小説 失われたお菓子を求めて(2007年)
昼下がりだった。わたしは公園のベンチに腰掛けて、目の前のむき出しになった土色の地面を見るともなしに茫茫と見ていた。そこらかしこの隅々に、散乱したタバコの吸殻や、小さなビニール袋、中身の入っていたり入って居なかったりする、食べ残しのついた透明なプラスチックの容器などが転がっていた。乾涸びた百合の木の木の葉たちがところかまわず散らばっていた。オレンジ色の目をしている、鳩たちが、近くをぞろぞろ歩いていた。そのうちの二、三匹は、両翼を慌ただしくばたつかせていた。ふと気がつくと、二匹の