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猫が行方不明 レビュー

公式サイト、他

eiga.com

猫が行方不明 - Wikipedia

公開

1996年

監督

セドリック・クラピッシュ

キャスト

クロエ:ギャランス・クラヴェル
ジャメル:ジヌディーヌ・スアレム
ミシェル:オリヴィエ・ピィ
クロード:フランク・マゾーニ
マダム・ルネ:ルネ・ル・カルム
ロマン・デュリス
ベルカント:ジョエル・ブリス
カルロス:シモン・アブカリアン

感想

セドリック・クラピッシュ監督の出世作で、個人的には一番好きな映画。
ヒロインのクロエはバカンスのため愛猫を老女にあずけるが、失踪してしまう。
その猫を探してパリ中を歩き回り、いろんな出来事に見舞われながら、最後には意外なところから猫が見つかるという極端にシンプルなストーリー。
クロエを演じたギャランス・クラヴェルは、女優として本作1作しか出演していない。
ロエの人物像がどこか日本人女性に近いのも印象的。
可愛いがどこかパっと垢抜けず、仕事ではこき使われ、恋人もいない。
体型にもコンプレックスがあり、奮起してクラブに行くと変なナンパ男に絡まれ、猫探しでは老人の相手にうんざり。
あげく、チャラい男に体を許してしまう……
そんな描写を見ていて、どうやらクロエが探している愛猫は自分自身のメタファーだということに気づく。
最後に思いがけず近くに猫がいたことで、『本当の自分はすぐ側にいる』というメッセージなっている。
といってもその類いの説明台詞やナレーションはないので、自力で読み取っていかないとなんだかわけがわからないまま終わって「?」となってしまう作品。

最後に隣人のベルカントの引っ越しを手伝い、彼が自分の絵を描いていたことをしり、カフェでお別れ会をした後、クロエはとても自然な笑顔を見せて走り出す。
ここも一切説明がないので「なんで?」となる。
まあ有り体に言えばなくした自分を見つけてハッピーになったのだろうが、もっと言葉に出来ない感情が詰まっていそうで毎回謎ながら惹きつけられる。
この淡さやまどろっこしさがフランス映画的で、ちょっと日本文学っぽくもある。
最後のクロエの笑顔はこの映画しか出演していないギャランス・クラヴェルにしか出せない気がした。
演技なのか、ギャランスそのもなのかは分からないが、あの表情、あの雰囲気は野心満々の新人女優には演じられない気がする。
そんなことは置いといて、90年代っぽい雰囲気や、パリのお洒落感、同時にダークで怖い面などなどを観るだけでも楽しめる。

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