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あの恋!どこからが空?

洋介さんの記事にコメントさせて頂いた時のお話です。


1990年代 東京・目黒の官舎に住んでいた

長男が小学生になった頃

僕が非番や休日で時間があると たまに

君(妻)がお弁当を作ってくれ
近くの公園まで家族で散歩に出かけた

カーン!カーン!カーン!と
杭打ち機の工事音が鳴り響く 街の喧騒を歩く

広い芝生など無くて 遊具だけが目立つ
よくある小さな公園

次男は未だ幼稚園 年少組 兄の姿を追いかけるのに必死になって

ひと通り遊具で遊ぶ息子たち 遊び疲れた頃合いに

ひとつのベンチを占領して紙袋から
新聞広告紙に包まれ
更にサランラップで包まれたおにぎり
タッパーのウインナー玉子焼きたち

この時ばかりは怪獣のような息子たちも
おとなしく食べる事に集中する

モグモグとおにぎりを頬張る長男が見上げる

天気は晴れ 青い空が広がっていた

「パパ お空は どこからお空なの?」

なぜ?なんで?の質問が多くなっていた頃

キラッと光ってヘリコプターが飛んでいた

「飛行機は空を飛ぶって言うからあのヘリコプターの辺りだよ」

僕の話しにウンウンと頷く長男くん

ベンチの端でさっきの広告紙を広げて何かを折った君が

スンっと 紙飛行機を飛ばす

「じゃ ここも お空だよ」

君の言葉に目を丸く大きくした長男!

紙飛行機を拾いに行く息子ふたり

長男が大きく振りかぶって紙飛行機を放り投げる

スグに落ちる紙飛行機

今度は次男が・・上手く投げれず不機嫌になる

ママよりパパの方がお空に近くていいなぁ

長男の言葉に

東京タワーがね いち番お空に近いんだよ

と君

「そっかぁ」と長男

僕は2機目の紙飛行機を作り次男に渡し
次男を抱き上げる

次男の投げた紙飛行機はさっきより長く弧を描いて落ちて行く

どこから空になるのだろうか?
見上げた空を薄く白い雲が流れる

カーン!カーン!カーン!
遠くから杭打ち機の工事音が響く公園。

今 息子たちは
あの頃の僕より確実に空に近くなっている


ここまで読んでいただきありがとうございました。

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