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「回転寿司」の終焉

きょうのお昼、お寿司の流れない、けどカウンターだけの高級なお寿司屋さんでもない、テーブル席もあるチェーンのお寿司屋さんに行ってきました。

お店の名前は『魚(うお)べい』


行くまでその存在を知らなかったんですが、帰ってきてからサイトを調べて数えてみたところ(手計算で!)、日本全国に20都道府県126店舗もありました。

ただ、分布を見る感じ東日本が中心なので、兵庫県生まれ兵庫県育ちのぼくは、これまで知らなかったのかなと。

いろいろと店舗の工夫がされていて面白かったので、気づいたことをメモ。


まず、目玉はやっぱり全品タッチパネルで注文する方式で、レーンの上にお寿司が流れっぱなしになっていないこと。

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タッチパネル


ここ数年、回転寿司屋さんに来るたびに、一緒に来た家族や友人がレーンに流れているお寿司を取らずに、注文したお寿司ばっかり食べているのを見て、『これってお寿司流す必要あるのかな?』と疑問に思っていました。

実際、データとしても注文して食べる人の割合のほうが多いようです。


レーンにお寿司を流していたら、廃棄が出るし、取ったとしても鮮度が落ちてるし、もういまはロボットがすぐに注文したものを作ってくれて、『食べたいと思ったときから実際に手にするまで』の時間差がほぼ無視できるくらい短くなったいま、レーンにあらかじめお寿司を流しておくメリットはほぼないのではないでしょうか。

(っていうことは、スシローとかくら寿司とかのお偉いさんも気づいてると思うので、それでもレーンにお寿司を流しているなんらかのメリットがあるのかなと思います。ちなみに、それを母に言ったら『お寿司を流しておくことによる食欲の増進じゃない?』を言われたんですが、それだけだと絶対コストに見合わなくない!?)


きょう、このお店に入ってシステムを把握した瞬間に、『そう!これだよ!これ!絶対にこっちでやるべきだよ!』って思いました。

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こんな感じで、注文した商品は新完成や車をモチーフにした乗り物に載せられて運ばれてきます。黒の車の下にもう1レーンあって、全部で3レーンあります


上に乗ってる魚の切り方を見てると、カットもたぶんロボットがやってそう。

従来の回転寿司屋だと人間のスタッフさんが歩いて持ってきてくれていたうどんや汁ものなどのサイドメニュー系も、レーンで運ばれてきたので、店内に人間のスタッフが本当にいません。

会計のときも、タッチパネルに『会計』って押したら『レジへどうぞ』って言われてレジで精算するので(基本的に全商品がタッチパネル&レーンなので、店員が目視で皿を数える必要がない)、スタッフが動くのは、お客が帰ったあとに皿を引き上げるときだけです。

本当に合理的に突き詰められた店舗設計。

ちなみに、お皿はプラスチックでした。

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商品名忘れたけど、見た目のインパクトに惹かれてポチってしまった


あと、お米の量は、感覚的に他の回転寿司チェーンの8割くらい。

少し少なかったです。

1皿100円のものが大半ですが、そういう意味では、スシローやかっぱ寿司のほうが多少お得かもしれません。

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握りの米の少なさを見せようと思ったけど、これしか写真を撮ってませんでした。分かりづらい😢


あと、考えすぎかもしれないんですけど、お店の両側の壁に時計があって(一般的にお店って時計がないところがおおいですよね...?たぶん時間を忘れてくつろいでください的な意味が込められてると思うんですけど)、時間を意識させることによって、回転率を上げようとしているのかな?と思いました。


それで、こうしてレーンがもはや単なる『人の代わりに料理を運ぶ装置』になってしまった以上、別にお寿司に限らず、他の業態でもこの仕組みをできるんじゃないかなと思いました。

条件的には、いまパッと思いつくのだと、メニューひとつひとつの皿がある程度均一かつ小さくて、店員のおもてなしよりも、安さや効率性を重視する業態。

格安居酒屋系でも、思いっきり従業員を削減して運営できるんじゃないでしょうか。

あ、でもお酒が絡んでくるとまた事情が変わってくるんですかね。

この仕組みの横展開は、もう少し考えてみます。


安かったし、できたてのお寿司を毎回食べられて美味しかったし、注文してからすぐに来たし、満足しながら帰路につきました。

ただ、言ってしまえば、こういう『業態が強み』って、すぐにパクられるんですよね............。

鳥貴族も、出てきたときはその業態の新規性で注目されましたが、すぐに似たような業態のお店が出てきて、いまは一時期ほどの勢いがありません。



結論は結局、価値観とか哲学とかみたいな話になっちゃうんですが、安さとか早さとかでやってきたお客さんは、結局、もっと安かったりもっと早いお店ができたら、すぐにそちらへ移ってしまいます。


だから、ちょうど3日前くらいに『値段の高いもので勝負したい―!』っていうnoteを書いたんですが、


安売り競争や早さ勝負とは違う切り口でお客さんに来てもらうことが、資本力のない個人や小さなお店が勝負していくためにはに、大事なんだろうなと改めて感じました。

とはいえ、これから特に飲食店は二極化していくというか、それこそ哲学や価値観を前面に押し出した高価格帯なお店と、マンパワーを使ってうまい安い早いをチェーン店で展開していくお店と、2種類に分かれていくと思います。

後者のうまい安い早い!の業態では、これからレーンを活用した人件費削減は、他の業態でも使えそうだなーという可能性を感じさせてくれた、魚べいランチでした。



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