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[すこし詩的なものとして]0154 轍の上に落ちて溶けゆく

気がつくと
枝から何羽ものカラスが
飛び立っていった
遠くの空へ向かって
羽ばたいて

瞳に映る現実は
大人になって四半世紀が過ぎた
空虚な世界

別に腹が立っているわけでもなく
流れた時に振り向くくらいの
寂しさくらいがちょうどいい

アスファルトに降り積もる
雪のひらひら
現世のものとは思えない
白さと脆さは
なぜ心を踊らすのか

向かいのポストに投函される
手紙だか
封筒だか
郵便配達員の駆ける
原付の音も
カラスの鳴き声のように
遠くの空に散ってゆく

人の一生とは如何に
カラスの一生とは如何に
雪の一生とは如何に
舞う空の中
風に吹かれて
轍の上に
落ちて溶けゆく

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寒さは頭を冴えせて、余計なことを考えさせる。
雪が舞う空を見ていると、心なしか幼い頃の楽しかった思い出がよみがえる。
この歳になってもそういう気持ちを覚えていたのかと、少しうれしくなる。


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