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「本屋さん」は、ずっとそこにあり続けてほしい

昨日、とある個人経営の本屋さんを訪れた。

本屋さんが目的でその場所に行ったのではなかったのに、たまたま発見、しかもそれが前から気になっていた本屋だとわかり、嬉しくなった。

そこは、アパートの1階に数店舗並んでいるような、ちょっと古びた建物の一角。ガラス張りの外観にポスターやチラシ、手書きの案内がびっしり貼られていて、その隙間から中の様子がちらちら見える。

扉を開けると、こじんまりした店内に、本がぎっしり。店主の方なのか、レジのようなところで座っている人がひとり。静かにパソコンを触っていた。話しかけないタイプのようで、ちょっと安心する。

いろんな形の本棚があって、なんとなくジャンル分けされていた。小説、エッセイ、実用書に漫画や絵本。幅広く取り扱っている中でも、社会のことを描いた本が多い。店主の方の好みや興味がすけて見える。それが個人経営のおもしろさだと思う。


本屋はどんどん街からなくなっている。大きな書店が閉店してしまうニュースをよく耳にして、寂しくなる。実際、わたしもネットで本を買うことがある。欲しい本が決まっている時はそうすることが多い。

だけどわたしは、やっぱり「本屋さん」が好きだ。
並んでいるタイトルをぼんやり眺め、ふと手に取って、わくわくする瞬間。裏表紙にあるあらすじや説明書きを読み、中をパラパラと眺め、購入を決める時の幸せな気持ち。
同じ本棚でも、その時の自分の感情や状況によって選ぶ本は違う。手に取った本から、自分の今の興味や関心に気付くことができる。
そういう「本との出会い」が好きなのだ。


大きな書店にある「新刊コーナー」や「品揃えの多さ」は、もしかすると求めていないのかもしれない。
どんなに小さくても、ジャンルが偏っていてもいい。そこに本を選んで並べている“人”のことが、ちょっと垣間見えるような場所が、これからもずっとあり続けてほしい。



その日は1冊だけ購入して、お店を後にした。
『AHIRU LIFE. 2』という本。絵だけで楽しむショートストーリー。アヒルたちが可愛くてユーモアがあって、すっかりファンに。
『2』ということは1があるんだろうな、でも見当たらないなと思いながらも、そんなことは気にせず買った。お店の方から受け取って、そのままカバンに大切にしまった。でも、待ちきれず駅のホームで読んだ。


帰り道にぼんやりと、「本屋さんをやりたいなあ」と思った自分にびっくりした。

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