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部分最適な「KPI」を乗り越えて、社内で協力体制を敷く方法

経営用語というか、ビジネス用語としてよく使われる言葉に、「KGI」と「KPI」というものがあります。

「KGI」は「Key Goal Indicator」の略で、めっちゃ平たく言うと「最終的な目標」です。

(保険:このあとKPIの話もしますが、人によってKGIとかKPIとかの定義はそれぞれなのと、ぼく自身もそこまで詳しいわけではないので、だいたいの感じで読んでいただけると幸いです)

一方で、「KPI」は「Key Performance Indicator」の略で、「最終的な目標(=KGI)を達成するための重要な指標」みたいな意味です。


例で言うとまあ「KGI」は「売り上げ」で、「KPI」は「新規の受注数」とか「サービスの解約率」とかって設定するイメージ。


それで、ぼくなりの「KPI」を設定する目的って、「何をしたらいいか分からないを回避するため」と思っています。

だって、基本的には同じ組織に属している以上、KGIは全員「その組織の売り上げUPに貢献する(あえて安直な表現にしています)」で一致しているわけです。

目的は一致しているんだし、しかも明確なのであれば、究極的な理想は、社長が社員に向かって「売り上げUPのためにいい感じで動いてくれー!」と号令して、全員がその目標に各々動くことです。

ただ、それだと具体的にどうしたら分からない人がいるから、「KPI」という、少し抽象度を落とした状態で指示を出して、「(売り上げUPのために)君は新規の受注数を追ってくれ」とか「(売り上げUPのために)君はサービスの解約率を追ってくれ」とかって言います。

ただ、「抽象度」を落として「分かりやすさ」を上げることは、常に「本質」を見失う危険性もはらんでいるわけで。

より具体的に言うと、本来は「KGI」という「目的」を達成するための「手段」であったはずの「KPI」が、いつの間にかその人にとって「KPI」が「目的」化されてしまうこともあります。

「売り上げUP」というKGIのための「架電件数」というKPIが、いつの間にか「80件電話をかける」こと自体が目的化して、ふとしたときに「あれ、俺ってなんで電話かけてるんだっけ?」と思う感じ。


これに対する(経営的な観点での)「べき論」としては、たぶん2つあって、1つ目が「KGIだけで自律的に動ける組織を作ること」。

一言で言うと社長が「今月もいい感じに頼む!」と号令して、社員全員が「かしこまりました!」と返事して、そして実際にいい感じに企業活動が行われる組織です。

ただ、現実問題としてそれは難易度が高すぎるので、「KPI」を設定する前提で言うと、2つ目のべき論は「より本質的なKPI」を設定すること。

KPIって、最初に書いた通り「Key Performance Indicator」の略で「この数字だけ追っておけば、気づいたときには自然とKGIも達成されているよ」という指標である「べき」です。

ただ、そのKPIという性質上、どうしても「全体最適」ではなく「部分最適」な数値を設定せざるを得ないので(逆に全部署・全員のKPIが全体最適になっているのなら、そもそもKPIなんて設定せずにKGIだけで動けばよい)、べき論としてはより本質的なKPIを志向しながらも、現実問題としては「KPIは部分最適な数値である」という認識を持っておいたほうがいいなと思っています。


めちゃくちゃ前置きが長くなってしまったんですけど、きょう書きたかったのは「部分最適なKPIが設定されているなかでも、いかに(社員側からの観点で)社内で他の人、他の部署の人との連携をとっていくのか」という話。

ぼくもまだ答えが出きっているわけではなくて、試行錯誤の段階なんですけど、現段階での仮説をもとに、話を進めていきます。

ちなみに、人や部署によってKPIが違うことで、社内での連携の難易度が上がる場面をもう少し具体的に書いておくと、分かりやすいのは「採用」ですね。

人事部にとっての売り上げUPのための「KPI」が「優秀な人材の採用人数」で、営業部のKPIが「新規の受注数」だった場合、営業部の人たちにとっては「いかに商品を売ったか」で自分の評価が決まるわけです。

一方で、人事は「優秀な営業メンバーを採用したい」と思っているわけで、そのためには、営業部の人に仕事内容を聞いて、現場の状況を把握したり、ときには営業部のエースに面接に一緒に出てもらって、口説きたい採用候補者に、自社に魅力づけをしたりしたい。

ただ基本的に、営業にとっては「採用面接に出ているよりも、1件でも多く商談に行きたい」と考えるのは、まあ自然な感情です。

仮にその「口説きたい採用候補者の面接に出る」という行為が、会社全体のKGIを達成するために大事な行為であったとしても。


それで、ここからが「じゃあどうすればいいのか」という話なのですが、まず一番労力が少ないのは「KPIの方向性が近い人とタッグを組む」こと。

例えば、さっきの採用の場合、事業部の1メンバーであれば、KPIが「自分の売り上げ」ですが、その事業部の長であれば「事業部全体の数字」で、つまり「優秀な営業部員を採用できれば、自分の事業部の売り上げをアップさせることができる」と考えて、採用活動に協力してもらいやすくなります。

お互いの利害が一致(もしくは近い)人を見つけて、協力体制を敷くのは、比較的労力が少ない、かつ本質的な要素を含むやり方かなと思います。


ただ、社内で利害が一致している人ばかりではないのがこの世で、話がまた戻りますが、仮に全員の利害が一致しているKPIを設定できるなら、そもそもKPIなんていりません。

KGIだけで十分です。

だから、「利害が一致しない人とも協力していかなきゃいけない(というかするべき)」場面はあるわけで、そういうときに大事な2番目のやり方は「KPIだけに囚われずに、KGIも見据えている視座の高い人」を見つけること。

例えば、さっきの例で言うと、「自分のKPIは自分の売り上げだけですけど、会社のためになるなら協力しますよ!」と言ってくれる、意識高めな人と協定を結ぶことが大事です。

「KGI」という観点で見ると、基本的に社内全員の利害は一致している(はず)なので、KPIを追いつつも、その先にある「KGI」も見据えている人を見つける。

そして最後3つ目の方法なのですが、きょうの例でいくと「営業部内にKGIを追っている人がいなくて、部のメンバー全員がKPIのみを追っているような状況」、もしくは「状況的にその人に頼まざるを得ないのだけど、その人が自分のKPIしか追っていないような状況」のときですね。

これはもう、めちゃくちゃ大変。

正直言って、このときは仕組み的にも相手の視座的にも、こちら側から提供できるものがない、そこそこ絶望的な状況なので、もう「日頃からの関係値(=相談したい案件で直接ギブをすることはできないけど、それ以外の違う形で日頃からギブを積み重ねておくこと)」しか、いまのところぼくは活路を見い出せていません。

あとは、日頃からの関係値に加えて、実際に協力してもらうときは、できるだけ相手の労力を割かずに、こちら側で負担できる工数は全部やってしまって、最後本当にその人のスキルだったり権限だったりが必要なところだけ、ゴールを決めてもらうイメージ。

そしてひと段落したときには「ありがとうございました!」と最大限の感謝を伝える(これ大事)。


ということで、きょうは「部分最適なKPIが設定されているなかで、いかにして他の人と協力体制をとっていくのか」という話でした。

まとめると

①利害の一致範囲が重なるところの多い人を見つける
②利害は一致しないけど、視座が高い人を見つける
③利害は一致しないし視座も高くないけど、違うところでギブをする

の順番にやっていくのがいいのではないかなというのが、現時点での仮説です。


社外に向けて成果を出すためにも、社内での日頃からのコミュニケーションも大事!

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