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「頑張りすぎないこと」が、ときには相手の満足につながるんじゃないかという話

外食の値段って、基本的に時間が早いほど安いですよね。

夜だと平気で一人4,000円とか5,000円とかかかるのに、昼だと同じお店が800円くらいで、お腹がいっぱいになるけっこう豪華なランチセットを提供しています。

そして、もっと時間が早くなる、つまり主には大手チェーンが提供している朝食セットって、500円でこんなに食べられるの!?ってことが多いです。


ぼくが飲食店を経営したことがないので、あくまでも想像の範囲ですが、まあ夜よりも昼、昼よりも朝のほうが外食する人が少ないので、少しでもたくさんのお客さんに来てもらうために、単価を下げているという考えは、そこまでズレたものではないと思います。

そしてそれ自体は、企業努力からくる施策なので、良いなとも思います。

それよりもきょうは、そんな豪華過ぎる朝ごはんセットから感じた「交渉におけるこちらの手札の切り方」について。


このまえ、ある飲食チェーンに朝9時くらいに行きました。

そこのお店はそれこそ通常メニュー(昼や夜でも提供しているメニュー)とは別で、いわゆる「朝食セット」的な、超オトクなメニューが朝11時まで提供されていたんです。

一般的には、せっかく朝早くに来たのだから、その恩恵を受けるために、「朝食セット」を食べたほうが一番「オトク」ではあるのだと思います。

ただ、その朝食セットの量が、明らかにぼくにとっては「朝からそんなに食べられないよ...」っていうくらい多かったんです。

だからぼくは結局、量は減るし、逆に値段は高くなるけど、自分の胃袋的にちょうどよかった、通常メニューにあるものを頼みました。


通常メニュー、もちろん美味しかったし、お腹もちょうどいいくらいに満たされたんですけど、やっぱり頭のどこかで、あと店内に「オトクな朝食セット!」とチラシが張り出されていたので、視界のどこかで、「コスパ的な観点で見たら、朝食セットを頼んだほうがいいだよな〜」という思いがありました。

まあ、ぼくが少しケチっぽいといえばそれまでなのかもしれないですけど、満たされたお腹とは裏腹に、満たされない「オトク感」。

今回、はじめてそのお店へ行ってみて、良ければこれからちょくちょく朝ごはんを食べに行こうかなと思っていたんですけど、たぶんこれから朝にはあんまり行かないと思います。


そのときに「満足度」って、それが「自分の求めているもの」であることとは別で、相手がその「自分が求めているもの」を、どれくらいの労力を使って提供しているのかどうか(たくさん労力を使ってくれているほうが満足は上がる)も大事なのかもしれないなと、考えるようになりました。


たとえば今回の場合だと、大前提として「自分の求めているもの(=安い値段で程よい量のご飯を食べたい)」は満たされていたとしても(そのチェーン店は、通常メニューも十分に安いです)、それだけだと大きな満足度にはつながらないのです。

そのうえで、その「自分の求めているもの」を、相手が「最大級の労力を使って提供している」という背景が、「こんなにもエネルギーを使ってくれて。。。」という「誠意」や「相手の持っている手札のなかで最高のものを引き出すことができた😊」という「オトク感」につながり、そしてそれが最終的にはより大きな「満足度」に集約されます。


今回の場合だと、「他にもっとコスパの良いメニューがあるのに、自分はこっちのメニューを選んでいる」という、「相手の極上の手札を引き出せてない感」が、ぼくの満足度的にマイナスポイントになりました...。


ちなみに、ツイート中にあった「ジャム理論」というのは、ざっくり言うと、とある心理学の実験で、「6種類のジャム」と「24種類のジャム」を別々の場所で並べたときに、前者の6種類のほうが、足を止めた人の購入率が高かったという結果をもとにしています。

一見、24種類あるほうが、いっぱい選択肢があってたくさん売れそうですが、逆に多すぎて選びきれなくなり、お客さんがジャムを買わずに帰ってしまうことが多かったそうです。

逆に6種類くらいのほうが、程よい選択肢の数で、ある程度「自分で選んだ」という満足度と、「6種類のなかから最高のものを選べた」という満足度がかけ合わさって、6種類のジャムのほうが売れたという結果になったということです。(細かい内容が違ってたらスミマセン)


きょうの朝飯セットにしても、ジャム理論にしても、「自分たちが出せる全力投球を出せば、相手に喜んでもらえる」ということではなくて、「相手の求めているものを考え抜いたうえで、その求めているものをこっちの最高級の手札というふうに認識してもらう(=過剰に手札を見せない)」ことが大事です。

ちなみに、今回の場合はぼくの胃袋が小さかっただけで、店内で朝食セットを食べている人はいっぱいいました!

ぼくの経験を起点に、これはなにかに転用できるかもしれないなと思った話です。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございます!!!すこしでも面白いなと思っていただければ「スキ」を押していただけると、よりうれしいです・・・!