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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第三章 苦痛の葬送曲(レクイエム)
525.四つの祠

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 頷くコユキに代わって善悪がラビスに聞く。

「んで祠ってどこに有るのでござる? 行くなら早くした方が良いでござろ? 多分ここ最近起こった出来事と関係あるのでござろ? タイミングバッチリだし」

 ラビスは頷いてから答えた。

「きっとそうだよ、世界ヤバイ! って感じなんでしょう? レグバの計算通りに動けばちゃんと救われる筈だよ! 祠の数は四つ、一つ目は北海道白老しらおい町、ウポポイに隣接したポロト湖の対岸、林の中に有るよ! 二つ目以降は一か所訪問した後に一つづつ教えるように言われてるんだ、まずはレッツゴー! 試される大地へ!」

 コユキは生まれて初めて訪れる北海道にビビる事無く、フンスっと鼻息荒くやる気に満ちた表情を浮かべる。

 光影と丹波晃も自分たちが巻き込まれた事態の規模が、国内とは言え随分広範囲になって来た事への緊張からか、揃ってゴクリと喉を鳴らすのであった。

 コユキはこのまま旅立ちそうな勢いで言った。

「んじゃ、ささっと行ってくるかな、善悪、富士山静岡空港まで送って行ってよ」

「まあまあ慌てないで防寒具の準備とかしてからの方が良いのでござるよ、常夏の静岡とは寒さがレベチらしいでござるからね、幾らコユキ殿のミートテックが分厚くてもいつものツナギだけって訳には行かないのでござるよ」

「ええー! アタシ厚着好きじゃないのよねー、サイズも基本無いし……」

「んじゃせめて、僕チンのドテラだけでも羽織って行くのでござるよ、土蔵で探してみるからそれからね」

 このやり取りに光影と丹波晃が気の抜けたような言葉を交わした。

「何か思ったよりリラックスした感じなんだな……」

「ですね、悪魔とか神様とか言ってたからもっと深刻な感じかと思っていたんですけど随分気楽そうですよね」 

「なはは、慣れよ慣れ! 二人も直こんな感じになるわよん、なはは」

 善悪が土蔵に向かおうと腰を上げたタイミングでオルクスが大きな声で叫ぶのであった。

「タ、タイヘンダ! バカ、キタヨ! イッペンニ! ロク、イイヤ、ジュウニ、イヤイヤ、サンジュウロク、マダマダ、フエル! タ、タイグン、ダー! 35.1542、139.0220――――」

「その座標ですと以前コユキ様が公時きんときのクラックから進んだ箱根町の碓氷うすい峠です!」

 モラクスの説明にコユキが慌てて立ち上がり善悪に向かって叫んだ。

「キー! オハバリ様のクラックが悪魔達の襲撃でも受けてるんじゃないの! ライコー様やツナ君達が心配だわ! 緊急事態よ! 善悪、オルクス君! ウーバーでアタシを送って頂戴! 今すぐよ、今すぐなのよぉ!」

「ま、待てよコユキ! カイムや熊達みたいになったら事だぞ! ウーバーは止めとけって! 我がネヴィラスを呼んでクラック移動させるから、ちょっと待てよ!」

「そ、そうだよ姉様! それに転移ならここにいるラビスのスキルの方が安全だよ! 怒らせればいいんだよね? だっせ! 超だせぇなお前! 赤似合って無いし首座って無いしチョーだせぇ! ほら怒れよ、怒ってコユキ姉様転移させろよ! 早くしろよ!」

「いや、ださいって言われた位じゃ怒れないよ、自分でも『ダサいなこれ』とか思っちゃってるし……」

「ア、イマ、サンビャク、コエタ……」

「ほらっ! んな事言ってる場合じゃないわよ! 一か八かウーバー試すしかないじゃない、サッサと――――」

『あーテステステス、こちら正一、コユキ聞こえる? テステステス』

「っ! しょ、正一さん! 大丈夫なの? すぐ駆け付けるから、待っててね!」

 突然、存在の絆経由でコユキに話し掛けて来た正一、オハバリの声は不思議な事に善悪始めバアルやアスタロト、フィギュア達のみならずパーティー外のリエやリョウコ、丹波晃や幸福光影の頭の中にも同様に響いたのであった。

「こ、これは?」

「頭の中に直接語り掛けているのか」

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拙作をお読みいただきありがとうございました!

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