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【設備投資の理論より💴】今後、日本にインフレは定着するのだろうか?:日経新聞解説 2023/12/17

日本経済新聞の記事で
注目したい内容がありましたので
記事にしたいと思います💖

長いですが、目次をご活用いただきまして
どうぞ最後までご覧ください!


「低温からの脱却」を聞く 東大名誉教授 岩井克人氏 インフレ、新たな価値創造(物価を考える)

――日本は30年間にわたり経済が停滞した。なぜか。
 「デフレだ。資本主義においてデフレは長期衰退に導く最も確実な道だ。資本主義は利潤の追求で動く。その源泉は経済学者のシュンペーターが指摘したようにイノベーションだ。新しい商品や技術、市場開拓など差異が価値を生む」

 「インフレの役割を強調したのがケインズだ。イノベーションを現実化するにはお金が必要だが、アイデアがある人の多くはお金がない。そういう人に対し、アイデアはないがお金はある人を結びつける。それが金融だ」

 「インフレの場合、借金は目減りしていくので、アイデアはあるがお金がない人は借金して投資しやすくなる。その結果、イノベーションが促される。逆にデフレではお金の価値が上がるので、無駄なタンス預金になってしまう」

 ――歴史的な実例は。
 「資本主義はまさにインフレによって始まった。英国は16世紀後半から17世紀にかけ、緩やかなインフレが続いた。貿易や毛織物の製造など、投資に必要なお金が借りやすくなり、資本主義的な発展を始めることができた」

 「劇作家のシェイクスピアが活躍したのもこの頃だ。彼が劇団を経営して自らの作品を上演できたのもインフレのおかげだ。英国は物的資本だけでなく、最大の文化資本も手に入れたのだ」

 ――日本はなぜデフレになったのか。
 「経済政策に問題があった。出発点は1985年のプラザ合意だ。米国からの圧力に負け、円高を誘導するために実施した拡張的な財政金融政策はバブルを生んだ。
次に、バブル退治の急速な財政金融の引き締めは巨額の不良債権を生みだし、処理に手間取る中でデフレが進んでしまった」

 「デフレ下で金融政策は後手に回った。インフレ目標の導入も遅かった。アベノミクスでデフレ脱却が進むかに見えたが消費税率の引き上げが早すぎた。失われた20年で人々の間にデフレマインドが定着していたのだ」

 ――日本にインフレは定着するか。
 「十分ありうる。実体経済と物価の関係は直線的ではない。総需要と総供給のギャップが一定範囲を超える大きなショックがあればデフレ予想でもインフレになりうる」
(随時掲載)
 いわい・かつひと 米マサチューセッツ工科大(MIT)博士。専門は理論経済学。現在は神奈川大特別招聘(しょうへい)教授。

2023/12/06 日本経済新聞 朝刊 5ページ

記事に対するコメント📝

日本経済の長期停滞の原因については諸説あるかと存じます。

日本企業は、30年前のバブル崩壊と、それに続く金融危機によって、債務・設備・雇用の、いわゆる「3つの過剰」の解消に迫られました💦

加えて、信用収縮によって、企業はバランスシートの健全化を迫られ、設備投資を控えるようになり、設備投資の縮小は需要の低下を招き、マクロ経済を下押しすることになったのではないかと思います。

これは、デフレスパイラルの始まりになります。
こうした状況下で、企業は雇用維持を優先し、賃金を抑制するようになり、雇用者の所得が低迷した結果、個人消費も低迷し、マクロ経済に輪をかけて下押し圧力がかかったというような悪循環が生まれ、それがさらなる設備投資と所得の低迷に繋がったのです。

新古典派投資関数の理論🏢

まずは、モデルの仮定です。
ここには、資本の賃貸市場が存在しており、• 資本1単位1期間の賃貸コストは$${ c}$$で、これは所与の値です
また、企業の生産は資本$${K}$$と労働$${L}$$を用いて行われることから、生産関数は$${Y=F(K,L)}$$となります。

また簡略化のために労働投入量は最適な値$${L^*}$$に決まっているとします。

また生産関数$${Y=F(K,L)}$$の性質として、資本の限界生産物$${MPK}$$は$${K}$$の増加ともに逓減すること$${f{KK}(K,L)< 0}$$を想定します。

そして、投資の決定プロセスですが、企業は利潤を最大にする$${K}$$の水準を決定し、これを$${K^*}$$で表します。

また、投資は$${K^*}$$を実現するように行われます。
後ほど示しますが、現実の資本ストック$${K_t}$$と$${K^*}$$のギャップを埋めるように行われることを覚えておいてください!

そして、最適な資本ストック$${K^*}$$の決定ですが、資本を追加的に1単位増加させたのであれば、その分の生産量は$${MPK}$$単位増加することになります。

その一方で、資本を1単位増加させるためのコストは$${c}$$で一定であるため、最適な資本ストックの水準$${K^*}$$では、資本の減価生産物が限界費用と一致していること水準$${MPK=C}$$で達成されることになります。

そして、投資は最適な資本量と現実の資本ストックのギャップを埋めるように行われますから、以下のような投資関数を想定することができます。

$$
\\Investment  Function\\I=K^*-(1-\delta)K_{-1}\\      \\K^*:最適な資本量
\\K_{-1}:前期の資本ストック\\
\delta:資本減耗率(\in 0,1)
$$

資本コストの存在💴

以下では、上記で一定としていた資本の賃貸費用$${c}$$を決める要因について考えます。
ここで、資本財の中古市場が存在するものとします。
しがたって、賃貸市場と中古財市場との間で裁定が働くことになるのです。

ここで、$${t}$$期の期末に企業は資本を1単位購入します。
その価格は$${p_K}$$であり、第1期末の価格で評価されますので、利子率$${r}$$を加味した$${p_K(1+r)}$$となります。

そして、$${t+1}$$期の生産にその資本を使用し、期末に資本財を売却し、$${p_K(1-\delta)}$$の売却益を得る事を考えます。
したがって、資本を1期間使用することのコストは、以下のようになります。

$$
\\Capital  Cost\\c=p_K(1+r)-p_K(1-\delta)=p_K(r+\delta)
$$

したがって、資本コスト$${c}$$は利子率が高いほど、高くなります。
そして、投資の性質より、資本コストが高いのであれば、投資は抑制されることになるのです。

最適な投資の条件✨

投資はその収益(将来の産出量の増加の割引価値の合計)と費用を比較して行われます。
したがって、 異なる時点で発生する収益・費用は割り引いて比較することになります。

この考えに基づけば、産出量の増加の割引価値の合計$${V}$$は以下のようになります!

$$
\\\Delta V =(\frac{1}{1+r}+\frac{1-\delta}{(1+r)^2}+\cdots)MPK・\Delta K\\      \\            =\frac{MPK}{r+\delta}\Delta K
$$

ここから最適な投資の条件を導出することができます。
それは、上記でも述べたように資本の限界生産物と資本コストの一致です!

$$
\Delta V =p_K \Delta K \\  
\\\therefore MPK=p_K(r+\delta)   
$$

しかし、単純な理論で想定しないこともたくさんあります。
まずは、法人税の影響です。
法人税があれば、企業の利益に課税されるため、企業の投資活動に影響を与えます。

また、減価償却費は名目金額によって算出されるので、インフレ期には過小償却、デフレ期には過大な償却をしてしまっている点は留意されたいですね。

そして何より、このような単純な理論では、将来の不確実性(GDP等の経済環境の見通し、産業構造の変化) や投資の不可逆性、資金調達の制約などを厳密に考慮できているわけではありません。

加えて、住宅投資の理論は基本的に設備投資と同様の考え方になりますが、個人は居住サービスの割引価値の合計と住宅の取得費用を比較して住宅を購入するかどうか決定するという点で考慮すべき点が変わることもポイントになります。

このような基礎的な考え方をベースに、なぜ経済が停滞しているのか?ということを考察できるようになれば、より学びの多いインプットができるのではないでしょうか?

本日の解説は、ここまでとします。

前回ご紹介した記事💖

マガジンのご紹介🔔

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最後までご愛読いただき誠に有難うございます!

あくまで、私の見解や思ったことを
まとめさせていただいてますが
その点に関しまして、ご了承ください🙏

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