見出し画像

【小説】カスタマーレビュー

こちらは八幡謙介が2014年に発表した小説の試し読みページです。



カスタマーレビュー


(作中の誤字・脱字・誤変換は作者の意図によるものです。)


☆☆☆☆ 元は取れます
by さいぞう

序盤は少し重たい感があるが中盤からストーリーが動き出す。そこから最後まで一気に読み進めた。ネタバレになるから書かないが、クライマックスでの梨沙の行動にははっと息を呑む緊迫感があった。
問題の、、ライン風のレイアウトだが、私は演出として効果が出ていると思えた。
都会に憧れがある人には刺激的で面白い小説だと思う。
☆5つでもいいのだが、今後の期待を込めて☆4つとした。


☆☆☆ 悪くないです
by HK

最後のリサの行動、確かにインパクト大でした。けど、そこまでたどり着くのに忍耐が必要。時々、執拗な情景描写には「?」と首を傾げた。
なので☆3こ。
でも読書としてはいい読書ができるんじゃないかな。
あと、浩一はさすがにありえないと思った。。。


☆☆☆☆☆ 新しい才能
by 活字中毒親父

 驚いた。作者はまだ二十代前半だというが、今後の伸びしろを考えると末恐ろしいものがある。文体は一見平易な様で、その実よく吟味された語句がちりばめられており、それらが文章のリズムと馴染んでいるので、違和感を感じさせない。作者は相当な読書家であり、またその素養を十分に生かすための鍛錬を積んできただろうと想像する。

 作風としては都会に住む複数の男女が織りなす群像劇であり、三島由紀夫の「鏡子の家」を思わせる。現代的な風俗(LINE、2ちゃんねる、SNS等)を巧みに駆使して、それぞれの人物の深層心理や葛藤、また各人物間の距離を描き出す手法は極めて現代的で、しかも説明臭くない。こういった描写をいとも簡単にこなせるのは、デジタルネイティブ世代の強みであろう。

 情景描写はやや主観的ではあるが、東京の日常風景をよく描けている。私自身、都心で二十年商社に勤めているが、作者の伝えたいことは十分汲み取ることができた。下町やホームレスなどの描写が一切ないが、そうしたリアリティはこの作品の持ち味を殺してしまうだろうから、大胆に省略したのは賢明であると思われる。編集者の指示だろうか。

 まだ本書のレビューは少ないが、今後出てくるであろう批判について先回りして言及しておく。第四章で浩一が寝ながらメールをしてしまうシーンがある。それがきっかけとなりプロットが大幅に推進されるのだが、初読の際はいくらなんでも都合がよすぎるでは?と失笑した。しかし、気になって調べてみると、<睡眠メール障害>なるものがあると知った。一種の夢遊病らしく、寝ている間にいつの間にか友人や恋人にメールをし、翌朝起きても全く覚えていないという症状が世界中で報告されているらしい。作者はそれをいち早く取り入れたのだろうが、時代に敏感すぎるのか、少々早すぎた感も否めない。とはいえ、決してご都合主義ではないということをここに述べておく。

ここ数年、現代作家の作品には落胆しっぱなしだったが、久々に注目の新人が現れて喜ばしく思う。
応援の意味も込めて星五つとした。


☆☆☆☆☆ オサレだとオモタ
by ゆぅぁ

ぁたしのよく行くショップが出てきてびっくり☆
オサレな小説だとオモタ♪
作者ググったら超イケメソでなんか納得したし


☆☆☆ 旦那の本棚にあったので
by トモ君ママ

何となく読んでみました。


ふ~ん、今時の青春ってのはこんなもんかと変に感心(なんで旦那は若作りしてこんな小説読んでるのだ?(^_^;))


ラインみたいに急にレイアウトが変わるところにびっくりした。


けど、極端に少ない文字のやりとりであんな緊迫した駆け弾きを描けるなんて凄い!と妙に感心


旦那と喧嘩してたときのメール(当時スマホはなかった(-_-))を思い出してドキドキしました♪


☆ 何ら目新しさのない小説
by 或る文士 

何もない。其れが読後私に残った唯一の言葉だった。この小説(と呼べる代物か甚だ疑問ではあるが)の上梓を取り決めた編集者を小一時間問い詰めたいところである。
凡そ文学というものは、読者の実人生に於いて某かの影響を及ぼさなければならない。それがないものは文学とは呼べず、単なるラノベに過ぎない(私はそれを一度も読んだことがないし、これからも読むことはないのだろうが)。
所詮ラノベだと本作を無視してもよかったのだが、一分メディアに於いて本作が新時代の文学であると持てはやされていることに憤慨し、微力ながら筆を取った次第である。


此の作品は、二千十四年を舞台とした恋愛劇である。それはいい。いつの時代も、恋愛は世相や風俗を反映するから、主題としては何ら瑕瑾はない。また、中年作家がしばしば回避する最新のSNSも果敢に登場させており、それどころか物語を展開させるためのキーアイテムとなっていることには素直に感心した(この点を以てして”現代的”であると評するなら、それはいささか陳腐な論評であると言わざるを得ないが)。
しかし、である。本作には新しい風物はあっても、それに見合った精神がない。一つ例を挙げると、遠峰梨沙が桐島孝に送ったライン(既読)に対する返信が遅いことにやきもきする場面があるが、一昔前のポケベルや、ライン以前のメール、また留守電などの返信、返答を待つ女性の心理と何が違うのだろうか?モノが新しくなっただけで、精神は数年前、いや、数十年前の小説と同じようにしか書かれていない。新しいモノを登場させるだけなら、作者と同年代のちょっと気の利いた作家なら簡単にできるだろう。そうではなく、新しい時代の新しい人間を描くことが文学の本懐であるはずだ。それなのに、この作品には、そうした新しい精神、新しい人間が一人もいない(新しい症例はSNS同様ちゃっかりと登場させてはいるが)。篠原麻里の持つ女の怨念のようなものには肝を冷やしたが、それとて目新しさは感じられず、桐島孝の所謂”草食系”の描写も、時代精神を表すまでに昇華しきれていない。
本作が二千十四年に書くべき小説、書かれるべき小説であったとは到底思えない。


☆☆☆ 厨二だけど
by 堕天使

厨二だけど面白かったよ。
できれば俺が憧れる'90年代が舞台にして、当時の音楽とかファッションももっと解説してほしいい。
作者の年齢敵に違うのかな。
学校で本読むやついないからこの本について語れないのが残念だけどねw

(試し読み終了)

本作は「八幡謙介短編集」に収録されています。

八幡謙介の小説全作品をチェックする

八幡謙介のHP