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「珈琲」という漢字がコーヒーっぽくないと思った

ふと「珈琲」って、変わった形をした漢字だな、と思った。
コーヒーらしさがない、というか。

もちろん読み方を知っているから、
コーヒーと読めてしまうのだけれど。

漢字ができあがるまでには、4種類の経路がある。

それぞれの経路には名前がついていて、象形(しょうけい)・指事(しじ)・会意(かいい)・形声(けいせい)と呼ばれている。

象形は、物の形をなぞって文字にしたもの。指事は、点や線の組み合わせで表現したもの。会意は、2つ以上の漢字を組み合わせて意味をつくるもの《 例えば、木+木=林 》。形声は、意味を表す漢字と読みたい発音の漢字を組み合わせたもの《 例えば、日+青(せい)=晴(せい)》。

「珈琲」は、どれにも当てはまらない気がする。

中国語が由来になっているのかと思いきや、この漢字は日本人がつくった当て字だそうだ。

漢字を当てるとしても、私なら、コーヒーの良い香りとコーヒーの赤い実から「香緋」とかにすると思う。「緋」には、濃く明るい紅色という意味がある。

由来を調べてみた。

まず、名付け親は、幕末を生きた宇田川榕菴(うだがわようあん)という蘭学者らしい。蘭学者とは、オランダ語を通じて、西洋の学問や技術を研究していた人のことだ。

「コーヒー」に「珈琲」の漢字が当てられたのは、コーヒーの木に成る赤い実が、女性が髪に挿すかんざしのようだったから、だそう。「珈」は玉の飾りがついたかんざし、「琲」は玉をたくさん連ねた飾りの意味がある。

想像の斜め上をいく発想だった。まさか髪飾りが由来だったなんて。
この自由な発想で当てられた漢字が、何の違和感もなく現代の生活に浸透しているのが不思議だ。

コーヒーについての理解が、少し深まった気がした。


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