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【特化による恩恵💖】「貿易の利益」とその発生メカニズム:国際貿易論✨

【国際貿易論】シリーズにおいては
私が現在学習している内容である
国際経済学の分野について
アウトプットしていきたいと思います👍

今回の記事は「貿易の利益」について考えます
「国際経済学」の最もエッセンシャルなテーマですので、国際貿易を実施することの恩恵をしっかり理解しましょう🎊

これまでの投稿では
①ヘクシャー・オリーン・サミュエルソンモデル(以下、HOSモデル)

② 「特殊要素モデル(specific factor model)について解説してきました

そして、「比較優位」によってもたらされる生産構造の変化や偏向的経済成長について考えてきましたね

国際貿易を理解する上で非常に大切なこの
2つのモデルの特徴や違いについても言及し
貿易パターンの決定を解説しました🔥

今後の投稿では、国際貿易によってもたらされる貿易の利益について、一緒に考えていきましょう
今日のグローバル経済はなぜこれほど「貿易」が活発に行われているのでしょうか?

きっと貿易を通して、両国にとって互恵的な
メリットがあるから
ですよね

このメリットならびに貿易によって一国経済の厚生がどのような恩恵を受けるのか、ということを整理し一緒に考えていくことにしましょう

貿易利益命題🌟

結論からまとめますと
貿易利益命題は以下の通りです

「自由貿易状態における一国の経済厚生は
閉鎖経済均衡におけるものより低くはない」

また、貿易利益は以下の2つの利益に
分解して、考えていくことができるのです
①代替の利益、②特化の利益

そして、貿易利益は貿易収支が
バランスしている状況で存在しています


補足ですが、貿易収支の黒字・赤字と
貿易利益とは基本的に無関係であるという
ことを念頭においていただけると幸いです

図解:貿易の利益✨

貿易開始による相対価格の変化

生産可能性フロンティアと効用曲線との接点a点は閉鎖経済における均衡点を表しています

そして、その接線は均衡点における相対価格
(P)を表していることがわかりますね

ここで、開放経済における自由貿易の開始に
よって相対価格が変化すると(P⇒P*)、
その相対価格を表す直線(ℓ*)と生産可能性
フロンティアとの接点(y)が新たな生産の均衡点となるのです

「代替の利益」と「特化の利益」🌟

代替の利益と特化の利益

以下では同じ図を見ながら、国際貿易によって一国経済にもたらされる貿易の利益について、より詳しく見ていきましょう

相対価格がPからP*へと変化したのにも
関わらずその国の生産構造が全く変化しなかった場合を考えてみましょう🙄

すると、家計の予算制約線は元の生産点 a 点を通る新たな相対価格をもつ直線 lʼのようになります

家計がこの予算制約線 lʼ にしたがって
消費ベクトルを選択しなければならないとすると、最適消費点は xʼ点になることが見て取れますね

このとき効用曲線 uʼに相当する効用水準を
家計は享受しているということになります

これこそ、代替の利益に他なりません🎊

消費者は相対的に高くなった第1財の消費を
減らして、第2財の消費量を増やすという
代替行動によって消費ベクトルを変化させます

また、相対価格の変化による交易条件の改善により、生産者の産出量ベクトルにも変化があります

貿易開始により国際相対価格P*に
直面することにより、P<P*でありましたから、第1財の価格が相対的に高くなっていることがわかります

自国は交易条件で有利になった第1財の生産ならびに供給を増やそうと生産ベクトルをより
特化させる方向へと生産構造を変化させます

したがって、国際相対価格P*によって形成された予算制約線 l*に対する生産ベクトルyにシフトするようになるのです

この結果、国際相対化価格で表記された
予算制約線もまた l' から l*へと変化することになるので、消費者も予算制約線 l*に対応した消費ベクトル x*へと変化することになるのです

この x*点こそ、開放経済均衡点になります

このとき効用曲線 u*に相当する効用水準を
家計ならびに一国経済は享受しているということになります

これこそ、特化の利益に他なりません💖


総括として、
国際貿易開始による
国内の厚生変化をたどることにしましょう

自由貿易が開始されたときに起こる均衡点の
変化ならびにチェックポイントを整理すると
以下のようになります

最初は閉鎖経済均衡a点からのスタートでした
閉鎖経済均衡A点 から貿易が開始されることにより、この国の経済主体が直面する相対価格がP<P*となりますから
予算制約線ならびに生産ベクトルが
変化することが想定されます

この結果、閉鎖経済均衡点a点から、xʼ点へと移行する過程で、『代替の利益』を享受します

そして、生産構造の変化に対応した予算制約線 l*に対応した消費点の変化が発生し、開放経済均衡点であるx*点が実現されます

このメカニズムのなかで『特化の利益』
この国はさらに厚生の拡大として享受できることが確認できますね💛

この国際貿易の開始から一連のプロセスに
おいて、この国の厚生が拡大しているという点をご理解いただくことがこの章の目的であると思います💖

労働市場均衡と産業間の利害対立

以下では、関連話題として理解したい
貿易メカニズムによって引き起こされる
要素賦存量の変化、外生的価格の上昇によって引き起こされる産業構造の変化について考えていきたいと思います

財の価格(P)を一定として、一国の労働(一般的要素)市場均衡について一緒に検討していきましょう
労働の供給量はL > 0 で一定とします
労働市場均衡条件は「L1+L2=L」です

$$
Labor  Market\\  
L_1 + L_2 = L_{Domestic} \\  \\
P=p_1/p_2 < P^*={p_1}^*/{p_2}^*\\   \\
Labor  Demand  Function \\Δw>0 ⇒ΔL_i <0     \\   \\
L_i ^D (w) =p_i \times\frac{\partial{F_i(K_i,L_i)}}{\partial{L_i}}\\   \\
The  value  of  MPL_i   \forall{i}=1,2
$$

図解:各産業の労働需要曲線


そして、労働市場均衡で賃金率(w)が
確定すると、各産業への労働配分と
各財の生産量、および各生産要素に対する
「所得分配」が確定する
というメカニズムを
説明していきたいと思います

労働市場均衡と各要素所得の余剰分析

一国経済の労働市場と産業構造

労働需要曲線の a & bの交点
e 点が労働市場均衡点となります

それを実現させる賃金率 wのとき労働市場において需要と供給とが一致することになりますね

△aewは第1特殊産業の利潤となります
△bewは第2特殊産業の利潤となります

w水準よりも下の領域は、労働所得となります
合計はw×Li によって各産業に分配されます

黄色の領域で表記されており、一般的生産要素である労働の分配額を表していることにご留意ください👍

【総括】外生的な価格上昇の効果

第1財価格の外生的な増加による産業構造変化

「財価格の変化がどのように所得分配に
影響するか」
ということを一緒に考えていこうと思います

以下では、第1財価格が上昇する場合について考察しましょう

すなわち、国際貿易が開始されたことによって、相対価格がPからP*へと上昇したケースを想定します

相対価格でありますから、第2財で測った
第1財の価格比であったことを思い出すと
第1財の価格がp1< p*1となっていることになりますね📝

第一財産業の労働の価値限界生産力が
価格の上昇率の分だけ高くなります

図解からイメージして見ると
第1財産業の価値限界生産力曲線が
価格の上昇率の分だけ上方にシフトするということ
になっていますね

第1財の価格が上昇したことによって
より多くの労働力が第1財部門に配分されますから、第1財の生産量は増加し
相対的に割高となった第2財の生産は縮小することになる
のです

※第1財と第2財は、資源制約の下で正常財かつ代替の関係にあるとしましょう

まとめとして、以下の考察が述べられます❤️

第 i 財の価格が上昇すると
第 i 財部門における労働の価値限界生産力曲線が価格の上昇率分だけ「上方」に移動します
これにより、労働市場における名目賃金率(w)は上昇します

また、第 i 財の価格で測った実質賃金率は低下することになります
この結果、第 j 財(=他財)で測った実質賃金率は相対的に上昇します

このように要素所得が変動すると、各特殊産業における利潤についても以下のような変化が想定されます

第 i 特殊要素の所得(利潤)は増加し
第 j 特殊要素の所得(利潤)は減少することになります
したがって、このようなメカニズムの結果

第 i 財の外生的な価格上昇の結果
第 i 財部門の労働雇用は拡大し
第 j 財部門の労働雇用は縮小するのです

※ i,j という文字を用いていますが
1,2と同じくそこまで大きな意味はありません

ただ一般化を試みただけの上記になります🙏

本日の解説は以上としますが
いかがだったでしょうか?

今後も経済学理論集ならびに
社会課題に対する経済学的視点による説明など
有意義な内容を発信できるように努めてまいりますので、今後とも宜しくお願いします🥺

マガジンのご紹介🔔

こちらのマガジンにて
エッセンシャル経済学理論集、ならびに
【国際経済学🌏】の基礎理論をまとめています

今後、さらにコンテンツを拡充できるように努めて参りますので
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます📚

最後までご愛読いただき誠にありがとうございます!

あくまで、私の見解や思ったことを
まとめさせていただいてますが
その点に関しまして、ご了承ください🙏

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