともに)高くて驚きました。Deloitte(デロイト)社による以下コメントを読む限り凄く良い感じのクラブの状態だと思います。

※ slide 12 /  FC Barcelona
「(中略)reducing its reliance on broadcast revenue and focussing on growing revenues within their control.

Commercial Revenueだけ見れば上述のリヴァプールやパリ・サルジェルマンなど、スポンサーシップで伸ばしていく上位はまだでてきそうです。

以下デロイト社資料を元に自分なりに整理・作成した図になりますが、上位クラブを中心に放映権収入の存在感も増していますしコマーシャル収入と併せてその規模と成長率は伸びていく一方です。

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パートナーシップの在り方も(数字だけみれば2016/17を境に)急激に変わってきているとのことなので、中堅・スモールクラブでもどれだけ自らの価値を多様なパートナーに伝えられるかがより大切になってくると思います。

一方で、例えばアーセナルの苦戦(その主な理由がCL出場を逃していること、それが従来からの強みだったMatchday Revenueにも明らかに悪影響与えていること)などを見ていると、いかにピッチ上での結果がその他全てに影響を与えるかがみてとれます。

これらから言えることは、どの収入源が大切ということではなく

4つの収入源のバランスをいかにとるかが大切

だと私は考えます。

現在はコロナ禍の影響もありすべての収入源に悪影響がでるようなクラブにとってはまさに「正念場」といえるような状況ですが、一人のサッカーファンとして世界の一つでも多くのクラブにこの危機を乗り越えていって欲しいと切に願います。


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今後の創作の活力になります。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

(追記)他にも執筆したスポーツビジネス関連投稿を以下にまとめています。


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