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イップスになるのは、メンタルが弱いからじゃない

ぼくが受けてる体育心理学の授業で、「イップス」を取り扱いました。

そのなかで、阪神の藤浪選手が取り上げられてました。

というか、「イップス」って言葉を聞いたことありますかね.......?

なんらかのスポーツをやってた人なら、少なくとも一度は聞いたことがあるかもしれません。

イップスをとりあえず大辞林で調べてみると、

俗に、スポーツ(特にゴルフ)の集中すべき局面において極度に緊張すること。また、そのために震えや硬直を起こすこと。

と書いてありました。

もう少しやわらかい言葉でいうと、「緊張によって、それまではなんの苦労もなくできていた動作が、できなくなってしまうこと」です。

ぼくが野球をやってたので、たとえが野球ばっかりになって申し訳ないですが、たとえば野球だと、球を思ったように投げられなくなることなどを指します。

で、イップスという言葉を聞くと、なんとなくこんなイメージをもってる人もいるのではないでしょうか。

「イップスは、メンタルの弱い人がなるもの。」

結論からいうと、これは半分正解で半分間違いです。

心理科学科に所属してイップスのことを語るくせに、エビデンスがなくて恐縮ですが、n=1の事例をもってきたので、今回はそれで勘弁してください。

その事例とはまあぼくのことで、高校球児やってるときになりました。

当時は冗談抜きで、死にはしないけど入院する程度のケガになるような車の轢かれ方をしたいと、なんとも都合のいい願望を本気で抱いてました。

とにかく、グラウンドが嫌でしょうがなかった。

きっかけはたぶん、バッティングピッチャーやってて先輩にデットボールを当てたことです。

夏の大会前のピリピリした空気で、レギュラー選手に死球をかますという粗相をしでかしました。

ただ、野球が好きだったし、チームメートも好きだったし、ここで部活を辞めたらなんか負けたような感じがして悔しかったので、どうにかして治すことを考えました。

そして、当時イップスについて調べまくったなかで一番刺さった言葉は、「イップスは、メンタルだけじゃなくて、投球フォームという技術的な問題も抱えているから発症してしまう」という内容のものでした。

その他のサイトだと、イップスを治療するといえばけっこう「メンタル一本足打法」みたいな感じで、うさんくさい感じ否めなかったので、上の言葉がぼくにとっては一番しっくりきました。

ということで、ぼくは「メンタル」「技術」の両面から、イップスを治療することにしました。

もうこれはぼくの体験談でしかないですが、イップスにおいて「メンタル」が関与するのは、最後の決定打だけです。

だから、いわゆる「メンタルの強弱」みたいなところで、多少は「イップスになるかどうかの閾値」が変わってくることはあるかもしれません。

ただ、それまでの過程において、イップスに影響を与えるのは「投球フォーム」という技術的な問題です。

投げ方が悪いから、暴投をしてしまう。そして、その投げ方が悪ければ悪いほど、暴投をする回数が多くなってしまう。

そして、そのいずれかの暴投が、とても大事な場面などで失敗をしたという、トラウマにつながってしまったら.........

まあ、言ってしまうと当たり前の話ですが、投球フォームが正しくていい球を投げる確率が高ければ、それだけ嫌な思いをする回数が少なくなりますし、持続性のある回復の仕方ができます。

あの世界のイチローさんだって、イップスの経験があるんです。

あれほど大舞台で活躍し続けてる人の、メンタルが弱いわけないじゃないですか。

ぼくの「イップスはメンタルと技術の両方が原因」という説に、多少は説得力も出てきたんじゃないでしょうか。

でも逆に言えば、しっかりと「メンタル」の治療をすることも「技術」と同じくらい大切ということです。

ぼくも当時は毎週クリニックに通って、イメージトレーニングして、失敗しても動じないメンタルを身につけるようにしました。

こっちは技術面以上に変化が目に見えづらいので、根気よく、地道にやりましょう。


ということで、イップスは「メンタル」だけの問題だけじゃなく、「技術」の問題だけでもなく、「メンタル」と「技術」両方の問題です。


そして、もしいまイップスに悩んでる人がいたら、いまここに治った人がいるので、それを励みにもう少し闘い続けてみてください。

でも、どうしてもってときは、その競技をやめてください。

白線はみ出して思いっきり車道で自転車こいでた当時の自分を思い出すと、いまでもゾッとします。

一番大事なのは、自分の健康な心と体です。

友だちや先生、親の評判なんて、それに比べたら1円の価値もありません。

この世の中、いまやってる競技意外にも、面白いことや楽しいできごとが、たくさんあります。


そして、イップスを治すときに他にも大事なのは、「周囲の理解」です。

だから、いまスポーツなどをやってる人でそういった経験がなくても、「自分には関係ないし」と切り捨ててしまうんじゃなくて、少しだけ失敗の許容度を上げて欲しいです。

気を遣われすぎると、それはそれで嫌って人もいるかもしれないので、そこは本人の意志を尊重してほしいです。

でも、もし、「ちょっとキャッチボールの相手してくれない?」とか「サーブの練習付き合ってくれない?」とお願いされたら、できる限り応じてあげてほしいです。


このnoteが、たった一人でも、イップスに悩む人の気持ちを、少しでも楽になることの役に立ちますように。

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