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シネマに頼る夏 2

 昨日に引き続き、夏に合う雰囲気映画の話。調べて初めて知ったんですが、『青春デンデケデケデケ』の音楽担当が『菊次郎の夏』と同じく久石譲さんだった様で......。なるほど、劇中に著名なバンドの曲が流れ過ぎていて全然気が付きませんでした。ジブリに北野映画にその他諸々、仕事量凄いですね。因みに、久石譲さんの北野作品サントラは本当にオススメです。


月とキャベツ

監督: 篠原哲雄 1996年公開
山崎まさよし主演の淡い愛情と夏の雰囲気が最高の作品。新海誠監督のアニメで使用されている『One more time, One more chance』ですが、こちらの映画の方がずっと先に劇中で使われています(しかも生演奏!)。
舞台が田舎の為、強い夏の印象を感じさせながら、静かな作中で耳を澄ませば聴こえる虫や山風の音。最悪、観ていなくとも流しているだけでその雰囲気は伝わる。そういう意味では今回のテーマに一番合致した作品かもしれません。
あと、山崎まさよし主演の夏映画といえば『8月のクリスマス』という物もありますが、これは雰囲気映画ではなく、しっかり観た方が良い映画ですね。どちらの作品もDVD持ってますが、月とキャベツのリピート率は凄い。かなりオススメです。

打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?

監督: 岩井俊二 1995年公開
アニメではありません。元々TVスペシャルとして放送していたのを、映画化した作品。
最近のアニメ版は観てないので分かりませんが、どうなんでしょうか。
打ち上げ花火は丸い(立体)のか、平べったいのかを確かめんとする、少年達による夏休み物語。そこに訳アリ転校生の女の子が絡んで –– という感じです。同じ小学生でも、昨日紹介した『少年時代』と登場人物の雰囲気は全く異なり、良い意味で子供ですね。まぁ時代の違いはありますけど。
転校生のなずなちゃん(奥菜恵)は、訳アリなのは分かるけどあまりに擦れすぎていて、他の子と同級生に見えませんでしたね。実際の撮影時、皆の年齢はどうだったんだろう。兎に角、柔らかい小悪魔系とは一線を画す物がある。
そして最後に流れる曲がめちゃくちゃ良い。仕事中でもつい手を止めて、そのシーンを見入ってしまいます。夏休み、花火、プール、恋愛といった夏の要素全てが有り、観賞後はノスタルジックな気分間違いなしの本作。脚本も岩井俊二さんで、数年前にノベライズ本が出ました。劇中では語られなかった色々な設定が盛り込まれていて面白かったです。爽快感もあります。

海がきこえる

監督: 望月智充 1993年公開
原作は氷室冴子さんの小説。スタジオジブリが映像化した物ですが、結構リアルな高校生の青春を描いています。舞台は高知県、東京から転校して来た訳アリな女の子が、思春期真っ盛りの男子生徒を惑わす......と書けば少し変な感じですが、実際その通りです。なんか設定は上のと似てますね。
女の子(里伽子)の性格も、なかなかパンチが効いています。でもそういう娘って何故か顔は可愛いという、そういったリアルさも本作では楽しめます。
皆が話す土佐弁が、耳を爽快に通り抜けていくのが癖になり、ふと思い立った時に流す事が多い作品。修学旅行などのシーンでも、夏をびんびん感じます。また物語の締め方が最高です。小説版も是非読んでみたい。

サマータイムマシン・ブルース

監督: 本広克行 2005年公開
踊る大捜査線でお馴染み、本広克行監督。ヨーロッパ企画の演劇を映画化した物です。
一言で表すならば、夏・SF・ドタバタコメディーといった感じでしょうか。タイムマシンを使って、壊れたエアコンのリモコンをなんとかしようと奮闘する大学生達の物語。
ストーリーは凄くよく練られていて、テンポも良く見やすい作品なんですが、正直この映画ほど流し見していて罪悪感がない物を、他に知りません。コメディーだからかな。
瑛太、上野樹里、真木よう子とそうそうたるメンバーですが、皆が夏の暑さで苦しい表情をするのが良い。こちらも暑苦しくなってきます。
また演出上の仕掛けが至る所に隠されていて、何回見ても新しい発見があります。恐らく小ネタを纏めたサイト等もあったはず。
舞台が香川県ですが、うどんはあまり出て来ません。その代わり、たまに出て来る寺院やレトロな銭湯が良い味を出してます。
この映画の汎用性は本当に高くて、掃除中、洗濯中、読書中と、どの様な場合でもマッチします。夏以外に観るのは......分かりませんね。


 以上、夏の雰囲気映画を御紹介致しました。何度も言うように、雰囲気だけの映画ではありません。雰囲気も楽しめる最高の映画達です。
ただ、最近の物に触れなさ過ぎて、ほとんどが私の幼い頃の映画になってしまいました。決して懐古趣味な訳ではありません。
好きな小説の中に『夏の庭』(著:湯本香樹実)という作品があるんですが、これも映画化されている様で、本の内容を見る限り雰囲気映画としての素質は充分です。気になります。
雰囲気映画で感じる夏、ぜひ皆さんも暇であれば試してみて下さい。

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