【連載小説】私、悪役令嬢でしたの? 侯爵令嬢、冒険者になる ~何故か婚約破棄されてしまった令嬢は冒険者への道を選んだようです、目指すは世界最強!魔王討伐! スキルは回復と支援しかないけれど……~
56. 令嬢、メンバー募集する ⑦
「失礼ですが、デニー、貴方はどういった場所で食事を摂られているのでしょうか? 聞かせて頂けますでしょうか? 」
デニーは当たり前だと言わんばかりに答えた。
「それは、当然ですがレストランですよ、まあ、この町では王国が認めた『シルシ』持ちのお店は宿屋一軒きりですけどね、そこで頂いておりますよ、どこか可笑しいでしょうか? 」
その後聞き出した食事場所は、このルンザに来た初日にエマ達が泊まった紋章で飲み食いできる高級旅館である事が判明したのである。
ここで首を傾げたのはノブレス・オブリージュの金庫番を務める貨幣通、デビットであった。
「にしても高く無いか? なあデニー、あそこの食事は高い日でも金貨一枚弱だった筈だと思っていたのだが…… デニーの一日の稼ぎだって金貨二、三枚程度は有ったのだろう? ならば野宿なんかしなくても、宿に泊まる事も出来たんじゃないのか? 」
デニーがデビットの疑問にしらっとした表情を浮かべて答える。
「ええ、食事だけでしたら金貨一枚もいりませんが、でも給仕をたった一人だけでも雇えば一食に金貨二枚は必要でしたよ、結局飢えない為には一日の稼ぎが消えてしまうので、それでも一日二食、数日に一度は一食だけです、宿泊場所まで考える余裕が無かった、そう言う訳なのですよ! しかし飢えて魔物に挑んだ日は死に掛けましたから、力が出ないのですよ、その日以来学んだのです、飢えの恐怖を…… 飢餓とは本当に恐ろしい物ですからね、その事を思い知らされました」
聞いていたエマは残念な人を見る目でデニーに言ったのだった。
「給仕、ですの…… ねえ、デニー、貴方お幾つになるのかしら? 」
デニーはキョトンとして答える。
「僕ですか? 今年で十六歳ですが、それがなにか? 」
エマは心中にて思う。
────私より一つ年上でこれ程の世間知らずが存在するとか…… 給仕なんて、学園の食堂でお昼を頂くようになった十一の時から私でも使っていないと言うのに、想定外の出来事ですわね、んでも、これこそがデニーと我々が出会った、その意味かも知れませんわ! ならば教えて差し上げましょう! この世界の常識をっ!
そしてエマは言うのであった、やけに偉そうなお姉さん風味を漂わせて、である。
「デニー? デニーデニーデニーったら、何にも知らないのですわ! もうっ! 仕方が無いのです! 今日から私たちが庶民たちの常識を教えて差し上げましてよ! 」
デニーは大きな声で答えた。
「え、ええ、ええええ、じょ、常識を…… そっか、そうだよな、分かった、学び取って見せようでは無いか! ぜ、是非頼む、エマ、皆も! 下々の暮らし方や庶民の節約の仕方をこの僕に教えてくれ! 」
エマが鼻をフンスッと鳴らして宣言をした。
「では参りましょうか、アンナさんにパーティーの構成が変わった事の報告をして、露店の名店、銅貨三枚でお腹一杯、隠れた巧み、我々がここ三か月の間、お弁当にし続けている串焼き屋さん、コーフク夫妻の激うまモンスター肉の山賊風串焼きのお店へとぉ! 」
「え、え? ええ? モンスターの、肉? ですか? 」
「「「はい! 参りましょう! 」」」
バーンと勢いよくギルド最奥の部屋の扉を開けて通路に出たエマ達を迎えたのは、ここ一時間ほどの間に随分痩せこけたアンナであった。
「エマさん! 大丈夫でしたか! 」
エマが美しい表情でアンナに感謝の礼を返した。
「ええ、勿論大丈夫でしてよ、アンナさんに感謝いたしますわ! この度は私達に稀有な出会いを与えて頂きましたのです! ありがとうでございますわ! 」
「え、じゃあデニーさんとパーティーを組むんですか? その、本当に? 」
***********************
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
Copyright(C)2019-KEY-STU
※この作品は『小説家になろう』様にて、先行して投稿している作品でございます。宜しければこちらからご覧いただけます^^↓
励みになります (*๓´╰╯`๓)♡