【書評】西野亮廣『革命のファンファーレ』要約 信用経済時代における5つのマーケティング手法
革命のファンファーレ_現代のお金と広告

【書評】西野亮廣『革命のファンファーレ』要約 信用経済時代における5つのマーケティング手法

ユーキ@仙台のWEBディレクター

この記事は『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』発売直後にあるメディア様に寄稿した書評です。

著者であるキングコング西野亮廣さんにもフェイスブックで触れて頂き個人的に思い入れのある原稿でしたが、掲載メディア様のリニューアルに伴い非公開となったため、担当者様に許可を頂いたうえで再掲載しています。

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クラウドファンディングの支援額で当時の国内歴代1位となる支援者数6257人、支援金額は4637万3152円(2017年11月時点)累計発行部数40万部以上(2019年12月時点)
これはお笑いコンビキングコングのツッコミとしても知られる西野亮廣さんの作品「えんとつ町のプペル」が生み出した数字です。


大変革を迎えている現代では、社会構造や人の生き方だけでなく、お金のあり方や広告戦略も大きく変化しています。

『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』(西野亮廣著、幻冬舎)は、従来の方法ではモノが売れない時代に、絵本というニッチな業界でとてつもない数字を打ち立てた著者が、現代のマーケティングにおいて「信用」がいかに大切なのか、そして「えんとつ町のプペル」はなぜ40万部も売れたのかをロジカルかつセンセーショナルに解き明かす内容となっています。

現代におけるお金の正体は信用である

著者はこれまで、絵本の制作費や広告戦略においてたびたびクラウドファンディングを活用しています。クラウドファンディングは資金調達だけでなくマーケティングにも密接に関わっているというのです。

本書でもまず、お金とクラウドファンディングの正体を知っておくことの重要性が語られます。

「お金」とは信用を数値化したものだ。魚を100匹売りさばいた時に「この人は魚を100匹売りさばいた信用のおける人ですよー」という「信用証明書が貰える。
言うまでもないが、この信用証明書の名前が「お金だ」
西野亮廣著『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』(P33〜P34より引用)

お金の正体について、冒頭で著者はこのように述べています。

お金というものが発明されてから現代まで、姿形こそ貝殻から貨幣、紙幣、そしてクレジットへと変化しながら、本質はいつの時代も不変です。

クラウドファンディングは信用をお金に変える装置

「クラウドファンディングとは信用をお金化する為の装置だ。」
西野亮廣著『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』(P35より引用)

現代がこれまでと決定的に違うのは、信用が直接お金として可視化できることにあります。

クラウドファンディングを利用することで、ファンがダイレクト課金者となってくれる時代がやってきました。

そしてクラウドファンディングは単に資金調達の手段に留まらず、自身(自社)の売りたいモノやサービスにどれだけの支援者がいるのかを把握する指標にもなります。

「需要を操作するのは難しいけれど、需要を事前に知り、必要な分だけを作ることはできる。
現代はクラウドファンディング等でのマーケティングが可能になったのだから、それを絡めない手はない。
予測を立てるにしても、「過去の実績」よりも、「現在の受注数」の方が、判断材料として精度が高いだろう。」
西野亮廣著『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』(P284より引用)


クラウドファンディングを絡めれば売れない本など存在しないと著者は言い切ります。

需要がある分だけ作り、販売できれば理論上赤字は発生しないのです。

この事実は書籍だけでなく多くの商品、サービスに当てはめられるのではないでしょうか。

信用の勝ち取り方

お金=信用
クラウドファンディング=信用をお金に変える装置

前述のポイントを踏まえると、現代にモノを売るためにすべきことの答えが導き出せます。
信用を勝ち取ることです。

著者は信用の勝ち取り方について、自身の経験から以下のようにまとめています。

・嘘をつかない

現在はSNSやスマホの浸透によって嘘がすぐにバレてしまいます。

著者は「嘘が嘘としてカウントされる時代」であると表現しています。

タレント活動でいえばグルメ番組で食べた料理は不味くても「美味しい」と言わなければなりませんが、視聴者はお店の評価をすぐに調べられます。

結果として「あのタレントは嘘をついている」という評価となり、テレビ出演により「認知」は得られても「信用」を得たことにはなりません。

空気を読んで嘘をつく行為は、信用を勝ち取るという目的の前では逆効果でしかないというのです。

・意思を明確に表明する

これは上記の「嘘をつかない」と同義といえます。嘘をつかないことは意思を明確に表明することとイコールだからです。
たとえば大御所の芸能人に対しても臆せずに意見を言う。当然批判も巻き起こりますが、同時に「言いたいことを言う人」「嘘をつかない人」という「信用」も手に入るのです。

・嘘は感情ではなく「環境」によってつかされる

「嘘をつかない、意思を明確に」と簡単にいっても、実践するのは難しいものです。前述した芸能界の例をビジネスシーンに置き換えるとどうでしょう。

・上司に誘われて仕方なく飲みに行く。
・会議の改善点が浮かんだが空気を読んで伝えなかった。
・取引停止を恐れて理不尽な要求に応えた。

いずれも「生きるために仕方ないこと」として甘んじてしまいがちなシチュエーション。意思を表明することの難しさを物語ります。

意思表明ができない要因は「会社での立場が悪くなることを懸念して」「取引相手の顔色を伺って」など、「環境」にあります。

「嘘は感情によってつくのではない。我々は環境によって嘘をつかされる」
西野亮廣著『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』(P44より引用)

・意思表明できる環境を作る著者はオンラインサロンを運営しています。会員になると月額1,000円でさまざまな特典を受けられる仕組みです。

「大御所に意見をしたり、情報番組のやり方に納得がいっていないことを行動で表明したりすると、オンラインサロンの入会者数が顕著に増える。」
「300人増えれば、月の収入が30万円増えることになる」
「意思を明確に表明した覚悟と、その裏事情や日頃の考えを知る為に、お金が支払われている。」
西野亮廣著『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』(P55より引用)
「自分の意思を表明すれば、オンラインサロンの会員が増え、さらに意思を表明しやすくなる。」
「つまり、嘘をつかなくても良い環境になっているので、そもそも「嘘をつく」という選択肢がない。」
西野亮廣著『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』(P60より引用)

嘘をつかず、意思表明することにメリットがある環境が整っていれば、空気を読む必要がないということです。

信用を得るには嘘をつかないこと。そのためには嘘をつかないことがメリットとなる環境づくりが大切というわけです。

ビジネスシーンに当てはめると「収入源を複数持つ」こと等が考えられます。

「貯金」ではなく「貯信」の時代


本書のなかで筆者は、信用もお金を貯金するように「貯信」するという考え方を提唱しています。
たとえば独演会を赤字になるような超低料金で開催し、訪れたお客さんから「感謝された」状態でクラウドファンディングを実施する。

すると「独演会を通常料金で実施した場合」と比べて収支的には変わらなくても、クラウドファンディングの「支援者数」は増えます。

支援者数は信用が可視化された数字ですから、「信用が貯蓄された」状態といえるのです。

このように、目先の利益に囚われず「いかに信用を積み立てていくか」という視点が、目的達成の最短ルートであると著者はいいます。

インターネットで世界中が繋がり、クラウドファンディングやオンラインサロンといった「信用をお金化するための装置」が完成した現代でも、やはり、お金が一番力を持っているのか?
その問いに対する僕の考えは「NO」だ。理由は、お金を信用に両替することはできないが、信用をお金に両替することはできるから。
これからは、信用が力を持ち、「信用持ち」が時代を獲る。
西野亮廣著『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』(P262より引用)

信用経済時代で効果的なマーケティング手法5選


5000部売れればベストセラーといわれる絵本業界にあって「えんとつ町のプペル」は40万部を超えるメガヒットを生み出しました。

広告戦略の項目を読むと、その途方もない数字は決して知名度によるものでなく、何重にも仕掛けられた「売るための戦略」がもたらしたものであると納得させられます。

では「えんとつ町のプペル」はいかにして40万部売れたのでしょう。正解なき時代の最適解を抜粋していきます。

 1.フリーミアム戦略

各所で話題になったのでご存知の方も多いかと思いますが「えんとつ町のプペル」は発売時に全ページがWEB上で無料公開されました。

内容をすべて公開してしまうなんて、と賛否両論が巻き起こりましたが、結果的に売上は伸びたそうです。著者はこの奇妙な現象をフリーミアム戦略をとったためだと説明しています。

フリーミアム戦略とは、以下のようなビジネスモデルのことです。

「基本的なサービスや製品は無料で提供し、さらに高度な機能や特別な機能については料金を課金する仕組みのビジネスモデル」
参考:フリーミアム
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%82%A2%E3%83%A0)

通常版は無料だけど、ハイグレードなプレミアム版は有料、などWEBサービスなどで見かける手法ですね。

WEB上に全ページを無料公開した主な狙いは以下の3点。

・忙しいママさんが「立ち読み」の代わりに活用した→絵本はネタバレした作品しか買われない
・WEB上では縦スクロールなので親子による「読み聞かせ」ができない→結果紙の本を購入する
・無料公開それ自体がセンセーショナルなニュースになる→広告効果抜群

結果として見事にこれらの狙いは当たりました。「無料公開なんかしたら買ってもらえなくなる」という従来の常識はすでに崩壊しているのかもしれません。著者も無料化の波は加速していくと予測しています。

2.「セカンドクリエイター」を巻き込む

たとえば僕とあなたの2人で何度も何度も議論を重ね、1年間を費やして一生懸命、本を作ったとする。
するとその本は、最低2冊は売れる。僕とあなたが買うから。2人で作った本が2冊売れるのであれば、10万人で作った本は、10万部売れる。これまで僕らは「いかにお客さんを増やすか?」の競争をしてきたけれど、そんなことはしなくてよくて、「作り手」を増やしてしまえばいい。作り手は、そのまま消費者になるから。
西野亮廣著『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』(P174より引用)


「えんとつ町のプペル」の制作、広告過程で行った2回のクラウドファンディング。その本当の目的は作り手を増やすことだったと著者は振り返っています。結果、1万人の作り手を生み、そのまま予約段階で1万部売れたそうです。

クラウドファンディングは、資金調達のツールではなく、共犯者作りのツールである。
西野亮廣著『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』(P174より引用)

共犯者=支援者を増やすか。これからのマーケティングを指し示したひとことではないでしょうか。

3.人は「体験」に紐づけるとお金を払う

絵本を含め、書籍やCDなど「作品」に分類されるものに、人はなかなか財布を開きません。ところが観光地に置いてあるおみやげとなると、途端に財布の紐は緩んでしまいます。

「モノ」ではなく「思い出」にお金を払っているからです。著者はこの点にも目をつけました。

商品は、体験に紐づければ確実に売れる
西野亮廣著『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』(P180より引用)


作品と同時進行で「体験」を作ることで「おみやげ」である作品を売るという手法です。実際に「えんとつ町のプペル」では個展を開催し、その出口で絵本を販売する抱き合わせのアプローチをとり、成功しました。

4.「広告する」のではなく「広告させる」 口コミが最強

現代の宣伝力は、つまり信用力だ。信用が担保されない広告に、広告効果などない。
西野亮廣著『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』(P189より引用)


国民全員が情報を発信してくれるような現代にあって、広告とは「いかに口コミさせるか」なのだといいます。

自分一人で広告をしてはいけない。”広告させる”ことが大切だ。
西野亮廣著『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』(P191より引用)

「えんとつ町のプペル」の広告戦略には「歩く個展」や「光る個展」など一見エキセントリックなものもありましたが、それらはインスタグラムにアップされ、瞬く間に拡散されました。

こうして「えんとつ町のプペル」に興味のない人たちと、さらにその外側にいる人たちにまで届けられたのです。

5.「ニュースを出す」のではなく「ニュースになる」

広告のあり方が変わった現代では、たとえばツイッターの公式アカウントが「情報解禁!」と銘打って出したプレスリリースが話題にならないというケースが多くあるそうです。

大切なのはニュースを出すことではなくて、ニュースになることだ。
西野亮廣著『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』(P215より引用)

対照的にバンドHi-STANDARDは徹底的に発売情報が隠され、ある日突然、いっせいに店頭へ並び大変な話題になりました。情報をどのように扱い、話題にするのかもこれからのマーケティングに重要な思考と著者は語っています。

マーケティングの常識をアップデート

『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』は、すべてのページに現代を生き抜くヒントが散りばめられた「現代マーケティングのバイブル」。モノやサービスを売りたい人、新時代のマーケティングについて成功者の視点を取り入れたい人におすすめです。

関連note

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ありがとうございます♡僕も読みにいきますね✨
ユーキ@仙台のWEBディレクター
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