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[すこし詩的なものとして]0052 わたしは欲ばった

ため息をつく
それは、なぜか

腹が立った
そんな今日のこの時間

仕事がうまくいかなかった
こんな夕暮れの時

邪魔ばかりする友人
ムダなことばかり言う上司

とても苛立つ
とても気が立つ
とても情けなくなる
すべてが無意味に思えてくる

だから帰り道のスーパーで
わたしは大好きな桃を買った

わたしの中に
わたしの冷蔵庫に
わたしの大好きな
桃を入れる

また腹が立った
仕事がうまくいかなかった
友人に邪魔をされた
どうして上司はいつも足をひっぱるのか

ため息しか出ない
ため息しか出ない
生きることにつかれるのは
こんなことばかりだからだ

だからわたしは帰り道のスーパーで
大好きな桃を買った

わたしの中に
わたしの冷蔵庫に
わたしの大好きな
桃を入れる

ばかだな
奥にある桃は
腐っていた
甘いけど
危険な香りがしている
でも
わたしは気づかないフリをして
その前に買ったばかりの桃を置いた

ああ
ばかだ
布団の中でそう思った
明日腐った桃は捨てよう
でもなんだかもったいないな

もうね
なんでもかんでも気持ちをかけるのは
やめてしまえ
自分くらい自分で守ってあげなよ

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2021年がはじまった。
僕という人間は特別でもなんでもないと思っていた。
でも、誰かのための特別なのではなく、特別なのは自分にとっての自分の存在なんだということに思い至った。
そういうことに向き合える年にしたい。

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