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「やったほうがいいこと」が無限にあふれる世の中で

「傘」って、ぼくのなかで「あんまりイノベーションが起きていないモノ」に分類されています。

ウィキペディアによると、日本で傘が一般の人たちにも普及したのは江戸時代らしいのですが、それから材質の幅は多少広がったものの、基本的な形はずっと同じですよね。

ただ、それでじゃあいまの傘の形が最終到着地点なのかと言われたら、ぜんぜんそうじゃない(気がしている)。

だって、雨の日に傘を使ったって、けっこうぼくたち濡れますよね...。

それに、一般的な大きさの傘(=折りたたみ傘ではなくて)を閉じて持ち歩くのも、まあまあ面倒くさいです。

そんな感じで、たぶん町中で「傘にもっと便利に進化してほしいと思いますか?」と聞いたら、大半の人が「Yes」と答えると思います。

にもかかわらず、傘が数百年経ってもなかなか進歩しないのって、「その問題を本気で解決したい人がいないからだ」という話を、きょうはします。

きょうの結論はもうこれで、ここからは「本気で解決したい人がいないから、あんまり改善や改革が進まないんじゃないの?」の具体例をいくつか挙げていって、最後に「その問題がほんとうに解決されようと思ったら、その問題を本気で解決したいと思っている人が必要」という、きょうの結論を繰り返して終わります。


ぼくから見れば、「トイレの混雑問題」も同じで。

特にいまの時代は、スマホができちゃったので、もう別にトイレにいる必要はないのに、ついトイレで長居してしまう人が増えたことによって、「トイレ混雑問題」は深刻化しているように思われます。

そんななか、大きな商業施設などで「各フロアのトイレの混雑状況を可視化して、お客さんが効率的に分散するようにする」というツールを見かけることがあります。

たまにニュースなどにもなるので、知っている人は多いと思うし、ニュースで見たら見たで「お!良さそう!」ってみんな感じると思うんです。

でもぶっちゃけ、そこまで浸透しているとはいえないですよね。

というか逆に、まだまだ珍しいからこそ、ニュースで取り上げられているんだと思います。

ぼくは、トイレの混雑状況を可視化するツールが一気に普及しないのは(みんなからの評判が良いはずなのに)、やっぱり「本気でこの問題を解決したい人がいないから」なんじゃないかなと考えています。


たとえば、このツールを(お金を払って)導入する企業側にとって、もちろん導入したらしたで、お客さんには喜ばれると思います。

でも「あの施設はトイレの混雑状況がわかるから、遊びに行こう!」とは、決してなりません。(=お金を払って投資した分が、返ってくるかわからない)

逆に「あのお店はトイレが混むから、あんまり行きたくないな」ならあるかもしれないんですけど、それってリピートが前提になっている(=日常の買い物や行き先として組み込まれている)お店で、そしてリピートが前提になっているようなお店って、基本的には低価格だったり小規模だったりすることが多いじゃないですか。

そういう低価格や小規模のお店って、まずそんなツールを導入するほどトイレを設置していないし、あったとしても導入できるだけの資金力を持っていることが少ないと思います。

そして、各フロアや何箇所もトイレが設置されている(できる)ような大型の商業施設って、毎日通うというよりかは、ちょっとしたお出かけだったり旅行だったりするので、そういう人たちにとっては、「トイレが混むから行きたくない」よりも「その店で買物をしたい」「なんらかの体験をしたい」の欲のほうが、圧倒的に強いはず。

ということで、どんな業種、業態、店舗の方にとっても「混雑状況を可視化するツールを導入する強い動機」がないのです。

だからぼくは、トイレの混雑状況を可視化するツールって、今のところそれほど流行りきってないのかなと思っています。


次に、「本気の人が不在問題」に関しては、「喉元過ぎれば熱さを忘れる問題」があると思っていて。

たとえば、上のトイレの例って、別にお腹が痛い+トイレがなかなか見つからない状態は、多くの人にとってはそこまで頻繁に遭遇する状況ではありません。

お腹が痛くなって、施設内でトイレを探しているときに、このツールがあれば、「行った先々で行列に並ぶ」という自体から避けられてうれしいです。

避けられて「お店ありがとう...!」という気持ちにはなりますが、そんな状況、人にもよりますけど、まあ月に1回あるからないかくらいじゃないですか。

だから、「トイレの混雑状況がなかなか可視化されない」という問題に対する優先順位は、多くの人にとって上がりにくくなる側面があるのかもしれません。

これで永遠にお腹が痛かったら、また検討の余地はあるのですが、みんな、お腹が痛くなくなったら、すぐに痛いことを忘れてしまうので、なかなか普及しきらないのかなと。


同じような論理で、不動産での物件選びとか結婚式とかも「ぼったくり」や「理解しきれない中抜きが多い」って言われることがありますが、結局じぶんが終わったら、忘れちゃうんですよね。

当事者のときはあんなに調べて、「敷金礼金ってなんだよ!」とか「なんで式場が契約している業者にばっかりお願いしなきゃいけないの!」とか改善・改革の糸口に不満を感じていたのに、終わってしまえば喉元過ぎれば熱さを忘れる理論で、「まあ終わったし、いいか」って感じになってしまうのかなと。


世の中、問題や課題なんて、星の数ほどあります。

言い換えると、「解決したほうがいい問題」「改善されたほうがいい状況」なんて、星の数ほどあります。

でも、「(やらないよりは)やったほうがいいこと」なんて星の数ほどあるからこそ、「やったほうがいい」を「やらなきゃいけない」に変える、強い動機を持った先導者が大事。

しだいに活動の規模が大きくなってきたら、チーム化とか属人性をなくすとかいろいろフェーズにより対応する必要が出てくる場面もありますが、最初の根幹はやっぱり「ひとりの熱狂」からです。

ということで、「その問題がほんとうに解決されようと思ったら、その問題を本気で解決したいと思っている人が必要」という話でした!

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