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『独白』

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2023年3月の記事一覧

夜空の幽霊船

 夜風がとても心地よかった。春の夜空にはハラハラと星が輝いていた。星々の間には赤く点滅する孤独な光が高速で移動している。飛行機だ。それがぼくの額のずっと先を通過する時、「ゴーッ」というくぐもった轟が、ぼくを覆う夜空の天蓋を細かく振動させていた。

 ぼくははるか上空を通過する飛行機を見ると、少しのあいだじっと眺めるという奇妙な癖があった。そして、ぼくは飛行機に乗る彼らの一人一人について想う。

 

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卒業する先輩方に捧ぐ

 ぼくは川の流れを見ていた。川の流れは多くの落ち葉をも流していた。顔を持たない多くの落ち葉がぼくの下を通過し、またその全ての落ち葉が二度と戻ってくることはなかった。

 ギイギイ、ギイギイ。何を想う?ああ、寂しいのだ。ぼくは水面に揺らぐぼく自身の影を見つめる。川の水は月の光に照らされてわずかに白く濁っている。

 その時だった。水面に白く光る幾つかの何かがうつった。それは小

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 風が吹いていた。

 オレンジの木から親指の爪くらいの大きさの茶色く腐食した小さなオレンジが落ちるのを目撃した。

 「ボトッ」というくぐもった音と共に僕はしばらくのあいだ動けなくなってしまった。

 なぜなら、周りでそれを見ていた血色の良い無数のオレンジたちは、春の柔らかい日差しの中でイキイキとその身体を曝け出していたからだ。

 落下したオレンジは誰にも気づかれずにコンクリートの隅にに打ち捨

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