【連載小説】私、悪役令嬢でしたの? 侯爵令嬢、冒険者になる ~何故か婚約破棄されてしまった令嬢は冒険者への道を選んだようです、目指すは世界最強!魔王討伐! スキルは回復と支援しかないけれど……~
81. 令嬢、特訓 ④
いつも黙って自分に従って来た三人の強い意志の込められた言葉を聞いて、考え込んでいたエマがややあって口を開いた。
「分かりました、デビットとマリアも行ってらっしゃい、でも二人にもきつく申し渡しますわ! 決して無理をしない事! そして無事帰って来る事、これは命令なのですわ! 良くって? 」
「分かっていますお嬢様、デビット誓って無理はしません! 」
「私もです、力量不足と感じればピューっと逃げてしまいますわ! 三十六計逃げるにしかず! マリア脱兎の如く! ですわっ! 」
「では出発は明日にして、今日は早めに宿に戻る事と致しましょう」
「三人とも留守の間は僕に任せてくれ! エマの事は必ず僕が守って見せるから! 」
「「「頼みます、デニー! 」」」
「ああ」
翌朝、ルンザの街から出発するイーサン、マリア、デビットの三人を見送るエマとデニーの姿があった。
イーサンはシュバルツをデビットはグラオを牽いているが、馬に乗れないマリアに合わせて歩いて出発したようだ。
三人の姿が西へ向かう街道から見えなくなっても尚、暫く手を振り続けるエマであった。
昨日は堂々と気丈な所を見せた物の、子供の頃から近しく仕えてくれていた三人と離れる事は、やはり心配なのであった。
当の三人はしばらく歩いた先の分かれ道、そのまま西に向かう街道と、バーミリオン領を経て更に南の僻地まで続く南の街道との分岐点で足を止め言葉を交わした。
「イーサンの旦那、マリア、私はここから南に向かうが、決戦の二日前までには必ずルンザに戻るつもりだ! 二人とも気を付けてな! 」
「ああ、君も気を付けて、必ずまた会いましょう! 」
「貴方おっちょこちょいなんですから気を付けなさいよ? 死んだら駄目ですよ! 」
「ははは、マリアに言われちゃお終いだな! 」
「二人ならさぞ良い夫婦になるでしょう、似た者同士のご夫婦に」
「「……」」
恥ずかしそうに顔を赤らめて俯くデビットとマリアをそのままにイーサンは話を続けた。
「それにしてもデニーがパーティーに加わってくれて、本当に良かった…… そうは思わないかね? 二人とも」
デビットが答える。
「確かに、デニーの世話を焼いている内にお嬢様の笑顔が増えたからな、ストラスが別れを告げてからこの町を去る迄の期間の落ち込み様と言ったらお可哀想で見ていられなかった…… 」
「本当ですね、最近はデニーと二人でいるといつも笑顔で…… 見ていてこちらが嬉しくなるほどにお似合いの二人ですわ」
イーサンが表情を真剣なものに変えて言った。
「これから魔王を無事討伐できたらお嬢様はどうするのだろうか? 冒険者を続けるのか、はたまた侯爵家に戻られるのか? 」
デビットも声を低い物に変えて言う。
「戻られるとなれば、身分の差、か…… 」
マリアが泣きそうな顔で続けた。
「お可哀想ですわ、お嬢様…… 」
それっきり三人とも暗いムードを漂わせて考え込んでしまっていたが、やがてイーサンが決意の込められた声で言う。
「なんにせよ、我々はお嬢様を近くで支えれば良い! その為にも新たな力を手に入れようでは無いか! 」
「だな! マリア落ち込んでいないで頑張ろうぜ! 」
「ええ、ええ、分かりましたわ! 鬼共をシバキ回してくれましてよ! 」
「その意気だ! 」
「ははは」
そうしてデビットはグラオに乗って南へと向かい、イーサンとマリアも昼前には分かれ道に辿り着くのであった。
再び挨拶を交わして互いの健闘を祈り合った後、イーサンはシュバルツに騎乗して西へ、マリアは北に向かって猛烈な速度で走り去って行くのであった。
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お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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