「クリエイティビティ」と「私」と「お客さま」
ビジネスにおける永遠の問い『顧客の声に耳を傾けるべきか』問題。
いや、もちろん聞いたほうがいいんですけど、どのタイミングでどこまで聞くかっていうのは、いまだにコレ!という完全な解は出てない気がします。
よくある例え話で言うと、遠くへの移動手段が『馬』だった当時、お客さんに『なにが欲しい?』と聞くと『もっと速い馬』と返ってきたでしょう。
ここでお客さんの声に直接には向き合わなかったからこそ、列車や自動車が生まれたわけです。
3ヶ月ほど前に書いたnoteでは、この難解な問いに対して『抽象的(=本質的)な価値』を提供するにあたってはお客さんの声を『聞かない』、そして核となる価値が定まって『具体的な要望』のタイミングでお客さんの声を『聞く』という区分けです。
上の例でいくと、『抽象的(=本質的)な価値』は『顧客を安全に素早く異動させること』。
その核となる価値さえ提供していれば、あとはどんどん具体的な箇所(=ハンドルの大きさや車体の色など)は、お客さんの声や希望を反映させていくべきです。
という区分けでの仕方でした。
要は、『抽象度』でお客さんの声を聞くかどうかを区別しようと。
ただ、今回読んだ記事はまた違った使いわけをしていて、とても勉強になりました。
>毎月130%成長する小柄女性向けブランドと「北欧、暮らしの道具店」の共通点──COHINA 清水葵・田中絢子 × クラシコム 佐藤友子 対談後編
この記事のなかで、クラシコムの佐藤さんは上の例の話を踏襲すると、お客さんの声を聞かないことを『私』、そして聞くことを『お客さま』という概念で表しています。
そして、佐藤さんはこの『私』と『お客さま』をどう使い分けてるのかというと、『入り口』と『消化段階』のところで『私』を持ち出していると言っていました。
まずスタートである『入り口』は、『私』の素朴な疑問や思いつきだったりする。
ただ、そのまま直で商品化するなりサービス化するのはリスクが大きいから、市場でのニーズ調査という意味合いもこめて『お客さま』の元へそのアイデアを投げます。
『これどう思う?』『希望する色やサイズなどは?』って感じですかね。
ただ、そのままお客さまの意見や要望をそのまま反映させるのではなく、最後にもう一回『私』のところに戻ってきます。
記事中の表現でいう『消化段階』です。
これは最初にも言った通り、お客さんが欲しいと思っているものが本当にお客さんの欲しいのかは、お客さん自身にはわかりません。
知らないので。車や列車という概念を。
それに、最後はやっぱり『自分』が納得していないといけません。
お客さまの代弁者でありながら、ブランドやサービスとはその『私』が曲げられない大切にしていることに、惹かれたりもするのです。
なので、結論としては『入り口』は私で、それをお客さまからフィードバックをもらい、そして最終的にはもう一度『私』に戻ってきます。
最初に出した『抽象度』で区別するやり方とは、やっぱり最後もう一回『私』に戻ってくるやり方のところが違いますかね。
でも冒頭に出した図式よりも、クラシコムの佐藤さんが提唱したやり方のほうがしっくりくる感じがあります。
最初はそうだけど、それだけじゃなくて最後送り出すときも、『私』の気持ち、納得していることが大切です。
ということで、『お客さんの声にどこでそうやって耳を傾けるのか問題』については、入り口は『私』、途中お客さま、そして最後にもう一回『消化段階』のところで『私』を持ち出すのが、いまのところの一番正解に近い図式なんじゃないかと思いました!
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