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#03 スキーレッスンのススメ①レッスンのメリット

過去の記事はちょっと固くて壮大なトピックが多かったので、
少し小さなトピック「スキーレッスン」を、
今回と次回の2回に分けて取り上げたいと思います。


1.スキーレッスンは、お客様に「何」を提供するのか?

まず、みなさんは、
スキーレッスンを受ける人たちはどんな人たちだと思いますか。

レッスンは、スキーが下手な人が受けるものなのでしょうか。
みなさんは
「私はそこそこ滑れるから、レッスンなんて必要ない」
とか
「初心者みたいでカッコ悪い」
とか思われるでしょうか。

レッスンを受ける(もしくはスキーインストラクターを雇う)理由は、
日本では「上手になるため」の一択かもしれませんが、
世界的に見ると「上手になるため」が一番の理由というのは、
むしろ少数派かもしれません。

わたくしのお客様達は
主に以下のような目的や理由でレッスンを受けていました。

標高の高いスキー場では、多くの日が雲海の上で滑ることになります。

①広大なスキー場を案内してほしい。
 レベルにあったコースを選んで、疲れないペースで連れまわしてほしいという意味です。お気に入りのコースへ行くのにどのリフトに乗れば近いかとか、どのリフトが空いているかとか、スキー場内で休憩や食事をするおススメの場所とかも教えてもらいます。

②子供の面倒を見てほしい。
 親は親だけで滑りたいので、託児感覚で子供をインストラクターに預ける場合と、子供も一緒に家族で滑るけど、不慣れな子供を補助するインストラクターを同伴する場合の両方があります。

③地元の大人と話がしたい。
(その国や地域の、教育や社会や歴史や文化を知りたい。)

 国内のお客様であれば、たとえばその地域への移住を検討している人とか。海外からのお客様であれば、その国の文化や教育や歴史や政治について、観光ガイド的に、リフトの上や食事の時の雑談で教えてもらいたい。

④ある特定のインストラクターと毎年一緒に滑るのを楽しみにしている。
 日本でもありますよね、SAJの〇〇デモとか、有名選手と毎年一緒に滑るとか。それと同じ感覚なのですが、海外のリゾートでは、そんな有名選手じゃなくても、毎年この人と一緒に滑りたいと思えるインストラクターが沢山います。
 逆に固定客が沢山いる海外のインストラクターは、日本の平均年収以上に稼いでいます。

あとはリフトが混んでいる時も並ばず乗れる”レッスン優先レーン”を使えるから、という少し変わった理由もありました。

初めて訪れる広大なスキー場で、
お好みの斜面をみつけたり、迷わずに山麓のホテルにたどり着くことは、
余程スキーに慣れている人でなければ難しいです。


ここでおそらく皆さまは疑問に思われるでしょう。
「じゃ、スキー場案内の目的でレッスンを受けた場合、滑りは教えてもらえないの?」と。

当然レッスンなので、観光案内がメインであっても、ちゃんとポイントは教えてくれます。

つまりレッスンとは、インストラクターが、お客様がスキーホリデーを最大限楽しめるように、持っているスキーの知識と技術を最大限にお客様のために使う時間というのが世界的には常識です。「上手く滑る方法を教えてくれる」は、メリットの一つに過ぎません。これは海外だけではなく、日本でも近年はこの方が主流になっているはずです。

2.レッスンを受けると、スキーが上手になる以外にも、こんなメリットがある

また、普段からスキーに接していない人にとっては、レッスン中のインストラクターのしぐさから学び取れる細かな動きやコツも、雪の上で快適に過ごすのに大変役に立ちます。

たとえばスキー用具の持ち運び方や扱い方、ウエアーの着こなし方などは、普段からスキーに接している人は当たり前に知っていますが、年に1度しかスキーを滑らない人達にとっては全く馴染みのないことですが、そんなこともレッスン中に学び取れます。

ウェアーの着こなし、ゴーグルやヘルメットの取り扱いや着こなし方
・スキーの持ち運び方や扱い方
・スキーブーツの痛くない履き方
・スキーブーツでの、階段や斜面での歩き方
・技術や体力や用途に合わせた最適な用具の選び方

たとえばスキーの持ち方。スキーの持ち方は、それを見るだけでその人のスキーの技量がわかってしまうほどなのですが、それは「上級者っぽくスキーを持たないとカッコ悪い」という日本人的などうでもよい見栄の話ではなく、上級者の持ち方は、それが一番楽で安全だからなので、技量に関係なく、その持ち方を覚えるだけでスキーの持ち運びが劇的に楽になりますので、初心者であっても出来た方が良いです。

スキーブーツで階段を降りる際も、まっすぐ降りられる人と、カニのように横向きに歩かないと降りられない人がいます。これも同じことで、まっすぐ安全に降りられる方法を教えてもらえばほぼ誰にでも出来ますが、教わらないと、スキーブーツで自由自在に歩けるほど慣れるまではずっとカニのままでしょう。

そしてインストラクターはそのスキー場を熟知しているので、技術的なこと以外にも、たとえばレッスン後や翌日以降はどのリフトでどの斜面を滑るのがおススメかを教えてくれるなど、滞在を楽しむための多くのアドバイスも受けることができます。

レッスンを受けることにより、普段からスキーに接していない人は、これらのスキー場での当たり前を、ごく自然に教えてもらうことが出来るので、結果、その後の雪の上での時間が劇的に楽になります。

スキースクールの控室。
レッスン中は紳士な彼らも、控室では皆でバカ話で盛り上がっていました。
人種・国籍・性別関係なしに楽しく一生懸命に皆で協力して働ける職場でした。


さあ、どうでしょう。

皆さまはスキーレッスンを「軍隊のように寒い雪の上に並ばされて、厳しい先生のもとで指導を受ける」というものを想像されていましたでしょうか。

過去にはそういう悪しき習慣もあったかもしれませんが、スキーインストラクターはお客様のスキーホリデーを演出する接客業ですので、今はそんな軍隊式はあり得ないと思います。


次回は、なぜ最近の日本のレッスンが、このように ”お客様中心” に改善されたかという経緯と、どのようにレッスンを選べばよいかについて書きたいと思います。


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