見出し画像

「問う力」

 最近、最も身に付けたいと、色々アンテナを張っているひとつのキーワードは「問い(を立てる力)」。

 そんなアンテナがキャッチしたのが本書『「問う力 」が最強の思考ツールである』(フォレスト出版)

    自らに問いかけ、思考を深める(第1人称)、相手に問いかけ、気付きを促す(第2人称)、集団に問いかけ、対話を促す(第3人称)、の3つに分け、「問い」の立て方を実践的に解説しています。

  特に、“第3人称”は、その「問い」次第で議論をより建設的で生産的なものにしてくれます。

   本書で見つけたキーワードは「ICE」。これはカナダのクイーンズ大学が行なった、コインやポイントを集めるかのように単位を集めるだけの学生を“真の学び”に向かわせるための教育モデルで、

   I ; Ideas = 考え

  C ;Connections = 繋がり

  E ;Extensions = 応用

の略です。

    「Ideas」は、学びや議論のベースになる「知識」で、教えられたことをそのまま思い出して答えられるレベル。「Connections」は、その知識を自分がもともと持っている知識や情報と結び付けて理解すること。そして「Extensions」こそが、新たに学んだことをもとに我々に何ができるか、という問いに答えられるレベルであるとしています。

   例えば、今回のコロナ禍によって生じる企業の損失や雇用の縮小が概ねリーマンショックと同規模だ、見積もられたとして、リーマンショックの際にマーケットがどんな影響を受けて、自分たちのビジネスがどのくらいどのような影響を被ったか、という経験から影響を想像してみる。ここまでが、Ideas→Connectionsのプロセスです。

  そしてここまでは、考える人によってさほど差は出ません。

   しかし、Extensionsの段階では、その“問い”いかんによって、導き出される解は様々です。

「損失をリーマン時よりも抑制するにはどうすればよいか?」

「リーマン時よりも速く事業を回復させるには今から何をすればよいか?」

「人員削減を行なわずにコロナ禍を乗り切るにはどうすればよいか?」

    このように、幾つもの“問い”があり、その答も様々なものが考えられますが、大事なことは、ここでの答が行動になって結果に繋がるということ。

    すなわち、ここで適切な“問い”を立てられるかどうかが、よい結果を産み出すことができるかどうかを決めるということです。

  手っ取り早く答を求めるということは、答えるべき問題を吟味しないということであり、それではよい結果を産み出すことはできません。

この記事が参加している募集

推薦図書

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?