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アナロジー思考によるデザインコンセプト論

デザインにはコンセプトメイキングというプロセスがあります。コンセプトを策定するプロセスを、分解・構造化・抽象化・類推などを活用し説明したいと思います。




1. 類推=コンセプト策定プロセス

類似点を見つける思考=アナロジーであり、それはデザインコンセプト策定そのものだといえます。デザインする対象物の特徴は何なのかを発見・抽出・言語化すること。我々デザイナーが日々実践し続けている思考法です。

対象物を十全に理解し分析するために、要素分解し構造として捉えることから始まる。分けると見えてくるものがあり、競合に無い特徴や独自の強みを発見できます。さらにその特徴や構造が何に類推出来るのかを考えることでコンセプトにオリジナリティが宿ります。


2. 色という構造が生み出す応用

世の中のモノは、フレームが決まっていないから、扱いにくいと思うのです。大きさ、形、堅さ……すべてバラバラだから、整理がしにくい。それを、ボックスというフレームを設定して、フォルダのように入れ子にしてしまえば、見た目は驚くほどすっきりします。

佐藤可士和氏
例:タイミーにおける色の配分

私は「色」を重要視しています。それは、制作物全体と各々を構造的に捉え、最も外側の枠組みとして「色」をコントロールするという手段を用いている、と説明できます。

構造の粒度は各々異なりますが、色の配分調整によって詳細と全体が繋がります。詳細要素に一貫性を持たせずともブランドの共通項を表現可能です。一見ばらつきそうなデザイン群も「色」という構造部で連携し応用が利く状態を成しています。


3. 独自に持つ特徴を拝借する

弊社のインナー施策「育休産休ガイドブック」の類推を挙げます。このプロジェクトでは、出産する当事者だけでなくそのパートナー含む家族全体をサポートしたいという想いがありました。その一環としての「ガイドブック」制作を労務と伴走しました。

冊子が担う役割を抽象化し「包み込む」という特徴を抽出しました。そして、包み込むという点が共通する「おくるみ」の構造を応用しました。対象物同士の「包み込む」という共通行為から導き出した類推です。

類推によって「おくるみ自体が持つ特徴」をガイドブックに拝借・応用することが可能になります。特に「包まれると安心を得る」という機能や、においという体験自体の応用は、デザインの精度をより高めます。


4. 品質を約束するブランド

他社事例です。ある化粧品ブランドのパッケージデザインコンセプトは「契約」です。それは「品質を約束する」というメッセージ。約束するという構造の共通点から「契約時のサイン」のように手書きで商品名がデザインされたパッケージが生み出されました。

さらに、契約のサインが持つ特徴は、責任・誠実さ・本物感などの印象を想起させます。同時に、高尚なブランドに触れる体験と高揚感(情緒)が生まれる。商品特性に沿ったデザインコンセプトです。


まとめ

なぜこのような類推が必要なのか。それは、対象物が独自に持つ特徴を拝借するためといえるでしょう。それらを適切に繋ぎ、特徴を掛け合わせることこそが良いアイディア・良いデザインを生み出していきます。

我々デザイナーの制作過程においても、何をどのように表現するべきかの「迷い」が無くなります。クリエイティブの軸が生まれます。そこにさらに、表現したい印象やターゲットの特性を加味していきます。

今回デザインコンセプトを策定するプロセスを、言語化し整理できたことはとても有意義でした。分解・構造化・具体・抽象・類推… すべては答えの無いものに答えを出すために私を導いてくれる思考です。




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