【連載小説】私、悪役令嬢でしたの? 侯爵令嬢、冒険者になる ~何故か婚約破棄されてしまった令嬢は冒険者への道を選んだようです、目指すは世界最強!魔王討伐! スキルは回復と支援しかないけれど……~
52. 令嬢、メンバー募集する ③
翌朝、エマはいつもより随分早い時間に宿の食堂に降りて来たのである。
別に暗闇が怖くて眠れなかった、等という事ではない。
最近は随分慣れていて夜中に目が覚めたとしても平気で廊下や手洗いへと歩き回ったりしていたのだ。
調子が良い日などは、昼間でも目を閉じて宿の中を駆け回れるほどの成長を見せていた。
マチルダがエマに気付いて声を掛けて来る。
「早いじゃないかい、おはようエマ、食事を持ってくるかい? 」
エマが笑顔で答えた。
「おはようですわマチルダさん、お食事はまだ良くてよ、皆が起きてから一緒に頂きますわ、ありがとう」
マチルダはエマの為に水差しとコップだけを置くと厨房の中へ戻って行くのであった。
────今日のデニーさんとの面談が楽しみ過ぎて、馬鹿みたいに早く目が覚めてしまいましたわ…… 皆にはああ言った物のお金は有るのに野宿が好きとか? 些か警戒して掛からないといけませんわ、それがリーダーである私の務めですものね
緊張のせいで喉が渇いていたのであろう、エマは水差しからコップに注いだ水を、ゴクゴクと音を響かせながら飲み干すのであった。
その後、いつもの時刻に起きてきたマリアは主人であるエマが先に起きていた事に悲鳴のような叫びを上げた、さらに同じ理由でショックを受けたイーサンの非礼を詫びる声、更に更に同様にデビットの驚く大声が響いた食堂で、いつもより少し早めの食事を終えたノブレス・オブリージュの面々は引き締められた表情でエマの宣言に答えるのであった。
「宜しくて、みんな! 参りますわよ! 」
「「「はいっ! 」」」
覚悟を決めて階段を下って行った四人に向けて、滅茶苦茶早めに出勤をして来たアンナの声が届いたのであった。
「おはようございます! エマさん、皆さん! お待ちになっていますよ、デニーさんが! 」
ゴクリ……
揃って喉を鳴らして、今更ながら緊張を顕にする四人に早出出勤間違いないであろうアンナが言葉を続けたのである。
「今日は又特別酷いですけど、なんか嬉しそうにへらへら笑っていたのです! 何かあったら大きな声を出して下さいねっ! すぐに駆け込みますのでっ! 」
「え、ええ、分かりましたわ」
鼻息荒く腕捲りをして見せたアンナのいつに無い態度が、エマ達の緊張を一層高めてしまうのである。
「では、こちらへ…… 通路の突き当りの右側の部屋に、デニーさんがお待ちになっているのです! お気を付けて」
「はい…… 行きますわよ! みんなっ! 」
「「「ははっ! 」」」
冒険者ギルド一階の裏手の廊下、その最奥に辿り着いたノブレス・オブリージュのメンバー達、リーダーであるエマは右手のドアをノックしたのである。
コンコンッ!
やや有って部屋の中から落ち着き払った声が返されて来たのであった。
「どうぞ」
僅かに頭を下げながら室内に踏み込んだエマ達はそこに立って待っていた人物、デニーを目にして動きの全てを止めるのであった。
部屋の中に立ってエマ達を迎えた人物は、何と言うか、酷い有様であったのである。
具体的には、全身に黄色と褐色の間の粉、木を削った際に出る削り粉、大鋸屑が全身を覆った姿のまま、へらへらした下手糞な笑顔を受けべる青年、青年? まあ、青年だろう、そんな感じの汚い奴がこちらに薄汚れた顔を向け乍ら言ったのである。
「ごきげんよう! ノブレス・オブリージュの皆様! 僕はデニー、只のデニーです! どうぞよろしく頼みます! 」
話し終わると同時に流麗な仕草で浅めの礼をするデニー。
片足を後ろに引いて同じ方の手を回して心臓の前に持って来ていた、礼式に適った動作であった。
ノブレス・オブリージュの四人は心中で同じ感想を抱いていた。
────何だ、全然まともじゃない!
と。
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お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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