Diversity & Inclusion
ハーバードビジネスレビューから、『インクルーシブな企業には学習志向の文化が根付いている』。
多様性ある組織の文化的特徴は「学習志向」であり、それは高パフォーマンスの組織の特徴でもある、という興味深いエッセイです。
ダイバーシティやインクルージョンの機運が世界的に高まり、その進み具合を経営(者)の重要目標として掲げる企業が増えている中で、筆者はエグゼクティブの報酬とダイバーシティ目標の達成度を連動させるような金銭的インセンティブが短期的な効果を上げるために有効であることを認めつつ、その変革を持続的なものにするためには長い時間をかけて適切な組織文化を醸成する必要があるとし、本誌の読者を対象としたアンケート結果をもとに、その文化こそが「学習志向」であるとしています。
学習する文化のもとでは開放性、創造性、探求心が重視(尊重)され、そのため独自性があって多様な視点と経験をもたらす人物が重用されるため、従業員のダイバーシティが高まるといわれ、そのような組織は外部の人材を受け容れ、活用する上でも有効です。
一方、学習する文化に欠ける組織では、伝統やルール、継続性が重視され、変化や新しい意見、異なる意見が受容され難い文化があるというのが筆者の見立てですが、これは、答を「外(客観的根拠)」に求めるか「内(経験、慣習)」に求めるかといった問題解決の姿勢によるものなのではないでしょうか。
筆者は、組織の学習志向を高めるためにリーダー自らが学習重視の姿勢を明確に示し、組織として学習に関する会話を持つことが必要であるとしています。
たしかに、学習する習慣のないリーダーは、得てしてメンバーの“学び”を机上の空論と軽視し、自らの経験のみに基く持論を強制しがちであると感じます。
一方で、中間管理職としての日常の管理業務に忙殺され、外に目を向ける心理的余裕を失いがちな中間管理職の思考や行動様式を変えるためには、中間管理職の学びを促し、評価するような制度的枠組みを整備することもまた重要なことです。
拡大を続ける組織では、長期的に見ると既存の従業員よりも“これから入社する従業員”の方が多いこともあります。これから入社する200人の社員を既存の100人の思考ややり方に染める組織と、これから入ってくる200人それぞれのスキルや特性を活かせる組織風土を創り、既存従業員側も新しく入った人からの学べるような組織とでは、同じ”300人”でもそのパフォーマンスに大きな差が生じるのではないでしょうか。
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