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とあるハサミ③

4人の男が留置場でそれぞれ距離を取りながら佇んでいる
中央に置かれたベンチには両手で顔を覆う、ハサミを振り回して捕まった男
 
「どうりで皆さんと連絡が取れない訳ですね・・・銃も刀も弓も、どうして剝き出しで持ち歩いてるんですか・・・」
 
ハサミの男は自分以外の3人に話しかける
一番奥で不貞寝している男が反応する
 
「そういうお前だって、ハサミ持ってて捕まってるじゃないか」
「私はちゃんと刃渡り短い装備を選びました!大体あなたの銃は頑張れば隠し持てるじゃないですか」
「銃は俺の相棒だ。同じ景色を見せてやりたい」
「知らないですよそんなポリシー!」
 
続けて左右の壁で座り込んでいる2人にハサミの男は続ける
 
「あなた方2人も、刀も弓もそれっぽい袋に入れて持ち歩けばもう少しカモフラージュできたんじゃないですか!」
 
まるでただの屍かのように反応が無い
 
ふと足音が近づいてくる
部屋の前で立ち止まると声がする
 
「皆さん・・・何してんですか・・・」
 
ハサミの男がゆっくりと顔を見上げると、そこには呆れ果てた好青年の顔
 
「お札(ふだ)の・・・お札の彼・・・!」
 
目に光が戻っていく
他の3人も口々に「お札・・・!」「来てくれたのか・・・!」と呟きながら彼に詰め寄る
好青年はハサミの男を指差し
 
「すいませんが、出してあげられるのは彼だけです。他の方は普通に銃刀法違反なん
でもう少し頭冷やしててください」
 
そそくさそと元いた位置に戻る3人
銃の人は「クソが」と悪態をつく
 
好青年は無視してハサミの男に話を続ける
「アナタも本当は私一人では上手く説明できなかったのですが・・・
 どういう訳か女性警官も一緒になって説得してくれましてね。
グレンラガンがどうのとか言ってましたが」
「ロボコップさん・・・!」
「ロボ・・・?」
「あ、いえ、今名付けました・・・こっちの話です」
「…さぁ、さっさと出ますよ」
 
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警察署から出てくる2人
駆け寄ってくる女性警官
 
「ハサミの人~!」
「ロボコップさん!」
立ち止まる女性警官。残念そうな顔で
「ロボ・・・コップ・・・?」
「いや、ロボットがお好きみたいなんで、あだ名を付けまして」
少し不機嫌そうな顔をする女性警官に続けて話しかけるハサミの男
「あ、嫌でしたかね・・・」
「・・・あれはサイボーグなんで。ロボとはまた違う括りなんで」
「え、こだわり凄ぉ・・・」
 
少しの気まずい空気の後、ハサミの男が聞く
「・・・どうして助けてくれたんですか?」
「・・・あの後、あの公園で変な事件が多発してるんです・・・見えない何かに襲われたとか。あの公園はサボり・・・じゃなくてよく見回りに行く公園なんで解決してもらおうと思いまして」
「そういうことなら、任せてください・・・必ず私の手で・・・」
 
すると好青年が口を開く
 
「公園のなら、ここに来る前に倒しておきましたよ。というかこの町の目ぼしいやつは大体倒しました」
「お札(ふだ)のぉ・・・」
「・・・どうします?もう一回戻っておきます?」
 
警察署を指差す女性警官
 
「家に帰りたいです・・・」
 
再び気まずい空気が流れる
空気を読まない明るい口調で女性警官が言う
 
「それならじゃんけんで勝ったら駅までパトカーで送りますよ!いきますよ・・・
じゃーんけーん、ポン!」
 
グーを出す女性警官
チョキを出すハサミの男
 
「じゃんけんの時もハサミなんですね・・・」
「・・・歩いて帰ります」
 
気まずい空気が流れる
 
 
 
「つづく」

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