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カミナシカスタマーサクセスの新機軸!「焚き火理論」とヘルススコアについて

お疲れさまです!
カミナシでCS(カスタマーサクセス)をしている石井といいます。

このnoteは何?
・カミナシのカスタマーサクセスが2023年から新たに取り入れた考え方、「焚き火理論」について解説したもの

誰に向けたnote?
・「顧客の成功」に再現性を持たせる方法に日々思いを巡らせている方
・ヘルススコアの設計に悩んでいる方
・カミナシのCSっていま何やってるんだろう?という方
などなど



背景

多くのCS組織と同様、カミナシのカスタマーサクセスでも以下のような困り事が発生していました。 

サクセスに再現性をどう持たせるか?が属人的になっている

ここでいう「属人的」には2つの意味があります
 ・担当CSのスキルやノウハウへの依存度が高い
 ・顧客の推進担当者のスキルやノウハウへの依存度が高い
とりわけ後者はコントロールが難しく、サクセスしてくださっているお客様の成功要因を見ていくと「先方の◯◯さんがすごい人だったので」で終わってしまうケースが一定数ありました。

数値情報だけでは「本当にサクセスしているか?」が読み解きづらい

例えば月間の利用数が100件のお客様と1,000件のお客様がいたときに、
100件だけどめちゃくちゃご満足いただけているケースもあれば
1,000件だけど解約意向を頂戴してしまうケースもあります
カミナシでも定量数値でファクトを見ていく、という定石に則り顧客の状態をモニタリングしていましたが、定量数値"だけ"だと担当CSの感覚と少し違う、というジレンマが生じ始めている状態でもありました。 

特に、アナログな業界において「DXの取り組み第一弾」として導入いただくことが多いカミナシの場合、現場での運用が定着するまでの変数が非常に多く、CSが知らない場所でガンガン自走いただけているケースもあれば、思い切りハイタッチに寄せてもなかなか定着しなかったりと、顧客のサクセスをCS側でコントロールしづらいという側面もあります。
仕組み化/型化については日々アップデートしていますが、「このプログラムを走らせておけば万事OK!」と言い切れるほど、顧客の成功は単純なものではない、ということを痛感しています。

どうしたら顧客の成功に再現性を持たせられるのか。
どうしたら顧客の成功を「血が通った」ロジックにできるのか。

この答えのない命題は前職時代からからずーっと考えて続けており、
「これなら行けるのでは…?」という理屈の骨子こそ持っていたものの、
完全な実行までは辿り着けずに諦めた過去がありました。
燻っていた構想をとある日の1on1で(遠慮しいしい)マネージャーの細見に伝えたところ、「良いっすね!それ、やりましょう!」と言ってくれました。

こうして「焚き火理論」が少しずつ日の目を浴びることになりました。

焚き火理論とは

「焚き火理論」についてはこれまでのCS活動の中で見えてきた「結局これが大事だよね」という要素と順番を再整理して「合言葉」にしたもの、という捉え方をしています。
特別目新しい考え方ではないかもしれませんが(内容は少し違いますがコミュニティの世界でも「焚き火」って使われてますよね)、その分あらゆるビジネスに適用できる汎用的なものになったと思います。
それでは、早速紹介します。

焚き火理論では、顧客の成功を4つの要素に分解しています
①薪
②種火
③風
④焚き火の状態

焚き火理論の全体像

🪵薪

これはなに?
・体制や人員など、プロジェクトにおける「ヒト」の要素
・顧客成功のための大前提
(薪がないと種火はつかないし、火のない薪に送風しても冷えるのみ)
これが悪いとどうなる?
・プロジェクト推進の責任が宙に浮く
・現場が動かないまま、プロジェクトが形骸化する

「カミナシと直接関係ない部署のメンバーがプロジェクトリーダーになっている」「決裁権を持たない人に更新のアプローチをかけている」「プロジェクトメンバーの中に、デジタル化に猛反対している方がいる」といったときは、この薪パートを見直す必要が出てきます。
プロジェクト推進における”薪のコンディション”はセールス/オンボーディング時点ではわからないことも多いため、定期的な振り返りが大切です。

🔥種火

これはなに?
・顧客がカミナシに取り組む理由
・プロジェクト推進における最重要要素
これが悪いとどうなる?
・顧客のカミナシに対する満足度や期待度がわからない
・宿題や目標に対する顧客のコミットがない

「プロジェクト推進のコアの力学がどこにあるのか?」に注目したのが種火パートです。
これは「中期経営計画でペーパーレスを謳っている」「大口の取引先からデジタル化の指示が出ている」など、会社都合で発生している”火”もあれば、「若手の自分がプロジェクトを成功させて周りをあっと言わせたい」「今までの非合理的な進め方を変えたいと心から思っている」など、プロジェクトメンバー個々人の中に”火”が灯っているケースもあります。
この種火をいかに見落とさないか/あるいはいかに着火していくか、はCSにとって重要な営みの一つになると考えています。

💨送風

これはなに?
・顧客とのタッチポイント
・定例や訪問、電話やメール、チャットなども全て該当
これが悪いとどうなる?
・顧客がカミナシの価値に気づいていない
・CS側が顧客の状態に気づいていない

薪を揃え、種火を灯すことにも成功した後はその種火を絶やさず育てていくフェーズに入ります。
それがこの送風パートです。
先方の薪と種火にそった空気の送り方をすることがここでのポイントになります。やっと見つけた小さな灯火に間違った方向から風を送りまくって消化してしまう、なんてことが起きないように注意が必要です。

🎯焚き火の状態

これはなに?
・顧客の状態
・要素①−③の結果

薪、種火、送風の3要素を進めた結果の一つとして、焚き火の状態を見ていきます。
ログイン率や各機能の利用状況、オンボーディングの長期化有無など、定量数値で測れる要素(≒従来のヘルススコアで見ていたデータ)の多くはここに該当します。

ポイント

いかがでしょうか。
改めて並べてみると「そりゃそうだ」という内容ですが、特にレガシー業界に相対しているCSの諸先輩方には「あるある」「わかるわー」と思っていただけたら嬉しいです(笑)

個人的に気に入っている&構想時に気をつけていたポイントは以下の2点です

サクセス要素がひと繋がりになっていること

「薪がない状態で無理やり着火だけしても長続きしない」
「種火がない薪に送風しても冷える一方」
「元から冷えている/濡れている薪には種火を着けづらい」
「種火が見つかったら、それが燃えやすい薪を探すこともできる」
…といった具合に、(特に薪と種火において)サクセスの要素が独立しておらず相互に影響し合う構造になっていることで、CSが取るべきアプローチを良い意味で縛りすぎないでいられる点を気に入っています。「とにかくヒアリングする」「とにかくミーティングを組む」みたいな行動管理になってしまうとCSも辛いですし、何より「アクション>お客様の成功」になってしまうリスクも生じるので、そうならない設計を意識しています。

一度火がついたら安心、ではないこと

「薪が揃い、種火を見つけ、適切な送風の結果、良い状態の焚き火が出来上がる」というのが理想の流れですが、これが達成されたらミッションクリアとならないのがCSの大変さであり、醍醐味でもあります。
代表的なところだと「(異動や退職で)薪がいなくなってしまった途端、活用がストップしてしまった」「全社の方針が変わり、今までの種火が消えてしまった」といったことは往々にして起こります。
コンディションはいつでも悪くなりうる、一度ついた火も消えることがある、という前提に立つ意味でも、焚き火はちょうどいいモチーフだったと思います。

CS現場での使われ方

最初はCSのオフサイトミーティングで概念としてメンバーに伝えたのみの焚き火理論ですが、想定以上に自然に馴染んでいった印象があります。
(比喩としてほどよく柔らかかったことと、CSメンバー内にキャンプ好きが多いことがその要因だと考えています笑)

具体的には以下のような変化と気づきがありました。

日常的なやりとりに取り入れられた

案件会議の中でも「このお客様は決裁者に薪の組み直しをお願いしよう」「このお客様、リーダーの◯◯様の火がまだ見えてなくって…」など、自然に「焚き火ワード」が使われるようになっていき、この時点で概念が定着した感覚がありました。

打ち手の整理がしやすくなった

「接点は取ってるんですけど、なんだか上手く行かなくて…」という状態に「薪」「種火」「送風」というラベルが用意されたため、「この案件の課題は薪」「この案件の課題は種火」とソートできるようになりました。結果、ネクストアクションが決裁者へのアプローチなのか、プロジェクトリーダーとの1on1なのか、はたまた現場に向けたレクチャー会の開催なのか、といった整理がしやすくなりました。

たぶん、正しそう

実際にCSメンバーの案件で薪と火の状態をプロットしてみたのですが、担当CSとしてのサクセスの所感と乖離が少なかったのです。薪も火も揃っている案件は誰が見てもサクセス状態の場合が多く、逆にどちらも揃えられていない案件はチャーンの危機を感じるものが多くありました。

「たぶん、正しそう」。胸を張って(?)そう言える感覚が持てたので、次なるステップとして、焚き火理論に基づいたヘルススコアの再設計にとりかかることになりました。

ヘルススコアへの組み込み

焚き火の考え方が浸透していくのと同時に、カミナシCSでは新たなステージに向けた挑戦が始まろうとしていました。
かの有名なCSプラットフォーム、Gainsightの導入です。

ビジネス本部長の宮城からGainsightのデモを見せてもらったときにはその機能の充実ぶり、CSに特化した顧客管理の手法にCSメンバー一同テンションが上がったものですが、その根幹ともなるヘルススコアを焚き火理論に基づいて再設計することになりました。
(変更前のヘルススコア設計についてはこちらを参照ください)

薪、火種、送風、焚き火の状態…
これら4つの要素を「カミナシCSにおいては何を見ていくべきか?どう計測するか?」という観点で、マネージャーの松下、宿利、細見の3名と相談しながら決めていきました。

結果出来上がったのが以下の指標です。

指標その①


指標その②

…ヘルススコアとしては、やや多いかもしれませんね(笑)
CSの主観に寄りすぎた設計にも感じられるかもしれません。
まだまだ改良の余地ばかりですが、この設計こそ、ヘルススコアと顧客の実態を繋ぎ止め乖離させないための私たちなりのこだわりでした。
形骸化しない、「血の通った」顧客管理を実現するための、カミナシCSとしての新たな挑戦でもあります。

次回予告

ついに新たな指標「焚き火ヘルススコア」を手にしたカミナシCS。
しかし、問題は山積みであった…
どうやって日々の業務にヘルススコア管理を組み込むのか?
CTAとアクションの設計はどうするのか?
カスタマーカルテで実施していた顧客情報の集約をどう移行するのか?
そもそもGainsightの設定はどうやったら良いのか?

次回!「Gainsight導入奮闘記・前篇」!絶対に読んでくれよな!


(2024/02/26追記)
お待たせしました!書きました!


We Are Hiring!

「日本一のCSチームになる」というスローガンの元
日々トライアンドエラーを繰り返しているカミナシCSですが、
まだまだやりたいことはたくさんあります。
CSとして、お客様の成功に真正面から向き合うにはこれ以上ないと胸を張って断言できる環境で、仲間を大大大募集しています!

少しでも気になった、話を聞いてみたいと思ってくださったそこのアナタ!
まずはカジュアル面談からでも嬉しいので、こちらからお気軽にご連絡下さいませ。
お待ちしております!


ここまで読んでいただきありがとうございました!
それでは!

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