最高!万能ナイフのような本を読んだ。
服部文祥さんの最新作を拝読した。大興奮である。
彼のTwitterをホォローしているので、気にはなっていた。地元の図書館で蔵書されており即借りて読んでみた。服部さんの存在は、いっとき登山系(正確にはマタギ)の書籍を片っ端から読み漁っているときに、こちらの作品で知ることになる。
予備知識なく単純に作品から入っており、当時は彼のキャリアやパーソナリティなどは全く存じあげない。著作を拝読したり我らの角幡唯介さんとのお付き合いを見ているうちに、その凄さを知ることになる。
ただ、誠に申し訳のないことに、そのストイック過ぎる登山スタイルや日々の生活の様子を見ている限りでは、なんというかその...怖すぎるCORE過ぎる雰囲気、はたまた油學会のようなギトギトしてドロっとした感じが少し苦手だった。
いつだったかmont-bellのプレス発表会の会場でお見かけしたが、存在がまさしく「獣(ケモノ)」で驚愕した記憶がある。臭いとかそういうことではなく、ギラついた目つき、佇まいの形容が「けもの」だったからだ。
直近1-2年で何作か上梓されているが、どういうわけ気が進まなかったのは何故だろう。そんな疑問が今更ジローでふつふつと沸き上がってくるくらい、本作は素晴らしい内容だった(長い前置きはここでおしまい)。
乱暴に端折ってしまえば服部さんの書評集なのだが、私の普遍的なテーマでもある死生観について鋭く切り込まれており、また絶妙なタイミングで挿話されるユーモアが小気味良い感じ。つまり重すぎない。
当然、冒険探検登山にまつわる書籍の紹介が大半を占めるが、森博嗣の作品や人工知能をテーマとした書籍など、その守備範囲の広さには舌を巻く。
そこで思い出すのは角幡唯介さんの2冊。
各方面で吹聴していることだが、何を薦められているかよりも「誰が薦めているのか」が重要な時代となった。角幡さんしかり、服部さんしかり、彼らの実績や思想を鑑みても「彼らが読んで影響を受けた本」が面白くないはずがない。
図書館でお借りしたが読み終えて即amazonで購入。隣で奥様(あえて敬称)が「読んだのに買うの?」と訝しむ。「人間だって、また会いたいと思ってくれたら嬉しいじゃない。そういうことだよ」と伝えると、ドヤ顔する自分を無視してどこかに行ってしまった。
というわけで、この作品は2021年ベスト10入り確定。宣伝になるが、どうやら我らの角幡唯介さんの代表作「極夜行」が文庫化されるらしい。当然ながら単行本で所有しているが、ファンクラブ筆頭会員としては当然購入予定。みなさんも是非に。
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