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科学と芸術と宗教と哲学と、いろんな視点を織り交ぜながら、僕らの世の中がどうなっているか…

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科学と芸術と宗教と哲学と、いろんな視点を織り交ぜながら、僕らの世の中がどうなっているかを考えて、できれば生きやすくしていきたい。 ヘッダー写真は西表島

最近の記事

日本画ってなあに?

美術にさほど詳しくない多くの人は日本画=昔の日本の絵画と考えていて、写楽の浮世絵も、俵屋宗達の風神雷神も、達磨大師を描いた禅画も日本画だと思われている節がありますが、これらは日本画なのだろうか? そもそも日本画という言葉が最初に使われたのは明治15年(1882年)に当時政府のお抱え外国人として日本にやってきて東京美術学校の設立にも関わったアーネスト・フェノロサが行った《美術真説》という講演です。この講演でフェノロサは、「油絵」と「日本画」を明確に対比させ、「油絵」よりも「日

    • 科学法則に見る人生訓 フラクタル

      「フラクタル」という言葉を知っていますか フラクタルは、自然界や数学の中で見られる、繰り返しのパターンを持つ図形や構造です。これは、小さな部分が全体と同じような形をしているという特徴を持っています。例えば、木の枝分かれや雪の結晶、山の形などに見られます。 ※木の先端の枝分かれの形と全体の形が同じ ※山の一部の形を拡大すると、全体の形になる  ※ヘッダー画像の野菜「ロマネスコ」は一部の突起物は全体の形と似ている など フラクタルは、どれだけ拡大しても同じような形が続いて見える

      • 哲学の巨匠に学ぶいまの生き方_スピノザ

        バールーフ・デ・スピノザ(通称はラテン語でベネディクトゥス・スピノザ)は17世紀(1632-1677年)のオランダの哲学者で、合理主義哲学の一派に分類されます。彼の主張は主著『エチカ』において詳述されています。実はこの本は教会や世間の反発を恐れ、死後に出版されました。この本は倫理学、形而上学、認識論を織り交ぜながら、数学的方法を用いて記述されています。またこの本は五部構成で成り立っており、各部は定理や証明、そして哲学的な提案によって展開されます。 第一部「神について」 実体

        • ジョット・ディ・ボンドーネ ルネサンス美術の扉を開いた男 

          ルネサンスとは、「再生」「復活」などを意味するフランス語で、一義的には古典古代(ギリシア、ローマ)の文化を復興しようとする文化運動でイタリアで始まりました。 なぜイタリアのことなのにフランス語かというと、この言葉が19世紀のフランスの歴史家ジュール・ミシュレが著した『フランス史』第7巻(1855年)で ‘Renaissance’という標題を付け、初めて学問的に使用したからこれが広まったのです。 それがどのようにして始まったのか。 ルネサンスになったからといってそれまでのゴシッ

        日本画ってなあに?

          科学的人生訓_慣性の法則

          物理の基本原理のひとつ、慣性の法則は人の心理や行動にもあてはまるのですよ。 慣性の法則、これは「物体は自分の状態を変えようとしない」という法則です。つまり、何も力が働かなければ、動いている物体はずっと動き続けるし、止まっている物体はずっと止まったままです。この法則は、ニュートンの運動の第一法則とも呼ばれています。 例えば、サッカーボールを蹴ったとします。ボールは蹴った方向にまっすぐ進みますが、地面の摩擦や空気の抵抗がなければ、ボールは永遠にそのまま進み続けるんですよ。でも現

          科学的人生訓_慣性の法則

          抽象画の父 カンディンスキーの残したもの

          ワシリー・カンディンスキー(Wassily Kandinsky)(1866年~1944年)は一般に、ピート・モンドリアンとともに抽象絵画の創始者とされます。ロシアで生まれドイツ及びフランスでも活躍し、のちに両国の国籍を取得した。 この人、写真を見ると、画家っぽくない(失礼)。 それもそうで、もともとモスクワ大学で法律と政治経済を学び、大学の教授になるコースを歩んでいた研究者気質の人なんです。それがたまたまモスクワで行われた印象派展でモネの「積み藁~朝~」という作品を見て衝撃

          抽象画の父 カンディンスキーの残したもの

          過去の哲学者に学ぶいまの生き方 デカルト

          ルネ・デカルト(1596年-1650年)といえば「我思う、ゆえに我あり」という名言でしょう。デカルトは疑う人でした。目で見たことでさえも(悪魔がそういう錯覚を起こさせているのかもしれない)と疑います。そうして疑って疑って疑いつくしても、確実なこと、それは「こうして疑っている自分は存在する」ということだったのです。 デカルトは何がしたかったのでしょうか?経験論盛んだった哲学界隈で、それまでの「経験できることから世界を理解していくんだ!」という風潮に待ったをかけたのです。「その

          過去の哲学者に学ぶいまの生き方 デカルト

          ヴァザーリは実は超重要人物なのに

          ジョルジョ・ヴァザーリ(1511-1574年)をご存じでしょうか?イタリアのルネサンスからマニエリスム期に活躍した、画家・建築家です。この人の美術史における功績は大きいのに、日本では一般にはあまり知られていない人なので、紹介します。 その1:ミケランジェロの弟子で、ミケランジェロとレオナルド・ダ・ヴィンチの尻拭いをした。 イタリアフィレンツェのヴェッキオ宮殿にある五百人広間(本投稿カバー写真)は500人収容の広間であり1504年にレオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロが

          ヴァザーリは実は超重要人物なのに

          過去の哲学者に学ぶいまの生き方    トマス・ホッブズ

          トマス・ホッブズ(1588-1679)はイギリスの哲学者で、政治哲学の分野において特に重要な人物です。彼は自然状態における人間の生活を「孤独で、貧しく、卑劣で、獣のようで、そして短い」と表現し、人間は生存と秩序を確保するために社会契約を結ぶ必要があると主張しました。(社会契約説) ホッブズがこう考えたのは清教徒革命などイギリス社会の混乱中に人々が利己的に振る舞う様を見たからであろうか。またホッブスは聖職者の家庭に生まれているので、人間は生まれながらにして罪を負っているという

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          ポロックの見た世界

          扉の絵はジャクソン・ポロック(Jackson Pollock, 1912年1月28日 - 1956年8月11日)の"秋のリズム“という作品です。 この絵はどうやって書いたかと言うと、絵具をたらしたり、筆を降って塗料をキャンバスにとばしたりして描いています。 この絵は抽象的表現主義の一つと呼ばれる現代美術の名作ですが、この絵を理解するのは絵画素人には本当に難しい。いろんな評論家がいろんな比喩を用いてこの絵を解説しているのを読んでも逆にわからない。この絵のどこが名作なのか?

          ポロックの見た世界

          過去の哲学者に学ぶ現代(いま)の生き方。フランシス・ベーコン

          もちろん燻製の豚肉ではありません フランシス・ベーコン(1561年-1626年)は、イギリスの哲学者、政治家、法律家であり、経験主義や科学的方法論の先駆者として広く認識されています。「ノヴム・オルガヌム」「ニューアトランティス」などの著書がある彼の主な主張は次のようなものです ◾️帰納法の提唱:観察と実験に基づく知識の獲得を重視し、帰納法の重要性を強調。彼は、特定の事例から一般的な法則や原則を導き出す帰納的推論が、科学的知識を構築するうえで不可欠であると考えました。

          過去の哲学者に学ぶ現代(いま)の生き方。フランシス・ベーコン

          ポール・セザンヌの何がすごいのか?

          ポール・セザンヌ(1839-1906)は、フランスのポスト印象派の画家で、 近代美術の発展に画期的に貢献したことで知られています。ここでは、彼が偉大な芸術家であると言われる理由をいくつか紹介します セザンヌは、印象派からキュビスムへの移行に道を開いたとされており、ュビスムをはじめとする20世紀の美術に多大な影響を与えたことから、「近代絵画の父」とも言われます。 彼は、単純化された形、平坦化された視点、鮮やかな色彩で、世界を新しくユニークな方法で表現しようとしました。つま

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          過去の哲学者に学ぶ現代(いま)の生き方。モンテーニュ

          ミシェル・ド・モンテーニュ(Michel de Montaigne、1533年 - 1592年)はフランスの哲学者で、ルネサンス後期のヨーロッパにおいて重要な思想家の一人です。彼は「エセー(Essais)」の著者として最もよく知られており、この作品は自己省察と個人的な思索を通じて多様な主題を探求することで知られています。 ちなみにこの「エセー」は随筆という意味の「エッセイ」の語源になったものです。 そして、「エセー」のから読み取れる主な主張(エッセイなので主張っぽくは書いて

          過去の哲学者に学ぶ現代(いま)の生き方。モンテーニュ

          奥村土牛は日本画の印象主義

          奥村土牛という画家が好きだ。美術に興味を持ち始めた頃、恵比寿駅から程近い山種美術館で奥村土牛展(山種美術館は奥村土牛の作品を多数保有している)を見て、魅了されてしまった。写実のようだが、明らかに画家のフィルターでぼやけている。淡く柔らかい筆致。日本画のぼかしの技法とも違う。この「醍醐」の桜もそうだ。 【奥村土牛】(おくむらとぎゅう) 明治22-平成2(1889-1990)101才没 「土牛」の号は父の付けたもので、漢詩の詩句「土牛石田を耕す」から採られたもの。 土だらけの牛

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          過去の哲学者に学ぶ現代(いま)の生き方。ニコロ・マキャベリ

          ニコロ・マキャベリは、イタリアのルネサンス期の政治思想家で、著書『君主論』において、政治の実践的な側面とリアリズムに焦点を当てた主張を展開しました。マキャベリの主な主張は、政治的権力の獲得と維持には道徳的な考慮よりも実用性と効率性が優先されるべきであるというものです。彼は、「目的が手段を正当化する」という考えを示唆し、支配者は安定性と秩序を維持するために必要であれば残酷な行為も辞さないというもので、この考えは「マキャベリズム」と呼ばれます。 なぜ彼はこんな激しい(一見現代人

          過去の哲学者に学ぶ現代(いま)の生き方。ニコロ・マキャベリ

          ルネサンスは1516年におわた?

          美術などで語られるルネサンス、一般的には14世紀から宗教改革後のトリエント公会議(1545年-1563年)まで続いたといわれているらしいが(wiki)、実質1516年に終わってんじゃないの?と思うのです。 そもそもルネサンスとは? 「再生」「復活」などを意味するフランス語であり、一義的には古典古代(ギリシア、ローマ)の文化を復興しようとする文化運動。(wikiより) ルネサンス以前はキリスト教が絶対的な権力というか統制力というか、社会の規範になっていたんだけれど、キリスト

          ルネサンスは1516年におわた?