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ビジネスがうまくいっている経営者が「みんなのため」と言う理由

ビジネスでうまくいっている経営者、というと
どんな印象ですか?

ワンマンで、自分勝手で、パワフルで…

そんな印象がありますよね。


でも、わたしが15年以上、会計事務所で、経営者とお話をしてきて気づいたことは、商売がうまくいっている経営者ほど

「みんな(社員)が気持ちよく働ければ良いよ」

といって、社員に気遣いを見せる人が多いこと。


最初は、失礼な話、意外でした。
でも、そこには理由がありました。



ビジネスがうまくいく経営者が「みんなが気持ちよく働ける」を意識する理由



ビジネスがうまくいっている経営者が「みんな(社員)が気持ちよく働ければ良いよ」という理由は、次の二つのことを良く知っているからです。


  1. 経営者がひとりでは出せる利益には限界があること

  2. 社員の精神的な状態が仕事のパフォーマンスを左右すること


1.経営者がひとりだけで出せる利益には限界がある



経営者には、ビジネスを最初から創った人も多いので、営業や仕入れ、バックオフィス業務など、オールマイティーに仕事ができる人がたくさんいます。


でも、そういう経営者でも知っています。
自分一人で稼ぎ出せる利益には限界があることを。


例えば、中小企業では、経営者自身がトップセールスで、売上の8割を経営者自身が創り上げているというのは珍しくありません。


だから、ときどき、売上を上げる自分だけがいれば、会社はやっていけると勘違いする人がいます。


でも、商売は、売上を上げれば終わりではありません。


その後に、商品を納入したり、足りなくなった商品を補充したり、売上の請求書を出したり、経費の支払いをしたり、新しい商品の構想を練ったり…

と、やることは、たくさんあります。


そういう売上以外のことも、経営者が自分一人で行っていたら、どうなるでしょうか?


当然、営業をする時間が少なくなりますよね。
営業する時間が増えなければ、売上も上がらないし、利益も増えません。


ビジネスがうまくいく経営者は、他人に仕事を任せることで、自分は商品を開発したり、取引先を増やしたり、売上を上げたりといった、会社の利益を作る活動をした方が、会社のためになることを、よく知っています。


例えば、経理の仕事を考えてみましょう。


会計事務所に、長く勤めてきたわたしが言うのもなんですが、経理は会社の利益を生みません。


経理の仕事は、請求書を整理したり、過去の営業成績を集計したりといった過去の処理が中心になりますから、売上に直結しないのは当然です。


もちろん、会社に必要な仕事ではあります。


でも、売上を生まない仕事に、売上を上げる力がある経営者が、何時間も時間を割くとしたら…

もったいないと思いませんか?


ビジネスがうまくいっている経営者は、利益を上げるためには、自分一人で商売をするより、誰かの力を借りる方が、有利だと知っているのです。


だから、ある程度、売上が上がってくれば、一緒に仕事をする人を雇うし、一緒に仕事をする人が気持ちよく力を貸してくれるように、配慮するのです。


2.社員の精神状態が仕事のパフォーマンスを左右する


人間は、感情のある生き物です。
もちろん、理性もありますから、感情を理性でコントロールすることはできます。


けれども、感情のうち、ネガティブな感情は、長期間、感じ続けると、脳のパフォーマンスを下げます。


それは、不安や恐怖、怒りなどの感情は、前頭前野の機能を低下させるからです。


前頭前野は論理思考などを司る脳の器官なので、前頭前野の働きが低下すれば、当然、仕事のパフォーマンスは下がりますよね。


同じお給料を払うなら、パフォーマンスが高い人が良いのは、当たり前です。


だから、ビジネスがうまくいっている経営者は、社員のパフォーマンスを下げないために、社員の精神状態に気を遣うのです。


二人の経営者(税理士)の明暗を分けたモノ

前に勤めていた会計事務所に二人の経営者がいました。
グループ法人だったので、ひとつのグループの中に、複数の会社があったんですね。


わたしが所属していた会社は、従業員一桁の零細会計事務所。
その会社の経営者の口癖は

「社員がいなくても、私一人で、会社はやっていけるんだ」


一方、グループ内最大の会社は、従業員が三十数名で、県内でも指折りの大型会計事務所。
その会社の経営者の口癖は

「みんな、頼むよ」


前者の会社は、数年に一度、社員が全員一気に辞めることがありました。そのため、わたしが入社した当時は、会社の屋台骨となるベテランは一人もいませんでした。

だから、規模の大きな会社を顧客に持つことができず、顧問先は零細企業や個人事業がほとんど。

もちろん、零細企業や個人事業の顧客も大切な顧客です。

ただ、会社の規模が小さい分だけ、頂ける報酬が少ないことも事実です。

当然、頂ける報酬が少ないお客様が多ければ、会社自体の売上も、大きくならないのは自然なことです。


後者の会社は、創業時から事務所を支えているベテランも多く所属し、税理士の資格を持っているスタッフも何人もいました。

そのため、上場を目指す大きな会社から、零細企業や個人事業まで幅広い顧客を抱えていました。

当然、年間で百万円単位の顧問料を頂ける客先も多数。

だから、売上規模は、わたしが所属していた事務所の10倍では済まなかったかもしれません。


このように、同じように創業しても、スタッフの扱い方で、会社の未来は大きく変わるのです。

おわりに

ビジネスがうまくいっているということは、継続的に利益が出せる仕組みがあるということです。


最近は時代の流れが速いので、一つのビジネスが隆盛して、衰退していくのも早くなりました。


そんな中で、安定的に利益を生み出していくには、経営者一人で頑張るより、パフォーマンス高く一緒に働いてくれる人を見つけることが、ビジネス成功の鍵なのです。

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