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『独白』

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2022年12月の記事一覧

宵、酔い

静寂包む 冬の夜の街

酔いの漂う 熱い吐息

世界を覆う 黒い天蓋

空に散りばむ 儚い星に

故郷想う 孤独の空に

酔いどれ、冴ゆる

ぼくは酔っ払いました

ウィスキーの甘い匂い

冬の夜風に消える白い吐息

夜空を覆う儚い星彩

ぼくは酔っ払いました

車窓

大学へ向かう車窓から冬の富士が見えた

富士は白い雪をかぶってぼくたちを照らしていた

列車の中に車窓を見ているものはいなかった

富士はぼくだけを照らしていたのかもしれない

これからは2人きりで生きていこうと思った

風に吹かれて

木枯らしに舞うゴミを見た。

世界はそれを無視し、呆れたけれど、

ぼくは微笑み、そして泣いた。

冬の風はぼくの空白を吹き抜けていった。

風の強い午後に          12/26