脳卒中の後遺症について正しく知ろう!
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福岡県で理学療法士をしてますkenkenです*
日々のちょっとした疑問や曖昧なことに、"しっかりと向き合い"皆さんにとって有益な情報発信ができるようにお役にたてればと思います。
はじめに
脳卒中をおこすと、ダメージを受けた脳の部位によって、さまざまな症状が現れます。
こうした症状は治療やリハビリで完全に治すことは難しく、程度は違っても、後遺症として残ってしまうことが多いのが現状です。
社会的には、ノーマライゼーションの概念からユニバーサルデザイン、インクルーシブデザインなど理解やあり方が示されてきていますが、病気や疾患に対する理解にはいまだ課題を抱えています。
本日は、疾患や障害に対する情報提供・啓蒙の意味合いで、以下に解説していきたいと思います。
🔲 脳卒中の概要
➖ 脳卒中とは
脳卒中とは脳の血管が破れる、詰まるなどが原因で脳に障害が起きる疾患です。
脳卒中は脳血管障害とも呼ばれています。
➖ 脳卒中後遺症とは
脳卒中によって引き起こされる身体的、精神的な障害を指します。後遺症には以下のようなものがあります。
- 運動機能障害:手足の麻痺や運動の制限
- 感覚機能障害:しびれや痛み、感覚減弱・消失
- 言語障害:言葉を話す、理解する能力の低下
- 嚥下障害:飲み込みの力が低下
- 感情障害:うつ病や不安感の増加
- 認知障害:記憶力や判断力の低下
そのほか、視覚障害や損傷部位によっては性格変化など多様な症状を呈し、これらの後遺症は日常生活や社会参加に大きな影響を与えます。
上記の中から代表的な後遺症について5つ、以下に紹介していきます。
🔲 運動機能障害
脳卒中の後遺症で最も多いのが片麻痺といって、左右いずれかの半身に麻痺が残り、自由に動かすことができない運動障害です。※左右同時におこることは稀です
脳に受けたダメージの程度によって、麻痺の程度もさまざまです。
脳卒中発症当初は弛緩性の麻痺ですが(力が入らない)、その後、時間経過とともに筋肉の緊張が強くなり、重だるく突っ張った感じ(こわばる)になって、動かしにくい状態となります。
足の筋肉は伸筋(伸ばす筋肉)の緊張が強く、手や腕の筋肉は屈筋(曲がる筋肉)の緊張が強くなり、その特徴的な姿勢からウェルニッケマン肢位とも呼ばれます。
🔲 感覚機能障害
感覚障害では片側の手足や顔面、半身にしびれ感を認めるケースがあります。
もう少し細かくみると、以下のようにどこの神経路やレベルで損傷したかで変化します。
しびれの感じ方は様々で、ジンジン、ピリピリ、人によって不快な痛みを感じます。
また、触覚や温痛覚が鈍くなるケースも多いため、火傷や気づかずに四肢をぶつけて怪我をするなど認めることがあります。
感覚障害は外からはわかりにくく、本人にとっては悩みや不安、不眠、食欲低下などを招き、生活の質を低下させます。
🔲 言語障害
言語障害には、二つのタイプがあります。
・構音障害
口や舌の筋肉が麻痺したために、発声や発音がうまくできないタイプ
・失語症
言葉が出てこなかったり、理解できなくなったりするタイプ
※いずれの場合もコミュニケーションに支障が生じます。
構音障害の場合、ろれつが回らない話し方になりますが、話す内容や相手の言葉を理解する能力には問題がありません。口や舌の筋肉を動かす訓練や発声練習などで、順調に回復するケースが多く見られます。
一方、失語症は大脳の言語中枢がダメージを受けたためにおこるもので、症状の内容や程度はさまざまです。
他人が話していることは理解できても、自分が言いたい言葉が出てこない人もいます。逆に、話すことはできても、他人が話している内容を理解できない人もいます。
失語症の場合、構音障害などと比べると、回復に時間のかかるケースが多く見られます。
🔲 嚥下障害
嚥下障害とは、飲食物をうまく飲み込めない状態のことです。
運動障害や感覚障害により、
・舌や喉の動きや嚥下反射が悪くなる
・飲み込む筋肉が落ちている
などが主な原因になります。
気管に入らないようにする喉頭蓋の動きも悪くなることで、「誤嚥性肺炎」を起こしやすくなります。
※誤嚥性肺炎とは、
飲食物や唾液、胃から逆流した食べ物が気管から肺へと入り込み、その際に細菌も一緒に流れ込んで増殖する病気です。再発を繰り返すことが多く、抗生物質が効かなくなって死亡するケースも見られます。
そのほか、食欲がなくなり食事量が減ることで体力や筋力の低下にも繋がります。
嚥下障害がある場合、飲み込みやすい食事で嚥下訓練を行い、徐々にふつうの食事に戻していきます。
薬で嚥下機能を高める治療が行われることもあります。重症の場合は、鼻からチューブを入れたり、腹部に胃瘻(いろう)と呼ばれる穴を開けるなどして、栄養剤を流し込む方法もあります。
🔲 感情障害
後遺症の中には、障害が目立ちにくく、本人もよく認識していないケースがかなり見られます。うつ状態になったり、人格が変化したりするのも、その一例です。
発病後、気持ちが沈みがちになり、意欲が低下して、うつ状態になるケースはよくあります。これは、脳卒中で脳がダメージを受けたことが原因の場合もありますが、後遺症に対する心理的負担などが原因になっていることもあります。
また、人格が変わったり、感情をコントロールできなくなったりする人もいます。以前は温厚な性格だったのに、発病後は不機嫌でイライラしやすくなったなどの例があります。また、急に怒ったり泣いたり、感情が不安定になる人もいます。
そのほかにも、気が散りやすくなる「注意障害」、少し前の出来事が思い出せない「記憶障害」、計画を立てたり、段取りを考えたりすることが困難になる「遂行機能障害」、片側の空間を認識できない「半側(はんそく)空間無視」などがあります。これらの精神的症状は、失語症も含めて、「高次脳機能障害」と呼ばれています。
おわりに
以上、本日は「脳卒中の後遺症」についての理解を深めるをテーマにまとめてみました。
上記にあげた代表的な症状以外にも、細かくみると症状は多岐に渡ります。最後に紹介した高次脳機能障害と呼ばれるものは、生活上で支障を及ぼす症状もありますので、また別の機会で紹介できればと思います。
皆さんの日常生活に少しでもお役にたてたら光栄です🦥🍃
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