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できない脳ほど自信過剰。

脳って本当に不思議だと思う。まだまだ解明されていないことが多い。

3月に文庫が発売されたので、そちら(2つ目のリンク)を拝読。

池谷裕二さんといえば、土曜日夜のTV番組「ニュースキャスター」でもコメンテーターとして出演されており、ご覧になっている方も多いだろう。脳科学という特殊な領域のお話を、実に平易に伝えてくれる稀有な研究者だと思う。ちなみに東大の大学院で薬学博士号を取得されている、素晴らしい。

本著は週刊朝日の連載をまとめている。単行本が2017年出版なので、当然のことながら週刊誌の連載はそれ以前のもの2015年あたりだろうか。その点ではやや情報鮮度が落ちてしまうが、気になるほどでもなかった。巻末の「しいたけ.」氏との対談は、2020年10月のもの。

睡眠学習の効用、記憶の持続にカフェインが有効、記憶が蘇る薬、脳の活動をコントロールする、好きこそものの上手なれ、気が合うとはどんな状態か、子どもが遺伝子選別される時代の到来、人工知能が活躍する時代とは、などなど...。

我々の脳の代替となり得るであろうロボット、つまり人工知能について、脳化学からアプローチしているトピックは必見。AIとはいかに素早く複雑な情報(計算)を処理できるかが注目されているようだ。

ご高察の通りに人間の脳は解明されていない部分が非常に多い。謎が多いということは、同時に可能性が多分に残されているという解釈にも繋がる。つまり、AIが人間(の脳)の代替となる、伴い人間の立場が危うくなるという結論は非常に性急であり、我々人類はもう少し胸を張るべきである。

特に象徴的な部分を、少し長くなるが引用したい。

機械が創った作品なんて味気ない。そんな声が聞こえてきそうです。たしかに温かな人間味を感じません。しかし、ここは冷静になって、どうして味気なく感じるかを考えてください。なぜ人工知能が作った創作品を「機械的だ」と感じるのでしょうか。もしかしたら「しょせんはロボット」と蔑視する差別的心理が下地にないでしょうか。だとしたら、そうした嘲笑癖は「被差別ロボット」という新たな社会問題を生むにちがいありません。

うーむ、ロボットにも人権(機械権?)が生まれるというのだろうか。そう遠くはない未来に実際に起こりそうな問題かもしれない。池谷さんも、人間とロボット(機械)の共存が重要なテーマになると書いていた。

余談だか池谷さんのこちらの著作は本当に素晴らしいので是非チェックしてみてください。

色々と生きづらい世の中ですが、能(脳)天気にいきましょう!

追記:目標を多く掲げる人ほど仕事が長続きしない。自分の行動を理論武装で正当化する人は、そこまでして正当化しなくてはならない何らかの裏の心理が、本人にも気づかない部分に存在しているのかもしれません。理由はともあれ、「単に好きだからやっているだけ」という人が最終的に良い成果をあげていることは確かです。

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