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夜の自由帳

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夜に考える、ぐるぐるとした出口のないこととかの、集積所です。
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#夜

心の奥底に埋まっている廃墟

心の奥底に埋まっている廃墟

世界の隅はいつも砂浜と海辺だとおもう
穏やかな波

巨大なビルの廃墟は、まるで建物の骨のようだ
誰かのために建てられたわけではないそれは、まるですべらかではなくて、酸化した静けさをもっている
赤と灰の境界

わたしはそこを見る時、いつも静かで穏やかな、寂しさの中にいる

朽ちた境界たちと、わずかな記憶とLFOとホワイトノイズ
わたしの記憶の中のそこは、いつも視点が引いていて、例えばそれを空洞と名付

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憶えていられるだけの世界

憶えていられるだけの世界

歌詞もメロディも憶えていないのだけれど "For as long as I remember" という曲があって、いいタイトルだな、と思った

私が憶えているあいだ
私が憶えているあいだだけ存在する世界、あなた

素朴的唯我論と、素朴的唯物論は、同じ結論に達するんだって、Wikipediaには書いてあった

脳は一時的なストレージで標本で、大切に仕舞い込まれている
自分につけられたNo.を、わたし

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可愛くて美しくて、また明日が今日になる

可愛くて美しくて、また明日が今日になる

可愛い、という言葉には無邪気な酷薄さがあって、美しい、という言葉には死を予感させるような不穏さがあって、つまり世界が残酷なのは世界が綺麗だということなのかもしれない

刺さりそうな月
残酷な夜明け

目に見えない明日はいつのまにか目の前の今日になっていて、いくつもの「もしも」が消えて現実だけが残る

朝日の起こすハレーション、透けていく髪
立っているかどうかもわからない世界で肌の輪郭が明らかになっ

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レコメンド。(私たちの悲しさに、誰の赦しも必要なんてないんだというお話)

レコメンド。(私たちの悲しさに、誰の赦しも必要なんてないんだというお話)

「深夜の作業用」とか、「リラックしたい時に」とか、いろんな人がいろんな曲や動画を集めてアップしているけれど、今日「死にたい時に」というものもアップされているということを知った。

そういう動画をアップするひとにもことにも、特別に悪い感情は持たないけれど、「死にたい」という感情にまで、誰かが慰めのレコメンドをあらかじめ用意してくれているのかと思うと、随分と手厚いなと、皮肉に感じる。

それが誰かにと

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