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【連載小説】私、悪役令嬢でしたの? 侯爵令嬢、冒険者になる ~何故か婚約破棄されてしまった令嬢は冒険者への道を選んだようです、目指すは世界最強!魔王討伐! スキルは回復と支援しかないけれど……~
82. 令嬢、商う ①
三人を見送ったエマは、デニーと肩を並べてある場所に向かっていた。
その場所とは、一月ほど前ルンザに出来た、商人ギルド、いわゆる商人たちの互助会兼、連帯補償組合である。
今を去る事一週間前、ノブレスオブリージュは五人揃ってある依頼を商人ギルドに対して出していたのである。
依頼内容は、信頼できる商人の紹介、さらに条件として、目先の利益でなく将来性を重視する事、適正な利鞘以上を稼ごうとしない事、質素倹約な人物である事、と、そんな商人いる訳無いだろう? 誰もがそう返しそうな無理難題を強引に受けさせていたのである。
事実受け付けてくれた真面目そうな事務員の若い男性は何度も何度も言っていたのである。
『恐らく無理だと思いますよ? どなたも手を上げなくても私のせいでは無いですからね? ギルドを恨まないで下さいね! 』
と。
エマ達五人は胸元のプラチナドッグタグを輝かせながらにたぁ~と不気味に笑って依頼を押し通したのだ。
事務員は心の底から怯えた表情を見せながらも、プロ根性で勇気を振り絞って、暫く時間をくれるように頼んだのである。
事務員の言った時間とは一、二か月後であったが、若しかしたらと期待を込めた面持ちで毎日結果を聞きに訪れている、エマとデニーの二人であった。
これは純粋に期待から来る行動であって決して圧迫を掛ける為では無かったのだが、事務員の顔つきは日に日にげっそりとやせ細り、顔色もどす黒い物に変わって来ていた。
エマの判断では今日辺り、倒れてしまっても不思議では無いと思っていた。
勿論自分たちが原因だなどとは露ほども思っていない。
今日も事務員が辛そうならば原因を聞いて相談に乗ってあげよう、そんな風にデニーと相談していた位である。
辿り着いた商人ギルドのお洒落な扉を開けたエマとデニーは予想を裏切られるのであった。
二人の訪問に気付いた途端、痩せこけた事務員が嬉しそうに顔を綻ばせて走り寄って来たのである。
エマが慌てて言った。
「ああっ、そんなに急に走ったりしたら死んでしまいますわよ貴方! ほらゆっくり息をするのですわ! スーハースーハー」
デニーも同じ意見のようだ。
「そうだよ、無茶はいけないよ、君! 蠟燭は燃え尽きる直前、最後に一際大きく燃えて消えると言うけれど、自暴自棄になってはいけないよ! 」
親切な二人の言葉だったが、事務員の男性はあろうことか返事もせずに自分の主張を始めたのであった。
「お喜びくださいお二人とも! 話を聞いてくれると言う殊勝な、本当に奇特なお方が見つかりましたよ! 頑張って口説いて下さいね! そして二度と商人ギルド、いいえ、私が担当している時にいらっしゃらないで下さいね! 」
中々に失礼な言い様であったが、年齢の割りに大人な二人は多少むすっとしただけで事務員を咎めたり殺したりすることは無かった。
マリアが聞いたらと思うと背筋に冷たい物を感じたが、彼女は旅の空なのである。
事務員の命は九死に一生を得たのであった。
エマが気を取り直して言った。
「それでお話を聞いて下さる商人の方はどちらに居られるのでしょうか? 」
「今、応接室でお待ちになっていますよ、昨日ですね、多分この時間にお二人がいらっしゃるとお伝えして置いたので」
デニーが感心したように言った。
「へー良く分かったね? 」
事務員が平然と答える。
「ええ、毎日毎日同じ時間に確認に来られてるんですから判りますよ、私、馬鹿に見えますか? 」
なるほどと納得した二人は事務員の案内で応接室へと向かった。
コンコン!
事務員が室内に声を掛けた。
「ノブレスオブリージュの方がお越しになりました、入っても宜しいですか? 」
「ええ、勿論です、お願いします」
「失礼します」
応接室の中には席から立ち上がった若い銀髪の男性が頭を下げていた。
その姿勢のままで丁寧な挨拶を始めた。
「初めまして私は王都のポンダー商会の次男、クリスめでございます、この度実家から独立してこのルンザに商会を立ち上げる事にしましたので、是非あなた方のお話を伺いたいと、本日はお待ちしておりました」
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お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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