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あなたの服が地球を滅ぼしています

このショッキングなメッセージは、2016年に米サンフランシスコで創業したシューズメーカー「Allbirds(オールバーズ)」のホームページに記されているものです。

同社は、ユーカリやサトウキビなどの天然素材を使ったシューズやアパレルを製造販売する、サステイナブルなビジネスを行う企業で、「ビジネスの力で、気候変動を逆転させる」というパーパスと「2025年までにフットプリントを半減させ、2030年までにゼロにする」という目標を掲げています。

※カーボンフットプリント= 商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排 出される温室効果ガスの排出量を CO2 に換算して、商品やサービスに分かりやすく表示する 仕組み(経産省HP)

捨てるという概念を捨てよう

このように、サステイナブルな社会を実現するために消費者に選択肢を提示したり、また消費者の行動様式そのものの転換を促すようなビジネスが多く目につくようになってきました。

「捨てるという概念を捨てよう」というメッセージを掲げるテラサイクルは、「リサイクル出来ないと思われてきたものをリサイクルする」というコンセプト(理想)を掲げ、世界の20カ国で消費者と手を組んで回収をしたり、小売店業者や工場、自治体と手を組みリサイクルに取り組んでいます。

ボストンコンサルティンググループ(BCG)は、『BCGカーボンニュートラル実践経営』(2021年,日経BP)の中で、カーボンニュートラルに向けて企業が取り組むべきことを"守り"と"攻め"に区分して解説しています。

すなわち、自社のビジネスプロセスにおいて排出されるCO2量や用いる電力、輸送手段などを最適化しつつも、

1)提供している商品やサービスを脱炭素化して消費者に訴求する
2)カーボンニュートラル対応を切り口にサプライチェーンの上下流に染み出す
3)カーボンニュートラルに対応した、他社が参入し難いバリューチェーンを構築する
4)自社サービスにカーボンニュートラルに貢献できる要素を織り込むことで消費者の行動変容を促す

といった"攻め"によって優位性を確立することが重要だと、上記のような具体的な事例を挙げて主張しています。

一方、脱炭素経営は、従来の企業活動に比べコストが嵩みます。そしてそのコストは先述のオールバーズのシューズのように価格に転嫁され、"買える人"を選びます。

現に、BCGの調査によると、消費において「環境価格プレミアムを受容する」と回答した人は2~3割程度で、5割の人は「環境負荷の低い商品を選びたいが価格が高ければ普通の商品を選ぶ」と回答しています。

私たちが理想とする社会(サステイナブルな社会)を実現するためには、技術やビジネスモデルを開発するだけではなく、生産性の向上によってビジネスそのもののサステイナビリティ(持続可能性)を高めることが重要であるほか、ダイバーシティや格差是正など、社会や経済の課題も複雑に絡み合っているということに気づくことができます。

そんな難しい課題を前に、個人が、また一企業ができることは何かを前向きに考え、たとえ小さくとも何らかの行動を起こしていきたいと改めて思いました。


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