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「いま」と「未来」は違う

いまの社会状況を受けて、「内定者の取り消し」を行う企業が出てきたそうですね...。


現状としては、実際にそういった例がバンバン出ているというよりも、これからそういうことをしないように、気をつけてくださいねみたいな意味合いのほうが強いのかなと感じます。


きょうは「いまの先行き不透明な社会情勢を受けて、内定取り消しをする企業としての施策」について書いていきます。

実際にその施策がどれくらい実施されているのかというよりも、その施策自体の「ナンセンスさ」について書きます。


(ちなみに、あんまりこれからの内容とは関係ないですけど、ぼくも一応来月に入社を控えた大学4年生なので、この問題については完全に対岸の火事ってわけではないです)


結論から言うと、この「ちょっと社会状況が不安定だから、内定者の内定を取り消しにすること」のどのあたりがナンセンスなのかというと、「見ている時間軸が短すぎる」こと。

詳しくは、下のちきりんさんのブログを読んでもらいたいんですけど、


別に読まなくても大丈夫なように、上のちきりんさんのブログを読んだぼくなりの解釈と引用に基づいて話を進めると、そもそも「新卒を雇う給与」って、会社経営の全体で見たら、極一部のコストなのです。

言い換えると、いくらキャッシュフローが若干悪化したからって、そこで新卒を雇わないという施策を打っても、そこまでコストカットにはならないということ。


一方で、逆に言えば、これから3年~5年くらいの時間軸で見たときに、これほど前に社会状況が不安定になることって、確率論的には「ほぼ」ありません。

つまり、社会状況的には「いまが底」なのです。


仮にいま、多少経営基盤が傾いてたとしても、3年~5年先には持ち直しているわけだから、当然、そのときには人手が必要になります。

そこでもし、そのとき新卒を雇って育てていたら、3年~5年後のタイミングでは戦力化していたはずなのに、目先のそれほど大きくない費用のカットのために、新卒の内定を取り消ししていたら、アクセルを踏みたいときに踏めません。


この「○年前に大不況でした。だから新卒採用をしませんでした」というのもよく聞く話なのですが、どう考えても合理的な判断とは思えませんよね。

そもそも新人の人件費なんて微々たるものです。"今"不況だからといって、"今"採用を抑制してもコスト削減面でのメリットは極めて限定的です。

一方、"40年後まで不況が続く"と考えていたのでない限り、「新卒採用を極端に抑制すれば、長期的には人手不足になる」とわかっていたはず。

つまり不況時に新卒採用数を抑制するというのは、”メリットが極めて小さく、ほぼ確実にデメリットのある方法"です。

(『終身雇用のコスト』より引用)



ちなみに、ちきりんさんがこのブログを書いたのは15年前です。

このブログの話を「長期的な目線に立ってものごと考えることが大事だなー」で、終えることはできます。

ただ逆に言えば、「15年前から日本の雇用環境がほとんど変わっていない」ことの証左でもあるのです。

ここまで新卒採用の面にフォーカスして上のブログを取り上げてきましたが、タイトルは「終身雇用のコスト」になっています。

結局、ブログのメインのトピックも、「終身雇用制度による流動性の低さ」を問題として挙げています。


問題は、見ている時間軸が短いという話ではなくて、そもそもの前提として「企業や社会、働き手の状況に応じて、働き方や働く会社を柔軟に変えにくい」制度なのではないかという主張です。

これはこれで、めっちゃ正論だなと思います。


とはいえ、根本的な制度を変えるは時間がかかるし、実際終身雇用制度は、超大企業以外は徐々に成り立たなくなってきているって話も聞くので、逆に時間の問題である面も大きいかなと思います。

それとは別で、ミクロな視点で見たときに、まずは個々の企業がいますぐに取るべき施策的な話として、いまの状況で「内定の取り消し」を行うのは、ちょいとナンセンスなんじゃないかという話を、ぼくは個人的には推していきたいですね。

ぼくは実際に会社の経営をしたことがないので、机上の空論を出ないのは大前提なのですが...。


いま書きながら、佐藤航陽さんというめちゃくちゃ面白いブログを思い出しました。

そのなかでも、きょうのnoteを書きながら思い出したのは、下の『「できなさそうな事」と「本当にできない事」の違い』というブログなのですが、、


要は「いま」見えている地点から立てた目標って、進んでいる途中でその人も成長するから、結果的に簡単過ぎることが多いんです。

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ブログ中より引用


「いま」から見えている「未来」と、「未来の途中」から見えている「未来」って、めっちゃ変わります。

「いまダメだからこのままダメだ」ではなくて、大変なときこそ、冷静に長い時間軸でものごとを考えていきたいなという話でした。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございます!!!すこしでも面白いなと思っていただければ「スキ」を押していただけると、よりうれしいです・・・!