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マーケティングの「2階建て理論」。1階があって初めて、2階が成り立つ

学びの多い記事だったので、メモ。


>熱い!クラフトチョコ「Minimal」の山下貴嗣が語る、マーケティング戦略としての「2階建て理論」と「ターゲット設定」(前編)


記事のメイントピックスは、タイトルにも入っている「2階建て理論」と「ターゲット設定」について。


まず「2階建て理論」というのは、(ぼくの解釈としては)その商品なりサービスなりの魅力を打ち出すときに、目新しさや珍しさなどを「2階部分」、その商品・サービスが直接的に顧客に対して提供できる価値を「1階部分」として考える理論のことです。

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記事より引用


よく情報発信するときは、「目新しさが大事だ」とか、それこそ最近は特に顕著ですが「機能が均一化されるようになったから、ストーリーで差別化だ」とかって言われますが、そういった「2階部分」の訴求は、前提として「1階部分」の「その商品やサービスの本来の役割(=記事に出てきたチョコレートであれば、おいしいこと)」があって初めて活きるのだなと、改めて思いました。

どっちかだけではなく、「1階部分」と「2階部分」を両輪で回すことによって、初めて意味があるのです。


そういえば、USJを再建させた森岡さんが、丸亀製麺に関わるようになったとき、最初に取り組んだことは「すべての店で、粉からつくる。」でした。

これって、明らかに「1階部分」の訴求ですよね。

マーケティングとかブランディングとかっていうと、ついつい「2階部分」の珍しさとか新しさとかに飛びつきがちですが、森岡さんは「いまの丸亀製麺は1階部分の訴求がおろそかになっている」と判断して、原点回帰的な打ち出し方にしたのだと思います。

(↓参考記事↓)


あと、最近「前編 – 産直ECが小規模農家を疲弊させる3つの理由」という記事を読んだのですが、これも結局は「2階部分の訴求に目が行き過ぎて、1階がグラついてしまっているがゆえの問題なのかな」と読みました。

(↓記事↓)


ぼく全然農業領域の知識がない前提で書きますが、上の記事のタイトルにもある「産直EC」って、イメージとしては「生産者の顔が見える」とか「作る過程にストーリーがある」とかってことがウリで、明らかにきょうのnoteでいう「2階部分」を訴求した売り方じゃないですか。

しかし、「1階部分」をおろそかにして、「2階部分」の訴求に重きを置きすぎた農家さんがどうなったかというと「品質や供給量が不安定」になったり、「美味しさや安全性が主観に寄りすぎてしまっている」だったりの問題も出てきたそうです。

生産者の顔が見えたり、その背景にある想いを知ったりすることはもちろん魅力的ですけど、そういったものがビジネスのすべてを解決するわけではなくて、やっぱり大前提としては、農業の文脈に即していえば「安全であること」や「美味しいこと」といった「1階部分」があってこそなのです。


そして2つ目は「ターゲット設定」についての話。

記事の中で「ブランディングターゲット」と「セールスターゲット」という言葉が出てきました。

ぼくは両者の概念を、 デジタル時代の基礎知識『ブランディング』 「顧客体験」で差がつく時代の新しいルールという本で初めて知ったのですが、(ぼくなりの解釈で)ひと言で言うと「その商品やサービスの思想や価値観に共感して、ブランドを上げてくれる顧客をブランドターゲット、そうやって向上させたブランド力に魅力を感じて、買ってくれる(たくさんの)顧客をセールスターゲット」と呼びます。

もっとざっくりいうと、「ブランドを上げることを目的とした層」はブランドターゲット、「売り上げを上げることを目的とした層」はセールスターゲットです。

詳しくは、下のnoteを読んでください!!


本題に戻りますけど、きょう取り上げている記事に登場した「Minimal」というチョコブランドさんは、ブランディングターゲットを30~40代男性、セールスターゲットを30~40代女性に設定しているそうです。

これが、個人的には驚きでした。

ぼくも完全に「ブランドターゲット」と「セールスターゲット」の概念を理解しているわけではないですが、両者のターゲットって、性が真逆になることもあるの!?という点で。

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記事中より引用


基本的には、ブランドターゲットの役割って「あの人たちが使っている(持っている)から、自分も欲しい!」と思ってもらうことだと思っていたので、そこまで層がズレてしまってもいいのだなと。

ただ、結論からいうと記事に登場している山下さんも、そこは相当に議論して「賛否両論あると思う」と認めつつも、最終的には「甘いもの好きな女性」と「食通な男性」の両方に届けたいということになったのだそうです。

以下、記事より抜粋。

――Minimalのセールスターゲットは30~40代女性で、ブランディングターゲットは30~40代男性だと聞きました。このズレによるマイナスの影響はないんでしょうか。

そこは賛否あると思います。創業メンバーで何度も議論をしました。

ブランディングターゲットを核とすると、セールスターゲットはその周りの広い領域というイメージです。確かにチョコレートは女性がメインターゲットで、一般のショコラトリでは9割以上が女性のお客さまと言われます。

Minimalのお客さまも6割以上が女性ですが、女性はもちろん大切にしつつ、そこに加えてマニアックな食通を獲得したいと考えました。


そして、Minimalはそれぞれのターゲットに対して、訴求ポイントを変えています。

セールスターゲットである30~40代女性に対しては、1階部分である「味」を、ブランドターゲットである30~40代男性に対しては、「デザインのかっこよさ」や「カカオへのこだわり」など、2階部分を打ち出しているのです。

基本的には女性が多く買う市場であるチョコにおいて、規模(=売り上げ)を追える女性をセールスターゲットにして、そして商品の根幹部分である「美味しさ」を訴求する。

一方で、知的好奇心のあるおしゃれな男性は「ブランドターゲット」として、2階部分で訴求。

ブランドターゲットとセールスターゲットの大胆なすみわけと、各ターゲットに合わせた訴求の使い分けが、スゴイな思いました。


ということできょうは「2階建て理論」と「ターゲット設定」の話でした。

なにかしらの商品やサービスを扱っている人たちにとって、なにか参考になることがあれば参考になればうれしいです!

最後まで読んでいただいて、ありがとうございます!!!すこしでも面白いなと思っていただければ「スキ」を押していただけると、よりうれしいです・・・!