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〜賃貸サブリースの背景〜

相続対策を謳った営業スタイルで、地主に賃貸物件の建築を勧めるといった話題については、まだ記憶に新しいかもしれない。

一般的な手法として、相続対策を謳いアパート・マンションの建築を勧める、その際にサブリースの提案もセットにすることで、安心材料となり契約をまとめるといった流れ。

デベロッパー(建築会社)に対しては、高齢の地主相手に契約内容やリスクについて説明が不十分ではないかといった点や、反対に不動産所得=投資なのだから自己責任だろうといった話しもよく聞いていた。
個人的には、どちらも当てはまっていると思っている。

さて、最近ネットニュースでも取り上げられていた、賃貸サブリースに関する記事の内容を紹介します。

〜賃貸住宅の管理業者に初の立入検査、97社うち59社に是正指導〜

〜サブリース契約の構図〜
⚫︎所有者(オーナー)⇔貸主(サブリース業者)の間で、賃貸借契約を結ぶ。
→マスターリース契約(特定賃貸借契約)
※一括借り上げを意味する

⚫︎貸主(サブリース業者)⇔入居者の間で、賃貸借契約を結ぶ。
→サブリース契約(転貸借契約)
※転貸を意味する

〜注意点及び確認事項〜
⚫︎所有者(オーナー)
・相続対策をおこなう事と、賃貸経営(事業)をしていく事は切り分けて考える必要がある

・契約内容について

・賃料減額などのリスクについて

・サブリース業者が、賃貸住宅管理業者登録制度(国土交通省)による登録を受けているかについての確認
※管理戸数200戸以上の事業者に対し、国土交通大臣への登録を義務付けている。
※契約締結前(重要事項説明)に、将来の借上げ家賃の変動に係る条件を書面で交付し、一定の実務経験者等が重要事項として説明することが義務付けられている。
尚、一定の実務経験者等とは以下を指します。
①賃貸不動産経営管理士(登録を受けた者)
②宅地建物取引士(講習を受けた者)
→管理業務に関する実務経験が2年以上

⚫︎入居者
・建物所有者(オーナー)との契約なのか、サブリース業者が借りた建物を契約するのか確認すること
※サブリース住宅(オーナーと貸主が異なる場合を想定)の場合には、賃貸借契約書に両者を記載します。

・維持保全の内容及び貸主(サブリース業者)の連絡先が記載された書面等の確認すること

・地位承継に関する規定について確認すること
※建物所有者(オーナー)とサブリース業者の契約終了等による不利益を受ける場合があるため

「地位の承継に関する規定」とは
所有者(オーナー)×貸主(サブリース業者)と入居する物件の賃貸借契約書に、それぞれこの規定があれば所有者(オーナー)と貸主(サブリース業者)の賃貸借契約が終了しても、建物の所有者から退去を求められることはない。


〜まとめ〜
ここ数年で、行政も本格的に不動産業界の是正や指導に乗り出してきているように思う。
やっとかぁ、、という感じです。

不動産業界は多額のお金が動くため、各方面からの働きかけやあからさまな忖度もあり、、
コンプライアンス重視という時代に入ってからも、長い道のりだったように思います。

今回、サブリースについて書きましたが、賃貸を借りる方のなかで〜注意点及び確認事項〜を気にしながら契約している方は、実際のところ多くないのではないでしょうか。
しかし、不動産業を管轄している国土交通省と消費者庁・金融庁が連名で、注意喚起をおこなっていることをふまえると、それだけトラブルが多いのだと考えられます。

少子高齢化・人口減少に加えて、空き家対策事業の本格化、さらに相続登記義務化も控えていることを考えると、賃貸経営はより一層厳しい環境になってくると思われる。
市場に賃貸物件が増えてくるでしょうし、多種多様な暮らし方によって、空き家をシェアハウスとして貸し出したりする例も増えていきそうですよね。

サブリース業を行なっている企業は、当然ながら「不動産のプロ」なのですが、いかんせん入居者が入らないことには経営も行き詰まっていくことにも繋がってきます。
貸主(サブリース業者)は、大手だから安心といったことで安易な考えを持つことはやめたほうが良いでしょう。

常に情報収集をして、注意すべき点は臆せずしっかりと確認をしていくこと。
情報リテラシーや自己防衛力を高めることは、本来あるべき姿なのかもしれません。

引き続き、住宅業界の現場視点で書いていきたいと思います!

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