ポストモダン回顧と現在(ポストモダンの多様性批判_2)No.4
ポストモダンの多様性には、明確な限界があった。それは、ティモシー・モートンも示唆しているように、多様性に境界を引く反多様性のモーメントである。多様性を称揚する主体が、多様な要素の上位にいることから生じる多様性に荷重される制限(集合化)である。それは、多様なものを認識の基礎に据えたカントにもある、多様性の囲い込みとまったく同じ心的機制である。
これに気づいていたホミ・K・バーバは、それを回避する理論的仕組みを考案した。それは、主体と他者の間の二重の境界線である。主体と他者という