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【なんて素敵なディスプレイ】#01

すべてのモノにドラマがある。

「ヒーローとして生きるって…大変だよな…」
「ヒーロー?」
「ほら…あれ」
「あ!定食屋の客引きしてるじゃん!」
「だろ?」
「M7じゅう…なんだっけ?なんか銀河系の遥か遠い所からやって来てさ」
「いわゆる出稼ぎなワケだ…やっぱり、家族とか多いと稼ぎ頭は大変なんだろうな…」
「怪獣が現れれば活躍の場もあるだろうけれど、なんだな…最近では、街とか人間の暮らしを壊してしまうとか、倒した怪獣の始末が大変だとか、とにかく肩身が狭くなっているのは間違いないわな…」
「ビルとかバンバン壊して、あれって保険の対象なのかな?」
「あんなの災害だよな…怪獣ったってさ、一歩間違えたら動物虐待って言われかねないもんな…出た!ってだけで退治される場合もあるもんな…」
「まだ熊とか猪とかみたいに、ジビエになればイイけど」
「あれ怪獣を食料の肉として、炊き出しとかできなかったのかね?」
「そもそもあの肉は美味いのかな?」
「分厚い肌だと包丁とか刃物とか役に立たないかもな…」
「だからってバイトかあ…看板持たされて、客引きパンダだよな…?」
「あれは客引きパンダにすらなっていないだろう…どうみても逆に客が引いてしまうよ、気の毒で…。表情もわからないし、そもそも子供は知らんだろ、古すぎて…?」
「気の毒、だな…」
「いやあキツイね…」
「雇う店も酷いな、あんな扱い…」
「他だって似たり寄ったりだろ…」

「でもさ、ヒーローが他の職に就くってどうするんだろうな…」
「認知されている有名人ならば、ああやって看板みたいな仕事はあるだろうけれど…」
「この国だけでも何十、何百のヒーローが誕生しては消えて行ったと思うんだよね…」
「どうだろう。自分が知らないだけで相当いるはずだよな」
「ほら、一般人が散弾銃を持っていたからヒーローになる物語もあったでしょ?」
「そうか、あれもヒーローだね」
「ヒーローがヒーローって名乗ることもあれば、結果ヒーローになっていることもあるでしょ?」
「そうだよな、生まれてすぐヒーローもいれば、仕方なくヒーローに昇格するケースもあるもんな」
「日本だけじゃないよね、世界中にはもっともっと多くのヒーローがいるワケだから、それこそ小さな悪ですらも目くじらを立てたくもなるよな…」
「本当だったら、ひとつの悪に世界中のヒーローが集まっちゃうかも知れないもんな…」
「てことは、誰も来ない悪もあったはずだよな…」
「近年は同時多発的な悪だって起きているし…」

「ヒーローの再就職か…考えたこともなかったな…」
「だけどさ、それこそ大企業とかで、何百人、何千人のリストラなんてニュースがあるじゃない。その人たちはどこへ消えるんだろうか」
「確かに、その道のプロだった人たちが突如解雇されるワケだよな…まあ、大半は同じような職種の違う会社に入るだろうけど、それがすべてではないからな…」
「そもそもいまの時代ってさ、最初の就職で定年まで全うするなんて感覚が無いじゃない?ちょっと働いただけで何か違うって辞めちゃう若者も多いし…」
「好き好んでヒーローになったワケじゃない!みたいな話もあったよね」
「ああ、悲しいけどコレ戦争なのよね、的なヤツ?」
「あれはヒーローじゃないのか?」
「好きじゃないけど、生きて行くために仕事している人間と違って、ヒーローを宿命とされたらたまらんだろうな」
「いや〜そう考えると他人事じゃないよな。ヒーローでさえ、ああやって頑張っているわけだし…」
「一芸秀でた手に職があっても、いつどうなるかわからない典型なのかもな…」

「そっか、ヒーローって潰しの効かない職業なんだよ。…そもそもヒーローは職業じゃないかもな…人道支援したって街救ったって給料出ないし、そりゃあ働かないと生きては行けんわな…」
「タレントがラーメン屋やったり、飲食業界やっても、本当の意味で本物じゃないと続かないもんな…」
「でも彼はスーパーヒーローだからさ、ああやって存在だけでも再就職出来ているんだから大したものだよ!」
「そうだな。幼い子どもが将来の夢として公務員って言っちゃう時代だもんな。それこそ今どきの子は彼を知らないかも知れないし。そういった所でも目印として頑張っているんじゃないか?」

「でもそれ言ったら、今どきのノリや勢いだけで局地的に人気のユーチューバーとかってどうなるんだろうな?」
「まあ一部は若い内に財を貯めて、逃げ切りの人生なんじゃない?」
「彼らが5年頑張ったとしても知らない人は知らないよね」
「そうか新しいモノごとに敏感だから、時代の潮流に合わせることができる順応能力が高いのかも知れないな…」
「なるならスーパーヒーローみたいに、とことんスーパー有名人にならないと難しいよね。ホントに星の数から1つ2つくらいの可能性だろうけど」
「無理だな…そんなギャンブルみたいな人生…」
「大丈夫だよ。オレたちがスーパーヒーローになることもなければ、人気ユーチューバーになる可能性もありえないから」
「なのにリストラになることはあるってことだよね…不公平だね〜宿命って…」

街は物語に溢れている…

     「つづく」 作:スエナガ

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