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『元キーエンストップ営業マンの最大の難問と克服した思考とは?』

私が前職のキーエンスという会社で体験した逆境とその時どう乗り越えたのかを振り返ろうと思います。
おそらくですがこの逆境に関して、当時一緒に働いていた同部署の先輩方は『絶対に無理だろ』と半ば笑うような内容だったため、ストーリーとしてはかなり濃いものになります。

この逆境というのは、私が本社で勤務していた時のことになります。
私は経営と営業を学びたいという気持ちから、このキーエンスという会社で働くことを決め入社しました。
その上で、本社で管轄されている経営と現場での営業戦略のどちらをも最短最速で学ぶとなるとどうすればいいのか、どういったルートが最短なのか考えた結果、新卒で本社へ入りその後営業への異動をして、結果を出すというのが最短ルートだと考えました。
そして私はその期間を自分に対して「3年」という期日設定をしました。

幸いにも本社でのキャリアをスタートし、キーエンスという会社の経営や販売戦略企画など、裏側を支えるあの会社のすごさや考え方を体得できました。
そして1年半が経ち、いよいよ営業へ異動しようと考え、異動希望を直談判しに行きましたが結果は却下です。
どうしても営業へ行きたいという思いを伝え続け、そこから出された条件こそが逆境の始まりでした。

この条件というのがとにかく「普通では無理だ」と周りからは言われる、半ば諦めさせるような狙いでの条件だったと思います。笑

内容としては
①過去キーエンスの接触顧客(販売しているか否かを除き接触していた場合はNG)への干渉は不可
②営業外出は1週間で2日まで
③営業研修は無し ※独学です
④商品研修も無し ※独学です
⑤猶予は1ヶ月
⑥対象エリアは大阪以北のみ
⑦上記①~⑥をすべて満たした上で2台獲得

あまりピンとこないかと思いますが、キーエンスという会社の営業マンは一週間に3日外出しており、一日5~6アポという尋常ではないほど営業活動を積極的に行っている会社です。
その上で大阪以北のみで2台というのも普通に考えれば接触できるお客様がほぼいない為、販売はおろかアポイントすら取れずリストの作成もできません。
というのもネットサーフィンして製造業の事業をされている会社を調べても、そんなことはだいたいもうすでに先人たちが営業をかけてしまっています。
そこでまず、どうすればお客様の見込みリストを作れるのか、という点で考えアタックリストを作成しました。
その作成の方法が原始的ではありますが、タウンページを携えてHPもまだないような零細企業を中心に作成しました。
またそれだけでは件数が足りない為、Google Mapをひたすら拡大しては見て街を歩くように工業団地などを地図から調べ、地道にまだ接触されていない企業リストを積み上げました。
後は電話をかけるのみですが、そこでも鬼門がありました。
全く相手にされないことです。
市場相場より高価格帯での販売をしている会社の商品を町工場がいきなり購入するというのはハードルが高かったようです。
お客様とお会いできないことには話になりません。
そこで少し極端なアポトークに変更をしてみました。
限定訴求、対象確認、ギャップトーク…etc
これが見事に当たり一時期全く取れなかったアポが量産できました。
※そのトークの具体的内容はここで説明すると長くなるためまた別の機会で反響があれば書いてみます。

お客様へお会いさえできれば売り切る自信は相当ありましたのでここからの話は早いです。
零細企業だとしてもモノづくりをしている以上、困っている点は必ずあります。
その点に対して
・何に今課題を感じているのか【What】
・その課題はなぜ発生するのか【Why】
・課題に対してどのようなソリューションをお客様は考えているのか【How】
・もっとベストなチョイスをお客様に提示できるか【Which】
・その金額は投資対効果を解像度高く理解して下さっているのか【How much】
・その決済を今獲るためにどんな戦略があるのか、提案ができるのか【When】
・他の担当ではなく自分からお客様が購入するメリットは【Who】
・他社ではなくキーエンスから買うメリットは何か【Where】
このソリューションを徹底的に準備し、一社毎の提案にカスタマイズして解像度高い提案を続けました。
結果、2件の目標がふたを開けると3件販売していました。
1件目のお客様は特に思い出深く、車のガレージを改装し工場にしているネジ工場でした。
本当に普通では目につかない場所にある会社様です。
最初訪問させていただいたときには、社長が本当に怪訝な顔で一切提案を聞くことなく工場の奥の方で作業されていました。
今自分ができることだけを考え、まずは現場の担当者と事務の女性の方へもプレゼンテーションをして、その会社様の中での味方をたくさん作ることにしました。
そして、そうこうしている間に勝手に先方の社内では噂になっていきます。
そして3回目の訪問時にようやく社長が重い腰を上げていただき、商品を一瞬見に来ていただけました。
そして一言、『現場の担当のみんなへの話が終わったら事務所へ来られる?』
この時に価格の話になることは見えており、売れる実感が強烈に湧いてきました。
アドレナリンが出まくっていて手が震えている状態です。笑

そして事務所で着座した後、社長から出てきた言葉が予想通り『いくらになるの?』という言葉でした。
これは後にも先にもそうですが、購入意向が無ければそもそも金額の話にはなりません。そのためほぼほぼの確立で受注できます。
ただ焦れば終わりです。
そもそもなぜ金額が知りたいのか、この機械があればその会社はどんな未来を描けるのか、を慎重に社長とすり合わせました。
ここでの詰めが営業のレベルを決めます。
ここがおろそかだと値引きをしてしか販売できない営業マンになります。
結果、約550万円の商品を10万円の値引き程度で販売させていただけました。

これをきっかけに自信が付いた私はもう止まりません。
約2か月の間に3台を受注し、晴れて約束通り営業への異動が決まりました。

この話の中で逆境をどう乗り越えるのか、なぜ乗り越えられたのかという点がとても重要かと思います。
自分でも振り返った際になぜ自分はこの逆境に勝つことができたのか考えると、明確に一つ言えることがありました。
それは【目標の解像度と本気度】です。
自分はこのキーエンスという会社を通じてどうなりたいのか
いつまでにその目標は達成したいのか
なぜその目標を達成したいのか
達成した先に何があるのか
それはどこまで苦しい思いをしてでも成し遂げたい未来なのか
ここを強烈に私は強く持っていました。
今も仕事をする中で大切にしているのがこの【目標の解像度と本気度】です。
解像度が高かったとしてもその目標を心から達成したいと思わない限りは達成できないと思います。
例えばハワイに行って旅行したいなーと思うくらいであればだれもが思い描くと思います。
ただこの本気度というのはいつ、どんなホテルに泊まり、どんなレストランでご飯を食べて、旅の中で使うレンタカーはこんなオープンカーが良くてそのオープンカーはどこで予約できるなどです。
ここまで緻密なものは目標が中途半端では考え付かないものだと思います。
実際、好きな女性ができた時に本気であれば相手の好きなことやデートプランなど詳細に作りませんか?笑
それと同じ発想だと思います。

本能的レベルまで昇華させて目標を追えるようになると、ある程度のことは達成できると私は思っています。
こういった仕事への向き合い方などはTwitterやSNSで発信しているので、また機会があれば是非見てみてください!

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