見出し画像

上海生まれの娘と僕は三角関係⑳

僕の娘は上海生まれ。

娘と一緒にドラマを見て思う。

ある冬の事
週末の夜になるとソファーに3人で寝そべり
布団をかけて映画やドラマをよく観ていた

駅前で安いドラマのDVDを
買ってきて一緒にみる

娘はいつもの時間になると
ソファーに布団を持ってきて
電気を消して
準備して待っている

パパ 早く~!と
小さな部屋から可愛い声が聞こえる

僕は飲み物と食べ物を用意して
娘の待つソファに入る

面白そうなアニメやドラマや映画を
家族と一緒に鑑賞するまでに
娘も成長してきた

まだ日本語は
たいしてわからないけど
映像から伝わる面白さで
娘は笑ったりドキドキしたり
楽しんでいる

家族や娘とみて面白い作品をなるべく
探すようになる

だんだん見るものが無くなり
何かいい作品ないかな〜と
探していた時にDVD屋で目にしたのが

「北の国から」

だった

僕も初期のドラマは見た事がなかったので
初めから一緒にみる事にした

初期のドラマシリーズは
幼い純と蛍の二人が子供の頃の話

娘の歳も近いから
親近感もあり
深くは理解してないけど
雰囲気で楽しんでる様子

北の国からを
初めてちゃんと観て
こんなドラマだったんだ~と
改めて僕も思った

ドラマシリーズでは
主人公である父親の五郎は妻と離婚し
2人の子供を連れて故郷の北海道へ帰る
所からドラマは始まる

大自然の中で貧しい生活だけど
子供と助け合いながら暮らす

大人になりこのドラマを見直すと
色々深いドラマだと知り
日本の複雑な社会問題や
大人の事情など地域性などが
ドラマながらにリアルに表現され
何より役者の演技力は高い事も
感じるから今見ても
のめり込める

日本文化を知らない妻と娘には
映像に映らない部分は
理解されてないけど

僕一人 深く感動し懐かしかった

僕は娘に 
厳しい大自然の暮しを見て

どうする
木の家で生活する事になれば!とか
電気ないけど我慢できる?
WiFi飛んでないよ?とか
動物や雪でも遊べるよ とか
宿題は少ないと思うよ とか

娘に色々言っている

娘が
パパ ママと離れて住みたいの~
って

ドラマでは離婚してるので
北海道に父親と子供だけが住むから
ママとは喧嘩してる
という認識となって理解していた

そんな部分気にしてたの?と
思わず鋭い指摘に驚く

大自然の中で住む?って聞いただけ
要するに僕が言いたいのは

電気のある家に住めて幸せでしょ!って事
だから文句ばっかいうなよ!っていう教育

娘は
パパはママと
住みたくないのかと思った〜(笑)

なんで そんな理解になるの(笑)

そんな冗談話で笑う3人


でも僕は半分冗談だけど
半分は少しリアルさもあった

僕は海外で生活し国際結婚をしている

この先僕は
いつ日本へ帰国を余儀なくされるかは
解らない

中国で家族三人で暮らす事が
永遠に続く訳じゃない

もし日本に戻る事になったら

僕は五郎のように娘を連れて故郷へ
帰るのだろうか?

そんな事をオーバーラップして
ドラマを見ていた

ドラマの中の父親の五郎は
僕が子供の頃に思っていた父親像でもある

不器用だけど父の背中を感じ
自分の事より子供や周りの人を大切にする

喧嘩もするけど子供から愛され
言葉はイラナイ深い親子の絆や愛で
繋がっている

そういう父親像は昭和的ではあるが
小さい頃 大人になれば
父親って皆んな
そうなると思っていたけど

今の僕は
そんな思い描いた父親像にはなってない

娘を連れて日本に戻り
母親がいない環境で育て上げる
だけの勇気があるだろうか?

娘は中国に残し
妻に任せ
僕は一人 故郷へ戻る
いや・・・逃げる

それが
現実的に僕の心を苦しめる

家族3人で日本で暮らす確率は
この先 かなり低い気がする

妻も仕事があり重要なポジションから
中国から離れられない
妻は一人ッ子でもあり年老いた両親もいる

孫を遠くに離したくない両親でもある

妻のビザや日本で暮らすにも保健や
医療面など仕事で来るなら会社の
サポートもあるかもしれないが
無職で来るには何かとハードルも高い

娘は年々成長し
友達も増え、中国で暮らせば暮らすほど
日本に生活基盤を戻す事は
色々問題がでてくる
大学生になり留学なら別だけど
ドラマのように低学年で帰国となれば
きっと僕は一人で帰る事になるだろう
と・・・

娘と離れたくはない

我がままを言うなら
その一言だけだ

でも現実はそうはならないと
頭では解っている

妻と娘を置いて一人日本へ戻る選択が
恐らく僕らのベストになるかもしれないと


娘を連れて故郷へ帰る事を
ドラマの世界と自分を重ね

妙に胸が熱くなる

母親に会いたくなった時
僕はどうするだろう?

上海に帰りたいといいだしたら
僕はどうするだろう?

日本でイジメられたら
僕はどうするだろう?

ドラマの五郎は
どこか自分のように見え
頼りなく映る五郎が
僕にはかっこいい父親に
見えている

全く違う環境で似つかないストーリー
ではあるけど
子を思う父親の心はいつの時代も
どこにいても同じなんだと
少しの繋がりが
僕の妄想を膨らましていた

娘と一緒にドラマを見て思う。

上海の小さな部屋で
灯りを消してソファーで寝ころび
古い日本のドラマを見る

気が付けば
妻と娘はスヤスヤ ソファーで寝て
寝相の悪い娘の足で蹴られる僕は
小さな幸せを感じた


過去記事はこちら↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

娘が生まれる前の物語はこちら↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?