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【Ph.D in Economics】宮尾ゼミでの学びをご紹介します💖:日経新聞解説✨ 2023/09/27

日本経済新聞の記事で
注目したい内容がありましたので
記事にしたいと思います💖

長いですが、目次をご活用いただきまして
どうぞ最後までご覧ください!

日銀新体制の政策をよむ(上) 早期の修正観測浮上を回避 宮尾龍蔵・神戸大学教授(経済教室)

 植田和男日銀総裁の就任後初の金融政策決定会合が4月末に開かれた。大規模な金融緩和を継続する姿勢を明確にするとともに、将来の金融政策に関する指針の修正など新しい取り組みも打ち出した。異例の金融緩和を10年間続けてきた日銀が新総裁のもと、どう動くのか。新体制の政策運営の方針を読み解きたい。

 現在の金融政策の枠組みは「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」と呼ばれる。長期金利をゼロ%程度、短期金利をマイナス0.1%程度にコントロールし、必要な金額の長期国債や上場投資信託(ETF)などの買い入れを実施する枠組みだ。基本的に金利を中心に据え、極めて低い水準に金利を抑制することで景気を刺激するのが狙いだ。

 新体制の政策運営に関する注目点は、どのタイミングで長短金利操作の枠組みを修正するかだ。日銀は2022年12月、黒田東彦前総裁のもと、長期金利(10年物国債金利)の変動幅を従来のプラスマイナス0.25%から同0.5%に拡大した。多くの市場参加者にとって不意打ち的だったため、その後も政策修正が早期に実施されるのではとの観測がくすぶり続ける。

 12月の政策修正は、金利のより自由な変動を容認することで市場機能の改善を促し、金融緩和の持続性を高めるのが狙いだった。

 22年は米欧で高インフレと利上げが進んで日本でも金利上昇圧力が高まり、それを日銀が抑え込もうとして大量の国債買い入れを余儀なくされ、国債市場のゆがみが懸念された。ゆがみとは、日銀が大量に長期国債を買い入れるため、10年物国債金利よりも償還期限の短い金利が高くなったり、同じ10年物国債でも銘柄間で異なる金利が付いたりするような状態を指す。

 実際、22年半ばから23年初めにかけて市場の緩和縮小観測をけん制する狙いもあり、国債買い入れはこれまでにない規模で実施された(図参照)。植田総裁はたびたび金融緩和の副作用に言及しており、修正観測を招く要因となっている。

 政策が修正されるシナリオには、大きく2つのケースが考えられる。第1は経済・金融情勢の改善が続き、物価上昇率が安定的・持続的に2%に達すると見込まれる場合だ。就任会見で植田総裁は、2%物価目標を達成できる情勢になれば、適切なタイミングで正常化を進めると表明した。第2は国債市場でのゆがみの悪化などにより、副作用が顕著に高まる場合だろう。

 第1のシナリオならば、日銀にとって望ましい形での修正となる。だが課題はそのタイミングの判断が難しいことだ。実際にインフレ率の基調が2%近くまで上昇してくると、長期金利に上昇圧力が高まる。2%物価目標を確実に達成するという観点にたてば、変動幅の拡大や長短金利操作の撤廃はできるだけ先延ばししたいところだろう。その方が緩和効果は強まり、2%目標の達成はより確実になると期待できるからだ。

 しかし修正を先延ばしにして緩和効果が強まると、長期金利の上昇圧力はさらに強まる。政策修正に対する金融市場参加者の思惑も高まり、投機的な国債売りにも拍車がかかる。そうした状況のもとで実施する政策修正は、結果的に長期金利の大幅なジャンプなど金融市場の不連続な変化をもたらすかもしれない。

 金融市場の不連続な変化は、経済・物価情勢に予期せぬ悪影響を及ぼす恐れがある。そのリスクを回避するため、2%目標の達成はまだ不確実で、金利上昇圧力が高まっていない状況下で政策を修正するという選択肢もありうる。となれば、金融市場関係者が政策修正への警戒感を怠らないのもうなずける。ただし、日銀はそのシナリオは決して明言しないだろう。明言した途端に、金融市場は修正を織り込もうとするからだ。

 実際、植田総裁の発言では、金融市場の予想が先走らないよう、政策修正や正常化は先延ばしにする意向をにじませている。4月10日の就任会見や同28日の金融政策決定会合後の会見では、正常化を進めるにはインフレ率が安定的・持続的に2%に達する情勢かどうかを見極める必要がある、インフレ率の先行きについても不確実性が高いといった趣旨の発言をしている。金融市場の思惑が過度に高まらないよう、けん制している様子がうかがわれる。

 新体制の政策運営に関するもう一つの注目点は、将来の金融政策に関する指針(フォワードガイダンス=先行き指針)をどう設定するかだ。金融緩和をどのような状況になるまで継続するかを表明するもので、それ自体が金融環境に影響を及ぼす金融政策手段だ。今回の決定会合では、これまでの基本的な指針を維持する一方で、一部修正した。

 具体的には、(1)2%目標を安定的に持続するために必要な時点まで、長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続する(2)マネタリーベース(資金供給量)については、インフレ率の実績値が安定的に2%を超えるまで拡大方針を継続する――という大枠は維持した。

 そのうえで政策金利に関する指針については「現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している」という文言を削除した。これは20年3月、新型コロナによる負の影響を和らげるべく導入されたもので緩和強化の狙いがある。その指針を削除し、特に長期金利のコントロールに柔軟性を確保する意図が読み取れる。

 また今回「賃金の上昇を伴う形で、2%の『物価安定の目標』を持続的・安定的に実現することを目指していく」という表現が追加された。これまでも賃金上昇の必要性は強調されてきたが、今回2%目標の条件に明記することで目標達成へのハードルが引き上げられ、緩和継続へのバイアス(偏り)が強められたと解釈できる。先行き指針の修正には、引き締めと緩和強化の両方の意図が含まれていることが読み取れる。

 併せて過去25年間にわたる金融緩和政策に関して、多角的にレビューを実施することも表明された。ここで目を引くのは、1年から1年半程度の時間をかけて実施するという点だ。米欧では政策レビューの後に金融政策の枠組みが変更されたこともある。植田総裁は、レビュー実施中でも政策修正の可能性はゼロではないと述べたが、長めのレビュー期間から早期の政策修正の見方を後退させた向きも少なくないと思われる。

 日本経済は、他の主要国に比べて経済正常化が最も遅く、国内総生産(GDP)や民間消費はコロナ危機前の水準をようやく回復したところだ。米欧では高インフレと急激な利上げが進行し、景気後退リスクとインフレ残存リスクの両方が懸念される複雑な状況だ。そこに米銀行破綻に端を発する金融不安が加わった。

 不確実性が極めて高いなか、日銀の新体制は異例の金融緩和に引き続きコミット(約束)する姿勢を強調してスタートした。その基本姿勢は維持しつつ、適切な時期にスムーズな政策修正を実施して、より柔軟な政策運営を目指すべきだ。
<ポイント>
○新体制も大規模緩和の継続姿勢を明確に
○物価目標達成でも正常化時期の判断難題
○指針修正には引き締めと緩和強化の両面

宮尾龍蔵(みやお・りゅうぞう) 64年生まれ。ハーバード大博士。専門はマクロ金融。元日銀政策委員会審議委員

2023/05/17 日本経済新聞 朝刊 30ページ

記事に対するコメント📝

現在弊学において、私がゼミの幹事を務めている「宮尾ゼミ」ですが、宮尾龍蔵教授には大変お世話になっております🥺

いつも幅広い知見のもと、丁寧にわかりやすく経済状勢などの解説をしてくださります🎊

今回の記事では、宮尾教授が担当された日本経済新聞の記事について引用させていただくとともに、私たちが現在、ゼミで学んでいることの概要を少しでもお伝えできたら幸いです💖

私からこの引用記事に対してコメントできることは正直ありません💦

ハーバード大博士(Ph.D in Economics)を有している方が、私たちの身の周りにいったい何人いらっしゃるでしょうか??😂

紆余曲折あり、弊学に進学し、宮尾龍蔵教授のゼミのもとで勉強できることは一生の財産になるように思います💎

卒業論文執筆において、いろいろご指導いただくこともあると思いますが、最後までゼミ幹事としての役割を全うしたいと思います✨

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